第611話「懲りずに遠隔操作で情報収集!?」
僕は皆が見ている前で遠隔操作コアを握る……
理由は何かあったら手首から先を『ちょちょん』と切断して貰う為だ。
正直、色々ありすぎてやりたく無い……それに痛いのは嫌だ。
嫌な理由は他にもあり、エクシアの武器を持つ顔が嬉々として怖いからだが……しかし破壊出来なくなった現状、コアの操作はいつかは通る橋だ。
「安心しな!まさかのときはちゃんと首を刎ねてやるさ!!」
エクシアがニコニコしながらそう言っている……絶対本気だ……
「手首にしてください!!手首は再生ポーションでどうにかなっても、首はそういきません!」
僕がそういうと、『首と胴体に再生ポーションかけたら、コイツ2人にならねぇかな?だってさ、悪魔だろう?死なねぇじゃん!増えたら増えたで、もうミオもシャインも取り合いとか要らねぇじゃん?』とかホラー要素満載の事を言い始める……どっかの恐怖が増殖する映画の様だ。
それに僕が増えたらゼフィも増殖計画に混じってくる……一人欲しいと言うのは絶対だと言い切れる……
しかし、テカーリンは『暴走も二倍だぞ?俺は面倒は見ないからな?』という……酷い話だ……
仮に再生ポーションをかけたとして、心臓のある胴体が再生する一年を頭がどう死なずに持ち堪えるのか……そして頭がない胴体も同じである……
と言いたいが……実は持ち堪えられてしまうのは秘密にしておくべきだろう……
理由の詳細を知られたら『もう人族では無い』と言われ続ける……
と言っても、まぁ『人種』の項目は既にどっかに落としてきた……仕方がない。
それに、何より僕で実験するのは辞めてほしい……仮に生えたとして迷惑なのは僕で間違いはない。
もはやクローンではなく、1年と言う時間をかけた分裂だ……
僕はスライムみたいに元の一個体へは戻れないのだ……困る所の話ではない。
勿論、何事も問題なく今のままの状態で増えればの話だが……変質しているので、どうなるか分からない。
ちなみに僕が死なない理由は、アンデッドだから……とか言う訳ではない……
ゼフィが言った事をそのまま使えば、異世界人は寿命が与えられない異世界の身体の持ち主なので、『流れ』への皆の共通認識が『不死族擬き』の扱いになったくらいなだけだ!
だから死なない訳では無い……寿命が無いだけで『殺されれば普通に死ぬ』のだ。
エクシアが冗談で言っているのは知っているが、再生スキルの確認に自分に傷をこさえる人なので本気で怖い……
僕が死ぬ前にポーションでどうにかならないか?とかは、考えていそうだからだ……
しかし残念な事に、僕と皆が違う点ができてしまった……強制進化だ。
僕の体内に『不死の要素である不死属性』があるのは本当だ……それをエクシアが知る由はないが……
その理由……それは『悪魔種』になったからだ……不死族ではないが『不死の属性』を持つ点は同じだ。
強制進化の段階で、一番初めにダークフェアリーから得た特性にあたる『魔王種』と『悪魔種』。
大凡ダークフェアリーの持つ種の項目『混沌種』から得たのだろう、想像の範疇だが……
だからある意味、エクシアの言葉は当たっている……
エクシアは僕が不死の特性を持っていると、直感で見抜いたのだから本当に凄い人だと思う。
皆には『悪魔種を得た』と言ったが、『不死になった』とは言ってないのだから……
手に入れて気がつく事……『悪魔は死なない』
通常はその世界へ還すことが出来るだけだ……だから時間をかけて必ず戻ってくる。
早くて100年くらいで非常に長くて1000年位だ……これは本能で知り得た情報だ。
そして『消滅と死は別物』……と言うのも、手に入れた種の本能で今はわかる。
死は、輪廻転生が付き纏い黄泉がえりのそれには、アナベルの手を必ず煩わせる。
悪魔種や、その特性を持ち得ている同等の種は、悪魔と同様に『死んでもいずれ』世界に戻ってくる。
それに比べて『消滅』は文字通り消えてなくなり、戻る事はない……滅して『消える』のだ。
存在や概念に至るまで、そのものに関わる何もかもが跡形も無く消え、居た記憶さえも誰も覚えてさえ居ない。
『悪魔として存在して居た事も綺麗さっぱり無に』なってしまう。
僕はそんな事を考えつつも、説明などは到底出来ないと諦めて皆に合図をする。
「で……では……アクセスします!!」
そう言ってからより強く握りしめる……
今は僕の事より、あのダンジョンで今『穢れ』の対処が可能か調べる事と、各階の入り口をトロルが通れるサイズに改造が可能か調べる必要がある。
『こんにちわ!マイ・マスター!思考ベースから同調を開始……質問内容の返答をします。現時点『トレンチのダンジョン』は各種操作が不能です。各種マスターベースにアクセスできません。コアブロックは正規の方法で設置されたコアではありません。違法手順にて複製された恐れがあります。しかし機能に著しい差異は見られません。設置者にコアブロックの認識番号を要確認、それからマスターベースへのアクセスを試みてください。それでも不可能な場合は……ピー………エラー!エラー!!……エラーの修復にあたります……以上報告終了』
最後は全く意味不明だったが、ダークフェアリーが設置したのは確実なのだ……
情報源はあの憎ったらしいフェアリーに聞くしか無い……教えてくれるかは別だが。
諦めかけたその時だった……
『エラー復旧完了……マスターの思考ベースと同調……代案を報告。……コアブロックに既に接続された外部記憶『ダークフェアリー種』の力『次元門』を使用すれば、トロルをダンジョン外部に排出は可能です。次元門は既にマスターへ転送済み……尚ダークフェアリーにはマスターから複写したスキルを返却してあります。尚ダンジョン内部にて、確認中のトロルに変異体を数個体確認『高濃度・欲望の根源』を収穫可能……貯蔵しますか?YES………NO………高濃度の貯蔵量は現在0%』
僕は今の現状、機能が使えなかったのでは?と思った途端、また別の報告が返ってくる……
『欲望の根源もしくは、高濃度・欲望の根源には……収穫の際にコアの機能は使用しません。しかしダンジョン内での高密度の素材分離は、タンクの安全性維持の為オートでは行えません』
僕はよくわからないが、穢れを除去出来るのであれば良いので、YESと念じてみた。
『外部コア端末から意思を確認……エラー!エラー!……外部コア端末の『遠隔操作機能』による処理は現在使用できません……繰り返します。遠隔操作による機能は現在使えません。ダンジョン内部にて直接処理をお願い致します。マイ・マスター』
結局遠隔コアでも何もできないんじゃ無いか!と肩透かしを喰らう……
しかし一番最初に『機能は使えない』と言われているのだから、よく考えると遠隔コアの各種機能とやらが使えないのは当然だった。
今現状の遠隔コアの機能で出来る事は『念話で話す』だけなのだと思われる。
何故ならば、今こうして話しているからだ。
ちなみに話す事や調べることは機能の一部にはみなされない様だ……しかしそれも勝手な想像なので、結局は手探りだろうが……
長谷川くんがこの情報を知る事は無いだろうから、完全に暗中模索だった。
しかし一つだけ原因がこれでは無いか?と思える事があった……強制進化段階での『事故』の一つ……あれは多分この機能障害がきっかけだと思った。
あの強制進化は運が良かっただけで、本当に綱渡りだったのだろう……
ひとまずは、あのトロル達についての報告をしよう……
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