第425話「祝福トーテム?呪いの木像の間違いじゃ無いの?」
「エクシアさん早く使わないと制限時間はまずいですね……どうします?時間はマジックバッグに入れたら止まりますかね?」
エクシアの『それだー!』の一言でマジックバッグにしまったが、全く効果が無く時間はどんどん過ぎている。
「時間が止まりませんね……そんな甘いアイテムじゃない様です……それに、そもそも使い方も分からないですからね……」
僕がそうエクシアと話していると皆が気になっていたので覗きにくる。
順番に手に取ってモノクルと共にたらい回しをする……そして一番最後にアーチが手に取って見ていると……
「変な人形ですね……トーテムってあのトーテムポール的な物ですかね?あれ?ここが回ります…………あれ!?文字が書いてある……『テム・ロム・フェ・ムス・ノスフェラートス?』………うわ………ちょっと!……うわわわわ!」
無用心に書いてある何かを読んでしまったアーチを中心に、真紅の光に包まれる………
「何してんだ!アーチ!!」
「ちょっと……ヤバイ!ヤバイって!!」
血相を欠いたベンとベロニカが、アーチからトーテムを受け取るも……どうして良いかわからない為に、3人でお手玉の様に『ポイポイポイポイ』としている。
「アーチ!あんたぁ……何やったんだい!!」
「ごめんなさーーーい!!やらかしたーーーー!!」
僕はモノクルとトーテム像を受け取ってから、よく観察すると今までなかった魔法文字がトーテム像に刻まれている……何が書いているかわかれば良いと願いつつ慌てて鑑定をする。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
祝福トーテム『始祖の恩寵』
祝福トーテムの力を解放する事で、
範囲内全ての者に特殊能力を授ける。
特殊能力『再生※パッシブ』
取得者
野口茜・厚見雛美・エクシア・ロズ・
ベン・ベロニカ・石川美香・伊澤結菜・
ゲオル・黒鉄そうま・ミオ・メイフィ・
野口洋・スライム・シャイン・イーザ・
アバカム・タバサ・ミミ・ムロド・グラ
ッパ
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「ヒロ……何かわかる?………なんかごめん!まさかこんな事になるなんて……」
僕は今起きたことを、想像を踏まえて説明する。
まず広がった真紅の光は、祝福トーテムの効果範囲と思われる事。
そしてロズをモノクルで鑑定する……見たのはロズ本人で、自分自身に新能力が有るかを確認してもらった。
当然、特殊能力『再生※パッシブ』を得ていたので、トーテム像の魔法文字は得た者の名前だろう……と言っておく。
この文字は僕を含めて誰も読め無かったので、アナベルにでも聴くしかない。
「凄いね!本当に『再生』されてるよ!」
それからエクシアはナイフで指を軽く切って確かめていた……
「エク姉さんくらいっすよ?自分で切って確認するの……ヒロにモノクル借りれば良いじゃないですか?」
ロズが最もな事を言うが、エクシアは『せっかく再生特性持ったんだよ?傷が再生されるところを見たいだろ?ちゃんと確認することが大切なんだよ』と言っていた。
ちなみに鍵師にもお願いされたので、モノクルを渡すと『再生』とは別のことで喜び……
「おおお!鍵開けスキルも、罠外しスキルもレベルが上がった様じゃ!今日ダンジョンに同行して良かった!!」
エクシアが痛々しい確認作業をしている間に、やる事のない周りは討伐部位集めに勤しんでいた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
銀貨50
ダークゴブリンの目玉 4
ダークゴブリンの指 3
ダークゴブリンの耳 6
ダークゴブリン・フェナティックの心臓 2
ダークゴブリン・フェナティックの右手 2
ダークゴブリン・フェナティックの焼印左手 4
ダーク・ホブゴブリンスキン 2
ダーク・ホブゴブリンの頭蓋骨 1
ダーク・ホブゴブリンの血液瓶 1
闇属性・中級魔石 1
闇属性・中級魔石(大) 1
ダーク・トロル・スキン 1
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
それから僕達は14箱の宝箱を分配する事になったが、人数がちょうど合っていたので一人一箱の分配で纏まった。
当然だが、ギルド職員が貰える分配は無い。
『階層主からの褒賞』が9個『ガーディアンの財宝』が5個の分配をする事になったが、箱はとても重いので持って帰れない以上マジックグローブで回収するしかない。
「じゃあ丁度『ガーディアンの財宝』が5個だから、今日の昇格組がより珍しい5個の方でどうだい?」
「エク姉さん異論なんてあるわけ無いっすよ?……そもそも一人一つの宝箱は異常ですから!箱が丸々貰えるだけラッキーっすよ!まぁヒロが一緒なら、この異常も慣れましたがね……」
エクシアの言葉にロズが『異論無し』を告げるが、そもそもロズが貰うのは『良い方』だから……皆に恨まれるぞ?と思った……
「じゃあ決まりだ!さて……予定とは若干異なったが……良い結果だったな!あ!!下の奴らも一緒に居たら全員『再生』の特殊能力持ちになったのに!」
そんな風にエクシアが言ったが……ミオが……
「もうその時点で危険なギルドですよ?メンバー全員が『再生』持ちって……有り得ませんから……って言うかこの人数が『再生』持ちっておかしいですから!」
確かにその通りだけど……そもそも、それだけの魔物と戦っていた事を忘れては困る。
名前持ちのユニークモンスターだ……そして僕はエクシアの言葉で大変な事に気がついた……
「エクシアさん……さっきのダーク・ホブゴブリン下層へ降りましたよね?下には仲間が………あの魔物が姿を消して、戦闘中の仲間に近付いてたら……下の大半は銅級冒険者ですよ!」
「「「「「あ!!!」」」」」
「くそ!そうだった!!宝箱で浮かれてる場合じゃ無かった!よく気がついたヒロ!行くよアンタ達!」
僕達は自分の戦闘が終わった為に『安心し切って』いた。
既にこの階層の冒険者は『襲われた』のだ……下の階層だって鉢合わせすれば間違い無く『襲われる』筈だ!!
僕は急いで、宝箱を回収してからゴーレムを順次回収していく。
その間にロズ達は、ゴーレム達が放り出したパヴィースシールドを回収する。
二人一組で必死な思いをして、6個の盾を持ってくる。
「ヒロ準備は良いかい?直ぐに6階層へ降りるよ!」
エクシアはすぐに安全地帯の先にある階段を目指す……僕はゴーレムの捥がれた腕を回収してから一緒に下へ向かう……
6階層へ降りると、以前来た時と変わらず朽ちた街並みだった。
「急ぐよ!アイツらどこで狩りしてるか分からないからね!」
エクシアの顔に若干焦りが見られる……それもそうだ……多くの戦闘をこなすエクシアでさえ、気配を感知出来ず腕を切り裂かれたのだ。
エクシアと共に暫く進むと、戦闘中の一行に出会した……
「うぉらぁ!……ウスノロオークが……おいショウ!トドメをさせ!おいペタ、踏み込みすぎだ!後ろのショウの事考えんかい!後ろの敵を確認してから次を引かんかい……そんなんじゃそのうちメンバーが大怪我するぞ!」
輝きの旋風のリーダー『アルベイ』がギルドメンバーの『スノウ・ベアー』のペタ(タンク銅級 3位)を叱りつける……
ショウ(戦士銅級3位)は『スノウ・ベアーのリーダー』であるが、今は『総合リーダー』のアルベイにリーダーとしての指導を受けていた。
「アルベイ!無事だったか!………ペタ、ショウ!退きな!邪魔だから此処はアタイが引き受ける!!オラァ!!」
数匹いたオークの太い首を最も簡単に切り落とすエクシアの攻撃に、見惚れる最近ギルドへ入ったばかりの銅級冒険者達……
「どうしたんじゃ?やけに急ぐな?エクシア……」
「ああ!やばい事になった……あれが最後の2匹だ!アルベイとラバルちょっと手伝え!」
銀級3人の連携を見て銅級冒険者達は『すげぇ!』と声を上げる……
エクシアとアルベイにラバルの3人を相手に、オークはなす術もなく倒されてドロップアイテムの『オーク肉』に姿を変えた……
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