第四章:Guardian Angel/01
第四章:Guardian Angel
セントラルタワーでの激戦を戦い抜き、辛くも脱出したレイラは憐を連れ、ひとまず自宅へと戻って来ていた。
乗ってきたベンツは適当な場所に乗り捨て、そこからは徒歩での帰宅だ。元の持ち主には悪いが……そのうち鏑木が始末しておいてくれるだろう。
そんなこんなで憐とともに自宅に戻ってきたレイラは、まずは彼をリビングルームのソファに座らせて一息つき。自分も彼の対面に座りながら、ひとまず彼に事情を説明することにしていた。
彼に説明したのは、どうして自分が久城憐を守ることになったのかという理由と、自分がどういう存在であるかという部分。レイラ・フェアフィールドは闇の拳銃稼業たるスイーパーという存在で、学院に教師として潜入したのは鏑木という刑事の手引きであること。敵の正体は自分自身も分かっていないが、少なくともああいった連中から憐を守るために、今日まで一緒に居たこと…………。
「……そう、だったんですか」
一通りの事情を説明し終えると、ソファに腰掛ける憐は
そんな彼の比較的落ち着いた様子を見て、レイラは「驚かないのね」と意外そうな顔をする。
相手は仮にも一般人だ。スイーパーのことや護衛依頼のことを聞けば、相応に驚くものだと思っていたが……憐が思いのほか冷静だったものだから、レイラはそれが意外だったのだ。
すると憐は「さっき、十分すぎるぐらいに驚きましたからね」と苦笑い。
「それより――――僕が狙われてたってことは、さっきの事件も、言ってしまえば僕のせいで起きたってことですよね……?」
「貴方のせいではないわ。責任があるとすれば、貴方の身を狙う何者かよ。狙われている立場の憐、貴方に責任なんてあるはずがないわ」
「でも、だとしても……あのヒトたちは、僕のせいで」
何処か責任を感じている風な憐に、レイラは「憐、貴方が責任を感じる必要なんて無いの」と重ねて言う。
そんな彼女の諭すような口調に、憐は小さく笑い。「……やっぱり、レイラは優しいんですね」と呟いた。
レイラはそれに「貴方こそ」と微笑み返し、
「さっきもそうだったけれど、赤の他人に対してそこまで気遣える、貴方のその優しさ……やっぱり、恭弥によく似ているわ」
と、憐と恭弥を……彼の父であり、レイラの師匠でもあった男の面影を重ねつつ、何処か懐かしむように呟いた。
そうすると、恭弥の名を耳にした憐は「えっ?」と驚き、
「どうして、父さんの名前を……?」
と、レイラの口から突然飛び出してきた、思いもよらぬ名――父の名に、憐はきょとんと疑問符を浮かべていた。
「それは……」
そんな彼に対し、レイラが言葉を詰まらせた時。何と答えたものかと彼女が思い悩んだ時――唐突に、呼び鈴が鳴った。
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