第6話 出逢いは偶然に、隠し扉を開いたかの如く3


「オレ達から馬に会いに行くんじゃないぞ。馬の方がオレ達を求めて、こっちに向かっているんだって」



「はい!」



「とりあえずは駅だ」



「はい」



二人の心は、一等星のようにキラキラと胸をときめかせて輝いていた。



元気は遊園地入口の前に到着すると、隣にいる洋平の左手を右手で握った。



「……どうしたんですか?」



洋平の問いかけに元気は何も答えずに、後輩の顔を見上げて満面の笑みを向けた。



「……こわいですよ! お願いだから何か言って下さい!」



「雑誌でこういうのあったんだって」



「……それは、たぶん男女のカップルでだと思います! 男同士ではないはずです!」



「そうか、悪かったな」



「……何で放してくれないの!」



元気は、ようやくつないでいた手を放すと、チケット販売窓口にできた列の後ろへと、嬉しそうに走って行った。



「もう、カワイイんだからって、違う違う」



洋平は慌てたように発言を訂正すると、はしゃぐ子供の後を追う父親のように、ゆっくりと歩いて元気のもとへと向かった。



チケットを購入して入口のゲートを通ると、食パン一枚でのエネルギーの残量にカラダが不安を感じているのか、二人は迷うことなく敷地内のレストランに行った。



席に着くと、元気は“カツカレー”を、洋平もこれまた“カツカレー”を注文し、しばらくして料理が運ばれてきた。



「いただきま~す」



「ちょっと待てって」



「どうかしたんですか?」



「いや、吉沢のカツのほうが良い肉使ってる気がする」



「交換しましょうか?」



「いや、やめとく。ブタさんに失礼だしな。いただきます」



二人は料理を食べ始めた。



食べ始めてから少しすると、ウエイトレスが席の前に来て、混みあっているので、空いている席に他の客を座らせてもよいかとお願いされ、二人は同時にふたつ返事で引き受けた。



程なくして二人の女性客が席に案内されると、「すみません」と申し訳なさそうに言い、四人掛けの席の空いているところに腰を下ろした。



女性達はメニュー表を見ながら小声で話し合っている。



洋平は、気遣いからなのか彼女達の顔を見ようとはせず、下を向いたまま料理を食べている。



元気のほうは、カツが想像以上に柔らかかったことに感銘を受けて、一途に料理だけを見つめながら食べている。











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