第三章:キルボックス・ヒル/03
そうして憐とともに展望台の受付フロアを離れた後、レイラは自前のスマートフォンを右耳に当て……鏑木と連絡を取っていた。
『――――事情は分かった。だが残念なお知らせだ。セントラルタワーの件、警察はまだ感づいちゃいない』
「そうでしょうね……」
『コイツは厄介だぜ。坊主を狙ってきた連中、相当だろ?』
「かなりの手練れよ。単なる気取った連中とはワケが違う、本物のプロだったわ」
『参ったな……まあいい、とにかくレイラ、お前さんは坊主を連れて一刻も早く脱出してくれ。後の処理は俺の方でどうにかしておく』
「頼むわ」
最後に短くそう言って、レイラは鏑木との電話を切った。
そうして電話を切った直後、何かを感じ取ったレイラは立ち止まり……サッと腕を伸ばすと、後ろに付いてきていた憐を「待って」と静かに制止する。
「……レイラ?」
「敵の気配がする」
呟き、レイラは丁度目の前にあった十字路の曲がり角からそっと顔を出した。
見ると……やはりレイラが感じた通り、数名の兵士たちがこちらに向かって廊下を歩いてきていた。
敵の数は六名。恐らく、先程の銃声を聞いたのだろう。何処か警戒した様子の兵士たちが、手にしたF2000自動ライフルを油断なく構えながら歩いてきている。
(突破する必要があるのなら……そうするまでのことね)
内心でそう思うと、レイラは憐に対して「絶対に私から離れないで、良いわね?」と言うと――バッと地を蹴って飛び出し、兵士たちに飛び掛かっていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます