第444話「成す術なし!?倒れるロズとソウマ」
全員が戦闘に集中しているので、リズムを崩す恐れがあるので声をかけずにすり抜ける。
レッドアイズの先には『アイアン・タンク』のメンバーが戦闘をしている。
彼等は4人で数が少ないのに奮闘をしている。
リーダーのダウもその弟のガウもタンクなので、ガウが攻撃を受け止めてダウが仕留めていた。
回復師のマウニーは全員の回復を確実に行いつつ、シーフのルーナは遠距離攻撃で敵を牽制していた。
「ヒロさん、早く抜けちゃってください!此処は平気です!ダウもガウも兄弟でコンビネーション抜群ですから!」
回復師のルーナは僕達にそう言って、通り抜ける様に促した。
彼女達の武器は水精霊のダンジョンで手に入れた、銅級冒険者には過ぎた武器だったが、それがあったお陰で此処ではかなり優勢に運べている様だ。
そして脇腹を押さえながら先に進むと、アルベイがこちらに戻ってきていた。
どうやら既に魔物を始末し終えて、仲間の増援に戻っている最中だった。
「儂等はヒヨッコ達の面倒がある付いては行けん……言い出しっぺだからな見捨てる訳にはいかん。エクシア、ヒロこの先気をつけるんじゃぞ?無茶はすんな!終わり次第門の前に行く!」
「すまないね!ギルマスのアタイより、アンタの方がギルマスの資質がありそうだ!はははは!」
「勘弁してくれ!そんな面倒なもん要らんわ!ああ……それとギルド職員達はそこの出口から出た位置で待っとれ。此処が終わったら儂等と合流じゃ!向こうに行って通路巡回の魔物に出くわしたら面倒じゃ!じゃあ頑張れよ!」
アルベイはそう言って、先に増援に向かった仲間を追いかけて行く。
「なかなかな奴だよ……アルベイは!さぁさ!彼等の努力は無駄に出来ない行くよアタイ達の役目を果たそうや!」
エクシアのセリフで僕達は部屋の出口を目指す。
出口になんとか到達した僕達は、息を整えながら通り過ぎた部屋の中を見る。
アルベイ達は銅級冒険者をフォローしながら、実践指導を兼ねて戦っているようだった。
ギルドの職員のメイフィは、ミオの腕をガッチリ掴んだ状態で……
「では私達は邪魔になるので、この出口付近で注意しながらアルベイさん達が来るのを待ってます!この先は『例のダンジョンの主』の部屋ですよね?決して無茶しないでくださいね?」
メイフィはそう言うと一つの袋を渡してくる。
「中身は中級ポーションです。5本しかありませんが万が一の時は遠慮せずに使ってください。まぁゴーレムに召喚にあの魔法があるヒロさん達には必要ないでしょうけど……」
僕は中からポーションを取り出すと、ロズとエクシアにベンとソウマに渡し最後の一本はシャインへ渡す。
「おいおい?ヒロが持っていた方がいいだろう?これ俺らが持ってても最終兵器が死んじまったら……」
「そうですよ!私さっき初級ポーション2本も…………あ!………」
「「「「あ!!」」」」
「そう言うことですね……それに物理的に無敵なアクアプリンがいるので、防御面は魔法だけ気をつける感じで良いかと」
「なんかヒロの戦い方聞いてるとさ……インチキ臭いよね……アタイ達が一生懸命死にそうになっているのが馬鹿みたいだよ!!」
「なんで一生懸命『死にそうに』なってるんですか!ちゃんと真っ当に生きてくださいよ!」
僕がエクシアを弄ると全員が『大爆笑』していた……
「じゃあ悪いけどミオとそのお仲間一行は足手纏いだ!中に入って誰か死んだら困るだろう?」
エクシアはそう言うと、ミオの頭をグシグシして『すぐ終わる!』とだけ言って10階層にある、このダンジョンの主の部屋に向かって行く。
「いいかい?ロズとソウマが先頭だそしてアタイとベンにベロニカ、アタイ達の後ろにヒロとゲオルとシャイン、その後にユイナとミクにカナミとアーチ、最後にユイとモアそれにスゥだ!」
「「「「ハイ!!」」」」
「此処はオーガが出てくるが2パーティーで入った事はない……何が起きるかはアタイにも全く分からないからな?それに部屋にはあの『名前付き』がいる可能性も大きい……自分の身は自分で守るそれが『冒険者』だ!じゃあロズとソウマ頼んだよ!」
ロズとソウマが中に入ると、追いかけるようにエクシア達が入って行き……そしてすぐに僕達の番になった。
巨大な門を潜り中に入る……そこには『オーガ』と呼ばれる個体が1匹だけ居た。
しかし一目で『ヤバイ』と言うのが分かる……背中を冷や汗が流れるからだ。
入ったものの一歩も動けない。
何故ならば先に入ったはずのロズとソウマが居ないのだ。
それどころかエクシアとベンも何故か居ない……目の前に居るのはベロニカだけで、固まったまま動かない。
部屋をよく見るとロズとソウマは既に左右の壁に叩き付けられて、気を失っているようだ。
この状況が飲み込めない僕達は出入り口で硬直してしまう……そのせいで後続が入れない状態だ。
状況が飲み込めたと同時に、ベンの声が聞こえた。
「すぐに逃げろ!!…………」
『ドガン!!!』
「グアァ……………」
その一言をベンが言った瞬間……ベンがその場から消えて壁に叩きつけられる。
慌てて僕は『空間感知』で部屋を見ると……凄い速さで動く『何か』が居た……高速移動する為に目視など出来ない。
僕は急いで簡易鑑定で壁に叩き付けられたソウマ達を鑑定する……
ソウマ『瀕死』・『再生』・『気絶』・『出血』
ロズ 『瀕死』・『再生』・『気絶』・『出血』
ベン 『瀕死』・『再生』・『気絶』・『出血』
「くそ!!気絶してる……ヤバイこれじゃ死ぬ!」
「何してんだい!早く部屋から出ろ!コイツ達は前の『オーガ』じゃない……こんな奴等見たこと……ガハ!!」
『ドガン』
「ゲホゲホ……ガハ………」
僕達を逃す為に気をこっちに向けたエクシアは、オーガの不意の一撃を真面に喰らい壁に叩き付けられる。
エクシアは口から大量に血を吐き出すが『気絶』していないので、必死にポーションを取り出して飲もうとしている。
ベロニカは割と僕達に近い場所に居て、仲間が吹き飛ばされていく状況が飲み込めずに硬直している。
『空間感知』に頼る形になるが、僕は魔物の居場所は把握できる……
その魔物達は『油断』している可能性がある……何故ならばソウマ達のトドメを刺さずに居るからだ。
ちなみに見えない敵は、エクシアがオーガの攻撃受け吹き飛ばされ目標が無くなったことで、止まれずにいた。
そしてその敵は壁に激突して爪痕だけ残して、打ち返されたパチンコ玉の様に反対方向へ行った。
何故かベロニカを狙わずに、真っ直ぐ反対方向へ向かう敵……
………ベンもエクシアも『逃げるよう』に言った瞬間吹き飛ばされた。
オーガはエクシアの方をチラ見したが今は何故か動かない。
『早くて見えない敵』は『音』に反応している可能性があるが、オーガの攻撃パターンは不明だ。
僕は『空間感知』で確認しながら、安全を確認して『ゴーレム』を1体取り出しすぐに指示を出す。
「5歩前に進み地面を叩き割れ!!」
『ボゴォォン』
『感知』には予想通り、ゴーレムの歩く音に反応した魔物が突撃をしていたのが映っていた。
しかしこの魔物は、岩を壊せる攻撃力が無い事は壁で確認済みだ。
僕は今のうちにオーガの位置辺りに『召喚』を試みる……当然『物理攻撃無効』の魔物を召喚するのは分かりきっている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。