第8話 二人でお風呂
「あっ!あー。なるほどー。こんな感じになるのかー。」
「どうしたの明日香?着替え足りなかった?家から取ってこようか?」
「えーとね。私の服って地元のショッピングセンターで購入したものなのね。だけどここにある服はデザインとか色とか同じなんだけど妙に肌触りのいい服に全部なってるんだ・・・だから、こんなふうに攻めてくるんだって思って・・・。」
「あっ。僕の服もたしかユニシロで買ってきたはずなんだけど・・・あー。なるほどー。こんな感じになるのかー。」
「うん。まずは持ち物を総点検してみようか!ニコリ。」
二人は自分の持ち物を点検した。同じものに見えるがどれも新品でグレードがアップしている。
「うん。遠慮も容赦もなくなったね。ニコリ」
「ゆうくん。本当にまずくない?昔よりパワーアップしてるわ。昔より手口が巧妙化してるわ。」
「ねえ。明日香。明日の朝、僕達どの国で目が覚めると思う?」
「ゆうくん。笑えないから!私、この前の事件でトラウマできてるのにいきなりハードモードは避けたいの・・・。」
「うん。逃げよう。今すぐ逃げよう!」
その時に佑介のスマホの呼び出し音が聞こえた。
「佑介。そろそろ逃げる算段中かしら?どこに逃げてもいいけど明日香ちゃんに無理させては駄目よ。逃走用に明日香ちゃんが負担にならないように乗り物準備してたからそれ使いなさいよね。それぞれの乗り物にお医者様と看護師も待機してるから安心よ。警護もばっちりだから好きに動いていいわよ。あっ。夕飯はタイ料理だから夕飯時にはタイにいなさいね。じゃ、仕事があるから切るわね。」
「・・・・・・・・・・・」
「ねえ!ゆうくん。無言はやめて!本当に怖いから!」
「あー。残念なお知らせです。僕たちの逃走用の乗り物が諸々完備の状態で待機してます。あと、夕飯は自分たちで食えっていいながら、今夜はタイでタイ料理だそうで夕飯時にはタイにいるようにと言われました。うん。容赦なくなってきた!」
「・・・・・・・・・・」
「明日香さん。無言はやめて!母ちゃんがそう言ったら決定事項だからもう開き直ろう!」
「ねえ。ゆうくん。私、全力で引きこもりたいんだけど・・・どうしたらいい?」
「もうさ・・・開き直って楽しもうよ!ははは。あっ引きこもるなら熱海のあそこ行かない?温泉でも入りながらゆっくりしようよ。あそこならゆっくりできるし。」
「あそこなら確かに被害は少なそうね。あの老舗高級旅館なら・・・」
「素直に合田さんに電話入れるね!もう逃げれないから・・・ははは。」
「もしもし。合田さん。お久しぶりです。母から聞いていると思いますけどまた僕たち二人の執事お願いしますね。えー。熱海に行こうと思いまして・・はい。そうです。おまかせします。あっ明日香が引きこもりたいみたいなんで準備お願いしますね。あー準備OKなんですね・・・えー。はい。15分後に。わかりました。あっヘリは勘弁してください。あー。そうなんですね。分かりました。」
「ははは。もうヘリがこっちに向かってるって・・・準備しようか・・・。」
佑介と明日香は引きつり気味の笑顔で老舗高級旅館の女将から挨拶を受けていた。部屋も引きこもりグッズ満載で準備OKである。
「さすが合田さん。完璧ですね。また改めてよろしくお願いします。」
「はい。またお二人へご奉仕できること。深く感謝いたします。これからは全てこの合田にお任せください。」
「合田さん。お久しぶりです。ゆうくんと二人また、お願いしますね。」
二人は合田さんと挨拶を済ませ、準備してもらった部屋で寛いでいた。
「さすがは合田さんだね。昔みたいにたくさんのメイドさんはつけなかったね。分かってらっしゃる。」
「うん。それが救いだったわ。ゆうくん先に温泉入ったら?この部屋、内風呂と露天風呂付いてるから。」
「おっ先に入っていい?入るね~。」
佑介は風呂に入り体を洗おうとしていた。その時に風呂場の扉が開き、タオルで体を隠した明日香が入ってきた。
「ゆうくん。お風呂一緒に入ろ。えへ」
「うん。テンプレ、テンプレ。どうせタオルがはだけてその下は水着でしたって落ちでしょ?」
「ふーん。あっタオルが落ちた。きゃーーーーー。」
「ちょおおおおおお。おまああああああああ。裸やんけええええええええええ。」
佑介は明日香のタオルの下は水着だと思い、余裕であった。そして棒読みの明日香のタオルがはだけて下に落ちた時にばっちり見てしまった。そのシミ一つない形の良い豊かな胸、全体的にスレンダーな長い手足。そして、誰も汚したことの無い下半身。ばっちり脳内フォルダに記憶したのであった。
「明日香さん。それは反則だよ。」
「ふふふ。油断したのかね。私が今更タオルの下は水着なんてテンプレをすると思ったかね。ふははははは。」
「そんな顔真っ赤で恥ずかしいなら止めていただけませんか!僕、多大な精神ダメージ受けたんですけど!」
「うーーー。これ結構恥ずかしいね・・・だけど、ゆうくんとお風呂入りたかったからいいの。ゆうくんに見てもらいたいから。」
「おい!自称氷の女神。やめろ!あの冷酷な汚物をみるような視線はどこにいった!ひゃあ、背中に胸をつけるのやめて!お願いします。」
佑介は明日香が裸だと気づいて体ごと反対方向へ向きを変えた。しかし、明日香は容赦なく後ろから佑介の肩に顎をのせ、抱き着いたのである。佑介は背中の二つの柔らかい感触を自覚しながら自分の股間へ生暖かい視線があることに気が付いた。
「ちょっと。氷の女神さん視線が生暖かくなってるんですけど?おい!やめろ!僕の股間を見ないで~~」
「おや、佑介くん。しばらく見ないうちに大きく育ったじゃないか。ぐへへへ。」
「なんでエロおやじ風なの?あーそうだった。明日香って昔から僕の股間を凝視するよね・・・しかも普通に触るし!!。」
「ふふふ。では、感触を確かめようかなぐへへへへ。」
佑介は「あっこいつ、だめだ」と秒で気づき浴槽へ浸かるのであった。明日香は満足したらしく大人しく体を洗っていた。一糸まとわぬ裸のまんまで。
「明日香さん水着着ようよ。せめてバスタオルで隠して!」
「おや?ふむふむ。ゆうくん。だいぶ、大きくなったね。私の裸で興奮したのかしら?」
「くっ殺せ(2回目)」
「今更よ。亜紀の裸は堪能したんでしょ?この浮気者。」
「うわわわわわわわ。なんで知ってるの?手紙に書いてないよ?」
「たしかにゆうくんの手紙には書いてなかったわ。けど亜紀の手紙には書いてあったわよ。ゆうくんの15歳の誕生日にあったこと全て。」
「うほおおおおお。あっ、ゴミを見る目復活!わーい」
「最低!」
「バシーン、バシーン」
「往復ビンタはやめていただきたい。キリリ。」
「あっ本当に鼻血出たよ。あはは、漫画みたい~」
「ゆうくん。もう一発逝っとく?」
「まことにこの度は不快な思いを抱かせる事申し訳なく思います。誠心誠意お詫びしますのでビンタは勘弁していただきたい。」
「だったらいいよね?私とお風呂入って。亜紀とはお互い裸でお風呂入ったんだよね?しかも浴槽に一緒に漬かりながら胸揉んだんだよね?気持ちよかった?下種野郎。」
「結構なお点前でした・・・あーごめんなさい。殴らないで・・・ってなんでそこまで知ってるの?」
「亜紀がわざわざ、その日に電話してきたからよ。証拠の写メまで送ってきたわ・・・あなたのしまりのないへらへらした顔で亜紀の胸もんでる写メ。わかったかしら?私が入学式から本気で怒ってた理由。あまりにもひどくて親の前では話せなかったのよ?お分かりですか!」
「あっ。ぼく。やらかしてますね。素直になります。まことにすみませんでした。後、親にその写メ見せなかったことに多大の感謝をお送りします。」
「ぼくはこの大いなる過ちをどのように清算したらよいのでしょうか?文字通りなんでもします。明日香様のためになんでもします。」
「じゃ揉みなさいよ・・・」
「へ?なんでそんな顔真っ赤なの?のぼせちゃった?」
「揉みなさいっていってるのよ。私の胸を!亜紀と同じようにしなさい!それで今回の怒りは抑えるわ。」
「いや・・・その・・・」
「何よ?亜紀の胸はあんなにがっつり揉んでいて、私の胸は揉めないの?私、本気で泣くから。お義母さまの前で意味深にゆうくんを見ながら涙流して走り去るわよ?」
「あっそれは本気で止めてください。僕、物理的に去勢されるから・・・。まあ、その・・・亜紀の胸と明日香の胸はちょっと意味が違ってるんだ・・・」
「はっ?意味わからないわ。同じ胸なのにどう違うの?」
「えと・・・そのね・・あっちゃん・・・本気で大切な人なのでそう言うことは大事にしたいかなって・・・思ってるの。亜紀には申し訳ないけど彼女は大切な人に入ってないんだ・・・ぼくって本当に下種だよね・・・あっちゃんとこうやって一緒に過す資格無いと思うんだ。本当に僕の事信じてくれたのに。裏切ってごめん。」
「本当にバカなんだから・・・ゆうくん、きて」
そう言うと明日香は佑介の頭を自らの胸に抱き寄せた。
「ゆうくん。本当に反省してる?」
「うん。ごめんね。」
「私がいなくて寂しかったの?」
「うん。本当に寂しかった。」
「私の声聞きたかったの?」
「うん。聞きたかった。禁止なのはわかってたけど何度も電話しようか迷った。」
「私の事。好き?」
「うん。大好き。」
「私もゆうくんの事、本気で好き。大好き。」
「ねえ。あっちゃん。婚約者ってのはちょっと飛躍しちゃったけど、素直に言うね。僕と恋人になってくれませんか?」
「うん。ゆうくんの恋人にして。幼き頃からお慕い申していました。」
「もう・・・こんな素直に言われたらゆうくんのこと、許すしかないじゃない。好きなんだから・・・。」
佑介と明日香は見つめあい初めての大人のキスをした。
「もう私はゆうくんの完全に大切な人よね?しかもこんなにも盛り上がってきたよね?私、この感じならいいと思うの。」
「うん。僕もそう思う。」
佑介は初めて明日香の胸に触った。そのすべすべしてどこまでも凹むような柔らかさを感じた。明日香の早くなった心音を手に感じ、己の心音も早いことに気が付いた。
「ゆ。ゆうくん。ここまで!ここまでよ!これ以上は、まだ、心の準備ができてないわ。」
「うん。僕も心の準備できてないや。ぷっ」
「もう、ゆうくんのばか・・・ぷっ」
二人は老舗高級旅館のお風呂場で笑いあったのであった。
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