捜査6日目
捜査6日目~内務局長官
朝。マイヤーとクラクスは、いつもの様に執務室へ向かう。
二人は内務局の長官から話を聞くため、ルツコイ司令官に彼を呼びつけてもらおうと考えていた。
「おはよう」。
「おはようございます」。
部屋に入った二人は敬礼した。
「ちょうどよかった、マイヤー君。君を呼ぼうと思っていた」。
ルツコイはそう言うと、いつもの様に執務机の向こう側で難しい顔をして座っていた。彼は水差しらカップに水を注ぎ、それを一口飲んでから話を始めた。
「先日、街の近くで帝国軍の馬車が襲撃された件は知っていると思う。街の付近に潜伏する盗賊の仕業だ。軍で捜索したところ盗賊が潜伏している場所を特定した」。
彼は机に置いてあった街の周辺地図を指さして話を続ける。
「明日、そこを襲撃する。遊撃部隊から五十名選抜してくれ。軍からは二百名出す。君らは、軍に同行してくれ。集合時間は明日早朝五時だ。朝一で出撃する」。
「わかりました。選抜しておきます」。
「ちなみに、私が指揮を執る」。
「わかりました」。
ルツコイは、「よし」、と、つぶやいて、椅子に座り込んだ。そして、二人を見て改めて口を開いた。
「君らも用があったんじゃないのか?」
「はい。実は内務局の長官から話を聞きたく、司令官の権限で呼びつけてもらえませんか?」
「それはヴェールテ家の件か?」
「そうです。内務局の長官に言って警察へ圧力をかけさせている人物を知りたいのです。場合によっては長官自身が関与している可能性もあります」。
「なるほど、いいだろう。先方の都合を聞いておこう。日時が分かったら伝える」。
「よろしくお願いします」。
マイヤーとクラクスは、敬礼して執務室を去った。
マイヤーはクラクスに話す。
「私は明日の準備をするので、今日は一日、城にいる」。
「明日に五十名に、私は選ばれますか?」
「いや、正直なところ君はまだ剣の腕が今一つだ。隊長殿に剣を教えてもらってまだ三か月だろう。それで盗賊退治は危険すぎる」。
「わかりました」。
クラクスはそう返事した。
マイヤーは彼がいやにあっさり引き下がるなと思った。きっと、捜査の方が面白いと感じているのだろう。
「私は、これから五十名を選別して部隊の者に伝える。また明日の準備をしなければならない、捜査の方はいったん中断しようか」。
「私一人で捜査の方を進めてもよろしいですか」。
クラクスは言う。
「いいだろう。上手くやってくれ」。
「わかりました」
そう言い合うと二人は別れた。
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