第3話 二度目の再会
ある日の夜、俺は親友の潤平と飲んでいた。
「なあ、澪。お前ら何もなかったのか?」
「何の話だ?」
「この前の女の子。可愛かったじゃん!一晩、一緒にいたなら、チューぐらいしただろう?」
「いくらなんでも初対面の人と、そんな事をするわけねぇだろう?ただでさえ俺も女の人が苦手なのに」
「とか言って、どうなんだ?」
「本当にねぇよ!大体、向こうは男が苦手なんだよ」
「嘘!?あれだけ可愛いのに?もしやレズ?」
「違う!」
「じゃあ何だよ。おかしいだろう?……もしかして…訳あり?」
「あのビビリようは、過去に何かあったとしか思えねぇよ…俺の前彼女(カノ)と一緒の事があったか…もしくは…男に暴力振るわれたとか…詳しい事は聞いてないし家庭環境も分からないんじゃ何とも言えねぇよ…」
「まあな…今の世の中は色々あるし詳しい事をまだ聞く段階でもないよな。お前の彼女も色々あったからな」
「ああ」
「レイプされて妊娠して…その前の彼女は、5又してて…その前は無理矢理、逆強姦されて…」
俺はグイッと親友の・末居 潤平(まつい じゅんぺい)
をヘッドロックした。
「うわあっ!」
「なぁ、末居 潤平君…お前…何処まで俺の嫌ぁ〜な過去の思い出を口に出して思い出させる気かなぁ〜?」
「わ、分かった、分かった。ギブギブ」
「全く!」
そこへ――――
「ねえ、男二人で飲んでるなんて寂しくない?私達も一緒に良い?」
「どうぞ、どうぞ」
「ねえ彼女は?」
「俺は募集中なんだ」
「あなたは?」
「いない」
「ええーっ!超カッコ良いのに?私、立候補しようかな?」
「悪い!俺、女の人って嫌いなんだよね」
「えっ?まさか男好き?」
「だとしたら?」
「アハハ…やだ、冗談」
「いやぁ〜、実はこの後、その例の彼と会うんだ」
「えっ!?」
「……………」
「そ、そうなんだ…」
「じゃあ、そう言う事で俺はこの辺で」
帰り始める俺。
「悪い。そう言う事で。今の相当引いたな」
「当たり前だろ?お前もその一人だと勘違いされたんじゃねーの?」
「別に気にしないし!」
店を出て、その途中の事だった。
「なあ、零。あの子って…」
「………またかよ…」
俺達は彼女に歩み寄る。
「おいっ!起きろっ!」
ペシペシと軽く頬を打たれる。
「ん……」
「おいっ!」
私の頬を摘ままれた。
「痛ぁ〜い…何ですかぁっ!?」
私の目の前に腰をおろす人影。
ドキッ
「お前連れは?一人か?」
「うん…そうだよ…」
「お前のその酒癖どうにかならねーのかよ」
「…だって…」
「まあまあ、零、良いじゃん。あっ!俺、コイツの親友の末居 潤平って言うんだけど、君の事は聞いたよ。俺の事も苦手で怖いかもしれないけど取り敢えず宜しく!」
「はい…」
私は返事をしながらも頭を軽く頭を下げる。
「ともかくお前は帰れよ!ここにいたんじゃ危険過ぎるから」
「か、帰るよ!ありがとう。起こしてくれて」
私は帰り始める中、足元はフラついている。
「……………」
「大丈夫か?アイツ」
「送ってやれば?」
「えっ?」
「心配なんだろう?」
「別に」
「良いから送ってやれよ!お前も過去に元彼女(カノ)の件があるんだし心配したくなるのは分かるから」
「潤…」
「ほら!行きな!送ってやれ!」
潤平に背中を押され俺は彼女の後を追った。
「おいっ!」
ビクッ
呼び止められ肩が強張った。
振り返る私。
「貴須木…さん」
「…た、貴須…木…さん…?…悪いけど…その呼び方は辞めてもらえないか?」
「駄目?じゃあ…どう呼べば良い?零君?零さん?この際、零?」
「決定!!」
「えっ?」
「零な!」
ドキン
無邪気な笑顔を見せる彼。
「ちなみに俺もお前の事は、友羽と呼ばせてもらうけど良いよな?」
ドキン
彼は再び無邪気な笑顔を見せる。
「…う、うん…」
私達は色々と話をしながら、私を送ってくれた。
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