第671話「皆が懐く理由が判明!変質の副作用」
「おお!帰ってきたか?随分遅かったな?朝早く蛇事件で出発が遅れたから今日はダンジョンかと思っていたぞ?そうそう、アリン子がななんかキノコをくれたんだ……これは食えるのか?」
僕は希少食材だと教えると、ビックリしつつ匂いを嗅いでいた。
食べ物を匂いで嗅ぎ分けるのは、異世界も元の世界も同じ様だ。
「じゃあ夕飯を作ろうかの……そうそう津波の様に今日は人が来たぞ?お主何をしたんじゃ?ゴーレムを売ってくれとか靴をくれと言われて、もう意味がわからんでな……今日は帰って来ないからギルドが薔薇村へ行けと言っといたぞ?」
「ああ!すいません。じゃあ食堂で待たせて貰います。皆は?」
「私達は一度部屋で荷物整理するわ……じゃあ行きましょう?ミクちゃんにカナミちゃん。あれ?アーチとミサはご飯先にするの?」
「え?ああ!今行きます!夕飯が何にか気になって……えへへへへ……」
「あーちゃんは相変わらずだねぇ……ミサは先行くよ?」
ユイナが率先して皆を部屋に連れて行く、遠征準備を余念なくやるためだろう。
「おじさん俺の分取っておいてくれる?ちょっとロズさんのシールド交換してもらうの忘れてたから行ってくる」
どうやら宝箱から手に入れたシールドを、街に着いたら交換する予定だった様だ。
「ねぇ?私達は一度ダンジョンへ戻るわよ?穢れの補給に行かないと……割と消費量を考えないといけないわね……」
「だな……まぁすぐに活動出来なくなる訳じゃねぇが……天族やら神族と出会すこと考えると、万全がいいからな!」
「なんかすごい会話だのぉ……もしかすると客かと思ったが……悪魔っ子ちゃんと同じ感じがするから『そっちの方』かのぉ?」
ヘカテイアとマモンは僕にそう告げると、足元に黒い穴を作り消え去る……
「おお……やはり同じか……悪魔っ子ちゃんのお父さんとお母さんか?まぁ宿を壊さなければ、誰でもいいがの……じゃあもうちょっと待ってくれるかの?腹が減ってたら先にパンを出すが?」
「ああ!大丈夫ですよ、ゴーレムの事も考えないとなので丁度いいです」
僕はそう言って亭主に気を遣わせない様にする。
悪魔っ子ちゃんのお父さんとお母さんか……と思いつつ『まさかな……』と疑念をはらい大問題のゴーレムのことを考える。
それにしても困った事に、色々な人間が薔薇村に向かった形跡が見つかった……
まさかゴーレム問題に火がつくとは……それも帝都も絡んでいる。
ギルドの遠征準備はやり直しになったので最低限明日丸一日はかかるそうなので、少し時間が取れてよかった……だが伸ばしすぎる訳にもいかない。
精霊の危険が2倍に増えたからだ……それも土地精霊の方はノーミーが居る分まだマシだ。
少なからず、ダンジョンにさえ入れば今がどのくらい危険か様子を伺う事ができるからだ。
火焔窟と呼ばれる方はもう未知数だ……
ゼフィは入り口が別の場所から入って居るので、それこそなんの情報の足しにもならない。
僕は明日まだ時間があるうちに、一度薔薇村に行こうと思った。
異世界テントの確認をする必要があるのだ……薔薇村のその光景を見た人にテントを鑑定される可能性もある。
というか……大凡それは覚悟するしかないだろう……見た鑑定士は間違いなく興味を惹かれるだろう。
そして午後からは僕達も食材を買い込む必要がある……遠征が数日で終わらない事態になりそうだからだ。
状況が悪化してしまった場合、最悪倉庫にある食材を食べるしか………
そう思った時僕は『あれ?異世界の食材って………変質どうなるの?』と思った……確か消費期限が無限とか書いてあったことは覚えているが……
倉庫で発注した物とは違うが、異世界の祝福から出た食材を出す。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
業務用 ミルクココア (1kg) 消費期限『∞』
摂取時のステータス変化
『非常識+0.01』『常識-0.01』
『テイムの可能性up』『信頼度・親密度の上昇』
・人族100%
・デミ・ヒューマン80%
・魔物120%
・悪魔120%
・有翼種100%
・妖精種120%
・神族『禁断症状にて悪魔・魔神へ転化』
・天族『禁断症状にて変質『悪魔へ変質』』
『変質完了……ステータス補正可能』
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
僕はそれを見て愕然とする……『テイム!?』に『可能性?』とつい動きが止まる。
更に『親密度・信頼度の上昇』……ロズの兄さんの呼び方はどうやらこれが原因かもしれない。
内心『インチキじゃん!って言うか副作用!?』とか思ってしまう。
他に手に入れた『業務用 ココアクッキー(1kg) 』を取り出して調べてみると、数値や対象種族こそ異なるがほぼ内容は変わらない。
周囲との関係性が良くなっている理由はまさに『異世界食品の副作用』だった。
「どうしたんじゃ?そんな菓子を出してマジマジと見て?飯が出来たぞ!アリン子の持ってきてくれたキノコを使ったスープと炊き込んだ飯だ!お前達の話を聞いたレシピの再現じゃが、うまく出来たか味見をしてくれ!そう言えば悪魔っ子は夕飯はどうするんじゃ?」
「なーに?お爺ちゃん、今日も食べるよ?大盛りがいいな!」
「「おおお!?ビックリした!!」」
急に亭主の背後から声をかけられる……厨房に監視カメラでもついているのだろうか?
飯が出来上がると、必ず居る悪魔っ子には毎回驚かされる。
「そうかそうか、なら大盛りで今持ってくるからお兄さんと座って待ってなさい。」
「はーい!ねぇ?お兄ちゃんマリンちゃんとデービスくんに今日は魔法を教えたの!」
「へ……へぇどんな魔法?」
「うんとねぇ〜マリンちゃんには範囲3kmを3日間焼き尽くす魔法とね、デービスくんには範囲5kmを流砂にする魔法!ちょうど魔物が西の巣穴から出て来たから実践練習したんだ!凄く覚えるの早いよ?二人とも。でも……あの魔法教えちゃいけなかった気がするの……理由は忘れちゃったけど!」
「…………そ………そうだろうね?3日間焼き続ける時点でもう大問題だろうし……流砂の事は言ったの?院長先生には?誰からハマったら死んじゃよ?」
「うん!マリンちゃんとデービスくんと、院長先生に出来栄えを一緒に言ったらね、ギルドに走って行っちゃった!」
そりゃ走るだろう………なんかすいません院長先生……
多分僕と出会う前の方が、院長先生は静かに暮らしていただろう……
「因みにその後は?」
「その後?宮廷なんとかって人が『観測?』に行くって言ってたって院長先生が言ってた!あ!後ね、オオサマって名前の人が果物たくさん持って来てくれたよ?良いおじちゃんだね?」
それはオオサマって言う名前ではないだろう……王様……要は国王陛下だろう……
僕と王都から出たはずの悪魔っ子が、毎日王都に遊びに行っていると王様が知った時点で、僕は王様と会うのが怖くてたまらない。
まぁ……知らなかったことにしておこう……
「そう言えば悪魔っ子はヘカテイアとかマモンって名前に聞き覚えある?」
「ヘカテイア?にマモン?……………うーん……わかんない!」
「そっかーわかんないか?じゃあ……関連が無いのかもしれないね?何か思い出せればなぁってね?」
僕は何を聞いたんだろう……万が一何かを思い出しても、危険しかないかもしれないのに……
そう思っていると、『ヘカテイア……もしかしてヘカテー?神話の登場人物の一人だよね?院長先生が夜読んでくれる本に出てたかな?』という……
「よく知っているね?そうそう……神話のヘカテイア、ヘカテーとも言うね……」
自分で聞いておきながら、そう誤魔化そうとすると、悪魔っ子は……
「死の系譜呪文なら私全部使えるよ?院長先生は使えるのはヘカテーだけって言ってたけど……でも私ヘカテーじゃ無いよ?」
なんか寂しそうにそう言った悪魔っ子を見て、何かあったのかと思い慰める為に僕は要らぬ事を言ってしまう……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。