第526話「プロトタイプ・攻撃特化ゴーレム完成」
「ビックリした……ゲームで見るドワーフとは大違いじゃ無いか!それにあのモデルみたいな顔で、鍛冶職人の格好ってギャップがツボだよ……あの女性だけが特別なのかもしれないけどな……」
僕達は唖然としつつその後ろ姿を見送ってから、石大工の工房へ向かう………
「おお!ヒロの旦那!帰って来たんですかい!」
「どうも!モデラ親方実は1体でも石像が出来てないか聞きに来たんです……」
「一体ならあるぞ?2体目は今取り掛かっているからまだ先だがな!また変な事に巻き込む気じゃ無いだろうな?」
「今はまだ……全部終わったら次の準備もお願いします!」
僕は親方と軽く挨拶を交わして『石材工房モデラ』の石像が置き場にモデラ親方と向かい受け取ると、その足で『鍛冶工房フレイムハンマー』のへ向かう……石像に装備させる特注の斧を石像へ装備させる為だ。
これで石像に斧付きの籠手を装備させれば、ようやく魔の森を開拓できる……
そうなれば、木材の収穫も充分増えるし魔の森の侵食を一部だが止められる。
そして土地を祝福して穢れを祓えばその地は元通り使える様になり、新たな田畑を増やしたりも出来る。
新しい屋敷の着工にもかかれるし一石三鳥だ!……
流石にイスクーバが住む屋敷に出入りするのは気が引ける。
そう言っても、あれから一度も屋敷には行ってないが……
鍛冶職人の工房で武器を入手してから、腕にアックス付きの籠手を装備させる。
装備をボルトで固定させて腕部分を魔改造で強化したゴーレムだったが、鑑定すると『キラー・アックス』と言う名前になっていた……もはや名前は魔物の様だ。
僕が石工と鍛冶職人の工房を回る間に皆は暇をした様で、ギルドへ戻っていったので帰りは小煩い小言を言われずに済みそうだ。
帰り際に僕はあの女性ドワーフを思い出して、ある事を思い出す……クリムゾン・ミスリルの事だ。
彼女は『ミスリル鉱石くらい用意しておけ』と言って居たのだからクリムゾン・ミスリルが何に使う物か聴けるかもしれない。
そう思い僕はすぐにクロークから本を取り出して必要素材を見る。
「えっと……必要な物は……」
『金のインゴット』『消化液(強) 1 瓶』『アクア・スライムの粘体1瓶』『火属性魔石』荷物を確かめると全てがある。
最近金塊を2個最近手に入れた上に、他にも以前入手した20キロの金塊もクロークにあるので、それを両方ともクリムゾン・ミスリルへ変換することが可能だ。
お金は必要だが、ダンジョンで手に入れられる可能性は大きい……それに今後領内を改善出来れば、収入も増えて給料も貰えるかもしれない……
領内のお金は流石に自分の事では手をつけたく無い……悪辣貴族反対派としては当然だ。
念の為『火属性魔石』の追加分を買おうと道具屋を梯子するが、属性魔石はそうそう出回らない様だ。
仕方なく諦めて宿へ向かう途中、突然背後から声をかけられた。
「お?ヒロじゃ無いか!まだぶらついてたのか?本当に忙しいやつだな?」
「あ!ベロニカさん!いや……実は宿に早く戻ろうとも思ったんですけど、火属性の魔石捜してたら結構時間かかっちゃって……」
「火属性の魔石?そんな物何に使うんだい?まぁどうせアンタの事だから意味分かんない物作るんだろうけど。ちょっと待ってな、確かマジックバッグに……あったホレ!」
火属性の魔石をベロニカは、無造作に僕に投げて渡して来た……意外と属性魔石は高いのだがベロニカは御大臣なのだろうか……
「アンタにはダンジョンで色々世話になてるからね!何に使うか分からないけどこの街を破壊する物は作るなよ?じゃアタイはエクシア姉さんと待ち合わせだから!!」
僕は魔石の代金を払おうとするが、受け取らずにさっていくベロニカはどことなくカッコよかった……
エクシアとの待ち合わせだから急いでいたとも言えるが……トレンチのダンジョンで手に入れたスキルのお礼の様だ。
他に必要なものがあったら遠慮なく聞けといっていたので、かなり感謝されている様だ。
僕は急いで宿に戻ると、自室へ続く階段へ駆け上る。
「おお?帰ったのか?飯はどうする?必要なら部屋に持っていくぞ?」
「すいません!自室で食べるのでお願いします。ちょっと作業があって時間が欲しいので!」
部屋に入ると、ベッドの上に飛び乗ってすぐに作業に取り掛かる。
魔力容器に金塊を放り込んでから粉砕する……金と言うだけあって切削するのは容易では無い様でゴリゴリMPが無くなっていく。
その後、消化液と消化液(強) 1 瓶とアクア・スライムの粘体1瓶を混ぜ合わせて、切削した金塊の粉末を入れてから混ぜ合わせる。
火属性魔石を投入して魔力を加え続けると、魔力容器の中が溶鉱炉の中心部の様な色合いになるが、魔力容器が障壁の代わりになってくれている様だ。
万が一熱が漏れて居たら、大火傷では済まなかっただろう……
錬金の書は基本的に書き漏れがある様だ……それもかなり重要な事が抜けている様に思える。
もしわざと書き記さないのだとすれば、相当性格が悪いだろう。
「まじかい……兄ちゃん!そんな危ない事を宿の二階でやらないでくれると助かるんだがな……まぁ燃えても貴族待遇があるから、今よりいい宿屋に建て替えて貰えるだろうけどな!って言うか……あんちゃんも男爵様だったわな!」
『じゅわわわわ……じゅー』
火属性の魔石が燃え尽き出来上がったクリムゾン・ミスリルが入った魔力容器に、魔力を溶かした水を満たして冷却する。
すると金塊が変質して出来た紅いミスリル鉱石が出来上がった……
「ああ!すいません意外に早く持ってきたんですね!時間かかるかと思ってちゃちゃっと作ろうとしたんですが……言い訳ですが魔力容器の周りが魔力障壁になってて熱も伝わらない様なんです!」
「構わんさ!このボロ宿も建て替えられれば嬉しいしな!そもそもワシが何時迄も此処で宿屋が出来るとは思わんからな!さぁ飯持ってきたぞ!冷めないうちに喰いなされ!」
僕は冷やしたクリムゾンミスリルを机に置いて宿飯を受け取る。
「因みにそれは何に使うんじゃ?そもそも金属のインゴットに見えるが?マジックアイテムの類には見えんのだが?」
「もぐもぐ………むぐ……んぐ……ああ!……これはですねクリムゾンミスリルって言う金属インゴットですね。ドワーフの方が街に来ているのでこれがあると何が造れるか聴いてみようかと!」
「なるほどなぁ!研究熱心なのは良いが休む事も忘れない様にな?帰ってきてそうそう休まず動き回ってると聞いたぞ?お仲間に……それにしてもミスリル鉱石を作れるとは……いやはや魔法と言うのは凄いな!」
宿の親父さんは少し話してから『食べ終わったらドアの前に空の器を置いといてくれ』と言って下に降りていった。
僕はリュックから勝手に這い出してきているスライムに夕飯を分けていると、部屋に飛び込んでくるなり悲痛な表情を浮かべ『一緒に来てください!一大事です!ジェムズマイン始まっての危機の到来です!』と言ったのはザムド伯爵の所のラル(執事筆頭)とグラハム(執事)だった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
僕はスライムに夕飯を全部食べてて良いと言うと、いっぺんに纏めて捕食する……
僕はスライム達は置いていこうと思ったのだが、置いていかれない様にスライムは食べ切ったあとそそくさとリュックに戻り、僕に『一緒に連れて行け!』の催促をする……遊びに行くのでは無いがグラハムの取り乱し方を見る限り状況を選んでいる余裕はない。
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