第15話 大観覧車 (1)
俺と日生が居た場所から、一番近いレストランに向かう。俺達が向かう以外にもレストランは園内に数件有る。
俺達がレストランに着いた時は、まだお昼時では無かったが結構の行列が出来ていた。
(真央の言ったとおりだ!)
(お昼のピーク時に入ったら、注文、配膳、食事だけでも1時間位は軽く掛かりそうだ)
此所のレストランは、レジで事前注文する形式だ。
本当は食事代も男が出すべき何だが、俺はアルバイト等をしていないため、チケット代だけで勘弁して貰っている。
レジで日生はオムライスを注文して、俺は食欲が少し無かったためパスタを注文して、日生と一緒に摘まめる様にフライドポテトもついでに注文する。
事前支払いだが料理は、ウェイトレスさんが運んでくれるみたいだ。
「遊園地も一生懸命遊ぶと疲れるね!」
俺はそう言う。
「良輔は、遊園地に普段行かないの?」
「行かないね……」
「俺の親友は、基本インドア派ばかりだし…」
「そっか~~」
「私は、結構来てるな~~」
「そうなの!?」
「友達と?」
「今年は、今日入れて3回位来てるかな?」
「あっ、ここだけじゃないよ。他の所も含めて…」
「へぇ~~」
俺は『誰と来ているの?』と聞こうとした時に、タイミングが良いのか悪いのか丁度料理が運ばれて来る。
1回の配膳で、注文した品が全て揃ったので、日生と食事を始める事にする。
食べている時は、あまり喋らない方が良いかと思って、俺は食事に意識を向けるが……
(たしか…、両親と休日が合わない筈だよな……。それでも、今日を除いて2回遊園地に遊びに行っている?)
(仮に1回は家族としても、後の1回は前の彼氏!?)
(ありえるな…。遊園地デートに誘った時、日生が遊園地に乗り気では無かったのは、つい最近、元彼氏と此所か何処かの遊園地に行ったのだな?)
俺はそんな事を考えてながらパスタを頬張った……
食事も一段落して、昼からの遊園地計画を立てる。
「日生。昼からはどうする?」
「昼から?」
「昼からは、朝一番に乗ったジェットコースターに乗ろう!」
「あぁ、うん。分かった…」
「それと日生……。今日は、閉園まで大丈夫だよね…?」
遊園地の閉園時間は21時。
此所の遊園地は、パレードとかは特に無いから、別に21時まで居なくて構わない。
例え21時まで居ても、1時間位で戻れるから、補導の心配もする必要は無いはずだ。
「あっ、良輔……」
「実は今日の夜……。両親が珍しく揃うから、家族で食事に行くんだ…」
「えっ、聞いてないよ!?」
「ごめん…。昨日の夜、急に決まって……」
「良輔との遊園地が楽しくて、さっきまで忘れていた。本当は会った時に言わなければ無かったけど…」
「私の両親は『今の彼氏を優先しなさい』と言ったけど、私はまだ両親の方が大事だし……」
「……」
日生の言ってる事は間違ってない。
しかし、よりによって今日か……。俺、何て付いて無いんだ!!
この場で強く出ては絶対駄目だし、折角、日生の家族が揃うのだから、そっちを優先するのは当たり前だと思う……
「日生」
「家族が揃うなら、そっちを優先した方が良いよ……。遊園地はまた来られるしさ!!」
「えっと、じゃあ……、何時までに戻れば良い?」
「17時位には戻って来て欲しいと言われたから、その時間?」
「17時か…」
遊園地から学校の最寄り駅までは、大体1時間位掛る……
バスの待ち時間や乗り換え、最悪遅延とかを考えると、15時半前後には遊園地を出なければ成らなかった。
(大分、俺の中でも予定が狂うな…)
(だから日生は午前中、次から次へと乗っていた訳か)
俺はレストランに掛けられている壁時計を見る。
今の時刻は12時30分前。後3時間位しか居られない……
日生の家族の都合だから仕方無いが、諦めるしかなさそうだ。
昼からも絶叫系を中心に乗って時間が過ぎてゆく。
そろそろ、絶叫系を全部乗った感じがしてくるが、日生は『2周目だ!』と言って、待ち時間の間に、色々段取りを組んでいる。
しかし、俺が日生との遊園地デートを望んだのは、遊園地に有る大観覧車に乗るためで有る。
大観覧車に乗らずに、絶叫系だけで遊園地を終えてしまったら、只の親友関係だ!
園内におれる時間も少なく成って来ていて、今並んでいるこの遊具を含めて、後1~2回位しか遊具には乗れない……。ここが勝負時だ!!
「日生、最後に観覧車乗らない?」
「えっ!?」
「私は最後…、ジェットコースターで締めたいのだけど……」
「でもさ、遊園地に来て、観覧車に乗らないのは勿体ないよ!」
「ん~~~」
「私は、乗りたくないな…」
何故か日生はで
どうして? 2人きりは嫌なの!?
学校で抱き合った仲なのに!!
俺は彼女の気持ちが理解出来なかった……
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