第342話「今だ!逮捕だ!!女公爵の関係者!!!」
「貴様がドクリンゴ様を追い詰めたとて、『我々』がいる限りあの方はまだ終わりでは断じて無い!いい気になるなよ若造が!!!お前も精々気をつける事だな!お前達も誰さんと同じ病気になったり、もしくは骸になって居るかもしれんからな!」
そう言った時、新たな僕の援軍が来た……ザムド伯爵一行だ……多分箱を開けるのが気になっていたのだろう。
ザムド伯爵はテイラーとシャインにロズとベンの4人を伴って後を追ってきたようで、当然だがウィンディア男爵も一緒だ。
「ほう?ドクリンゴ一派とは恐れ入った……明日は病気か骸か?ならば脅迫罪及び王家への反逆罪で捕縛せねばな?者ども!シリウス殿下の殺害未遂に連なる者だ!逃さず捕縛せよ!」
突然話に割って入るザムド伯爵にすごく驚き、
「なぁ!?何故此処に!ザムド伯爵が?」
いや……だから箱に中身が気になってだろうよ!そう思って答えようとしたら、王の側近が先に話を始める。
「先ほど聞きました件、しっかりと説明を頂きますよ……アーコム子爵様?貴方はこの地区を『管理』する事を陛下から厳命された筈です!勝手に商人へ『売って』いい訳ではありませんよ?」
そう言った王の側近は、既に前からアーコム子爵の最近の動きを調べていた様だ。
『まさかドクリンゴ女公爵とも繋がりが有ったとは』……と言い非常に怖い目でアーコム子爵を睨む。
そして一言……
「スワン通りに出て衛兵を今すぐ呼んできなさい、王族への反逆者です。私は後ほどこの件を陛下へ伝えて対応を取ります故ヒロ様達はどうぞお気になさらず」
そう言って側近は僕が投げつけた金貨袋と、飛び散った金貨を拾い集めるが、孤児院の子が一緒に拾ってくれている。
「いい子達ですね!申し訳ありません……この国の子爵ともあろう者が、貴方達を傷付けてしまい……誰も好き好んで親を亡くした訳ではないでしょうに……王はアーコム子爵の臨機応変さを買って此処の管理者に当てたのですが……申し訳ございませんでした」
そう言って子供達に謝る側近さんは、すごく心が優しい人だと僕は思うしかなかった。
それから金貨袋を僕に渡して、馬車へ向かおうとするが……僕は、
「側近さんちょっとだけギルドに行く前に時間いいですかね?此処の荷物を中に入れないと……周りは子供達だけなので!」
そう言うと、ロズもベンもテイラーも手伝ってくれた。
僕は小さい子まで手伝おうとするので、シャインにお願いして出店で食べ物を買ってきてもらう様にお願いした。
当然子供達同伴で行ってもらう訳だが……
「お婆さん、シャインさんと出店巡りして来てもらっていいですか?ちっこい子が手伝うと怪我したりで……危ないので。君も一緒に行ってもらって来て良いかな?子供が多いから迷子になると困るし!」
そう言うと、お婆さんとアーチと呼ばれた子はシャインと一緒に買い出しに行く。
僕はさっきの金貨袋をシャインに渡すと、皆がビックリした顔で見ていた。
「ちゃんとお釣りは返してくださいね?」
そう言うと、『金貨150枚も全部使って何を買うんですか!』とシャインとアーチは声を揃えて笑っていた。
暫くかけて中に家具を仕舞い込むが、殆ど家具は無かったので呆気なく終わった。
配置はざっくり置いたので全員が帰って来たら置き場を再検討するしかない。
何故ならば何処に何が置かれていたかなど知らないからだ。
「ただいまーーー!!」
元気な声と共に子供達は手荷物一杯の状態でシャインが帰ってきた。
串肉やらパンやら魚やら朝市で買って来た様だ。
「ヒロ様!お肉と野菜が安かったのです!朝市の売れ残りが安値で残ってまして、いっぱい買って来ました。コレで美味しい野菜炒めも作れますし、夜はお魚ですよ!子供達も好きだそうです!」
そう言ってシャインは金貨袋を返すが1〜2枚減ったかな?としか思えない量だ。
金貨の減り具合には反比例して、かなりの買い込み量がある。
この孤児院で食べるから、どんな量でもすぐには無くなるだろうが……
流石、朝市の売れ残り……買い物上手!としか言えない。
しかし、それを聞いたテイラーは頭を抱える。
シャインは、まるで自分が料理する様に言っていたからだ。
「シャイン……良いか?ヒロは今から『王都のギルド』へ『宝箱を開けに』行くのだぞ?料理をして居る暇は無いし、そもそもヒロ殿は既に『朝ご飯』は食べていたぞ?お前も同じテーブルに居たじゃ無いか!」
そしてテイラーがやらかした。
子供の前で『宝箱』など言えば大事だ!『見たい』から『見せてー』になって群がるチビゾンビの出来上がりだ。
「分かったーーーーー!!出すから!肩車で乗るのは辞めなさい!女の子でしょう!そんなに肩車で騒いだらパンツ見えちゃうよ!ロズのおっちゃんとベンのおっちゃんに見られちゃうよ!」
そう言うと、飛び降りて『きゃー』と言って隣の部屋に隠れるちびっこ……非常にわんぱくだ。
しかしロズとベンには好評だった……素晴らしい反応だったからだ。
「「誰が覗くかーーーー!!」」
そう言いながらも追っかけ回しに行った……うん!!変態確定だ!!エクシアに燃やして貰おう!
それにしても子供達は隙を見せると登ってくる……かなり乗り慣れているので、アーチにはいつもこうやって乗るのだろう。
そのアーチは子供扱いが上手く、
「ほら!アンタ達!ちゃんとお礼言って、ぐちゃぐちゃになった台所片付けるよ!貰った物でスープとサラダ作らないと!久々にご馳走だぞ〜!!誰が一番に台所行けるかな〜?」
そう言ってアーチは会釈してから、子供数人に買って来た荷物を持たせて持っていく。
「あ!置き場聞いてないので適当に置いてます!」
僕は大きな声でアーチに伝えると、
「大〜丈〜夫でーす!それぐらい自分たちでやりまーす!」
と大きな声が返ってくる。
非常に元気ハツラツだ。
そんなやり取りを見てお婆さんは、僕達にお礼を言う。
「すいません!冒険者様……何とお礼を言えば良いか……助けて頂いたばかりか、家具や荷物を中に入れて頂き……その上、施しまで……」
「構いませんよ!元々僕が居たところでは、父が『ボランティア』好きで良く手伝ってましたし、ボーイスカウトで『募金箱』とかの集金もしてたので、苦しい時は助け合いと学んでますしね!」
そう言うと、お婆さんは不思議そうな顔をする……
「すいません……『ボランティア』って何でしょうか?後『ボーイスカウト』や『募金箱』とは?知らない単語ばかりで……学がなくてすいません……」
そう言われてやっちまった!と思うしか無い。
周りを見ると当然皆不思議そうな顔をして、何を言っているかわからない素振りを見せる。
まぁ適当に誤魔化せば良い……
「ああ!そうか僕の村特有の言葉だったんですね!『トウキョウ』って村で育ったので独自な言葉が飛び交っていた様です。皆に話すと大概そう言われます!」
しかし次の瞬間皆が異常な反応を示す……此処に残った子供達だ。
「「「「トウキョウーーーーー!!!」」」」
「アーチちゃんと同じ事言ったー!」
「うんとね!アーチはねトーキョーから来たんだよー!」
「そー!アーチはね!お城の外で倒れてたの!トーキョーから来た!トーキョーから来た!って最初はずっと言ってたんだよー!」
子供達が矢継ぎ早に話しかけて来るが、全部内容は一緒だ。
そして、お婆さんが僕を見て話してくる。
「アーチは多分貴方の村と同じ同郷の子ですね……どの程度の村かは存じませんが、あの子が来て既に1年……最初は泣いてばかりでしたが……最近は明るくなりまして……良かった!同じ村の人に会えて!こんな奇跡が!」
僕はお婆さんと話していると、ちびっ子が大声で叫ぶ。
「アーチィ!この人トーキョーから来たってさーーー!!」
『ドンガラガッシャーーーーーーン』
すると向こうの部屋で、沢山の皿が激しく散らかる音がした……
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