第379話「戦闘!!桁違いの脅威度……トンネルアントの変異種」
「な!成程……そんなに美味いのか……『ゴク』……ちょっと回収していこう!!」
そう言ってマルス達一行も回収を始めるが、既に多くのトンネルアントマイタケはエルフ達に回収され、マルスは僅かにしか集められなかったが、僕と話をしていたテーツンはコレは集めるべき!と思ったのかエルフと一緒に我先にと回収していた」
階下にいく為の階段を探している間に、テーツンは火の生活魔法で炙り焼きにする。
「なぁテーツン……俺にも一口くれよ?」
マルスはそう言ってひと口食べたら、目を見開いて『うめぇ!まじで意味わかんねぇくらいうめぇ!!』と言い出したので、僕は……
「食べるかどうかは、見つけたら『鑑定スクロール』で鑑定すると、食べれるかどうか分かりますよ。今まで見た感じ別の種類は生え無いみたいなので。でも確実に『鑑定』で調べる事をお勧めします」
そう言うとフィナという回復師が『毒キノコもありますからね〜』と言うと、マルスは恥ずかしそうに下を見る。
どうやら以前試しに食べたのだろう。
「あのときは酷かったねー皆の前で………『フィナ!結婚してくれ!』とか言うんだもん!」
そうテーツンが言うと……マルスが『お陰で嫁さんになったんじゃないか!怪我の功名だろう?』と言う。
フィナが説明してくれたが、マルスは幻覚キノコを食べて寝込んだあと、起きた瞬間幻覚作用でデート中の幻覚を見たらしくそのまま告白したらしい。
まぁ晴れて結婚したならいい事だが、それ以来キノコを食べる度に言われるらしい。
ちなみにそのときはダンジョンで彷徨い空腹に耐えかねて食べたらしいが、偶然通り掛かったパーティーの援助で地上に帰れたらしい。
そんな話をしていると、僕は空間感知に『隠し部屋』を見つけた。
誰かシーフさんはいますか?
すると誰よりも早く手を挙げたのはテッドと言う冒険者だった。
「実は隠し部屋があるんですが開け方が分からなくて……この壁の向こう側です……」
僕がそう言うと、彼は岩肌の壁を探しつつ丸い窪みを発見して何やら工具を取り出す。
引っ掛けてからロープを括り付けて皆に合図をする……
「皆下がって!罠があるかも知れない!そのつもりで!」
そう言って勢いよく引っ張ると、壁が外れて倒れる。
罠は無かったが、非常にカビ臭い……悪魔っ子が言っていた気持ちがよくわかる。
「うわ臭い!!ゴホゴホ……ああ……辛い……この匂いは………ゴホゴホ」
シャインのその言葉に、リュックからタオルを出して口元を押さえる様に渡す。
「中にはカビた木箱がありますね……」
そう言ってテッドが布で口元を押さえながら近寄ると、フックを噛ませて戻ってくる。
「じゃあ引き寄せます……あの中はカビ胞子が凄いので、行かない方がいいですね!」
そう言って引っ張って引き寄せると、剣の柄で木箱を破る。
僕の鑑定でも『木箱』としか出ないので、宝箱では無いとテッドも分かっている様だ。
しかし開けてみると、山程の金塊が入っていた。
「「「「「うぉぉぉぉぉ!」」」」」
ひとまず金塊を手に取り鑑定すると………『盗賊団の金塊』と出る。
盗賊団がトンネルアントに襲われて、そのまま運び込まれたのでは無いだろうか?そして、そのままその巣がダンジョンになり現在に至るのだろう。
発見者に取得権があるらしいので、それを地下二階に降りたパーティ全員で分配する。
「パーティーリーダーに渡しますので、メンバーの皆さんに等分してあげて下さい」
僕がそう言うと『マジか?何言ってるんだ?』と声が上がるが無視して配って行く。
全員が『本当に貰っていいの?』と言う顔でお互いの見ている。
それを見たエクシアは……
「アタイらはお宝探しや『ダンジョン』を巡りに来たんじゃ無い!このダンジョンを『倒しに来た』んだ!これはその報酬だと思うんだけど?アンタ達は……違うかい?」
その言葉に全員が頷いて、気持ちを一つにした様だ………
「これ最後の金塊ですけど……」
僕が的外れな事を言ったせいで気分が台無しになったが……全員が見つけた者の特権だから貰っていいと言われて、僕は仕方なくマジックバッグへしまう。
そして皆で階下の階段を探して歩く。
階段を見つけて地下三階へ降りるが、階段は土製でなく石で出来た階段だった……そして地下三階は急に石造りになっていた。
しかし魔物は相変わらずトンネルアントだ。
本来トンネルアントの巣だと、こんな数が居ない筈なので何が起きてこうなったのか気になる所だ。
「来ました!トンネルアントの………なんかコレは……」
そう言ったエルフの弓を構える先には、見たこともないトンネルアントが居た。
見てくれは一見トンネルアントだが人間の上半身がくっついている。
鑑定をすると……『トンネル・アントマン(ウォーリアー)』と表示される……トンネルアントと人間のハイブリットだろうか?
アラーネアを彷彿とさせるが、アラクネ種では無い筈だ……蜘蛛ではなく蟻なのだ。
「キュキイキ………キキ……キューキュイイキキキ」
「キュ……キイキ……キキキキュイキキ……キキキ……キューキュイキイキ…」
甲高い音を鳴らすが何かの仲間同士の意思疎通だろう……鳴き声の後にすぐに戦闘になる。
武器を構えるが、何かが飛んでくる……よく見ると小さな石を飛ばしてくるが、その貫通力は凄まじい。
金属を打ち付けているだけの盾では、到底弾けない遠距離攻撃だ。
前にいた戦士が持っていた盾を貫通して後ろに飛んでくる。
今までは探索優先だったので、シーフとすぐ対応できるアタッカー型の戦士が前衛だったが、すぐさまフォーメーションが変えられタンクが前に出る。
「気をつけろ!金属盾以外は反通すると思え!」
そう言った戦士は跳弾回避用に盾を構えるも、台詞からはあまり防御効果に期待はしていない様だ。
『ウォーター・ジャベリン』
僕は3本生成して放り投げるが、まともにヒットしたのは1本で、それ以外の2本は脚に当たり甲殻を破壊するだけだった。
素早く避けたのが、相手側は功をなしたのだろう。
しかし1匹は倒せたので、良しとしよう。
「空間感知に出たのは目の前の後2匹です!」
僕はそう言うと、クロークから炎の弓を取り出してマジックアローを放つ。
脚に刺さった1匹は火だるまになり途端に『パニック』と表示される……昆虫だけに火の効果は絶大なのだろう。
そこを逃さず、エクシアは切り込んで胴体を切り離すが、絶命はしない……。
「くそ!コイツ下半身だけでも生きてやがる!」
そう言って、エクシアは剣を振り下ろすと絶命するトンネルアント……
僕が放った一本めのウォーター・ジャベリンは蟻の本体に当たったので多分絶命したのだろう……よく見れば人間の形をして動くが蟻にはちゃんと顔がある。
脳が二つある可能性も出てくる……高度なコミュニケーションは上が取り、それが出来なくなると下半身だけで活動する可能性も出て来た……
それならば初めから下半身の蟻部分を狙うのが得策だ。
弦を弾き撃ち込もうとするが、既に攻撃を見られた為に単独で撃っても避けられるだけだった。タンクがじわじわと間合いを詰めつつ、アーチャーが誘導する様に弓を撃つ。
飛び跳ねた一瞬を狙い蟻の頭にウォーター・バレットを撃ち込むと、上の人部分はビックリした顔をしてから動かなくなる。
やはり弱点は下のアリ部分だった。
「なんだコイツは……見たこともない魔物じゃ無いか!……ダンジョン特有種か?」
多くの冒険者はそう言うと、消えて行く魔物を見続けた。
そして倒した後には宝箱ではなく、属性魔石が出た。
「あ!属性魔石だ!」
珍しく僕が良い反応を示したせいか、周りの皆は取得権を拒否するので、結果的に3個とも僕の持ち物になった。
手に入ったのは『岩属性の魔石』でかなり珍しかった。
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