第224話「モアの失意!私のお肉ちゃん……攻防の勝者は!?」
ユイは的確に僕が聞きたいことに応えてくれるようだ。
まずは今日から既に必要な、銅級フロアの間取りについての説明で指差で教えてくれた。
『一般依頼窓口』……一般依頼をする窓口、主に街で暮らすものが使用する。
『貴族専用依頼部屋』……個室になっていて入り口さえ『貴族専用』である。部屋は二重壁になっていて中間には魔法の防音措置がされている。
『売店』
・魔物部位専用『売買』……必要に応じて魔物の部位を売買でき、装備品制作の必要素材を予約依頼(前金)できる。
・冒険用品『売買』……冒険に必要な日用品を買うことが出来る。ダンジョンで手に入れたアイテムの買い取りも時価で出来る。
・ギルド内飲食類『購入のみ』……酒類や食事を提供。メニューは基本的には日替わり。(異世界では需給体制が整わない為)
・アイテム委託販売……手持ちアイテムや装備品の委託売買。販売手数料を差し引かれ売却、又は希望装備(前金制)の募集。
『解体窓口』
・魔物の解体……持ち込み個体の解体。費用は主に素材払いとなる。(全部位素材が必要な場合、貨幣払いも可能)
『冒険者窓口』
・討伐任務・収集任務・採集任務から選択可能(常時)※ペナルティ無し
『討伐任務』………特定個体を討伐し、『討伐証明部位』を持ち帰る。
『収集任務』………『魔導師ギルド』『魔術士学院』の依頼が主。魔物の生捕、各種魔石の収集、特定ダンジョンアイテム回収
『採集任務』………指定素材の採集。(草花、樹木、鉱石、魔物部位、食材……etc)
・マジックバッグの貸し出し………特殊な契約(売却し逃げても魔法効果で捜索が可能。)をする事で借りる事ができる。(返却しなかった場合、犯罪奴隷として手配される)
『冒険者窓口(連合任務)』
・連合討伐………主に大型個体の討伐。2グループ以上による魔物の討伐で、討伐個体発見された場合に参戦可能。
『パーティーメンバー募集窓口』
・『常時メンバー窓口』パーティーメンバーの募集(他の街への拠点移動含めたメンバーの募集)
・『臨時メンバー窓口』特定期間や、特定依頼特化メンバーの募集。(拠点移動は含まない)
・『連合討伐専用窓口』連合討伐戦のメンバー募集。(リーダーとして、メンバーとしての選択が可能)
『掲示板』主に早い者勝ちの依頼がメイン、『ギルドからの報告』も此処に張り出される。
・『特殊依頼』高額報酬の(ペナルティ有り)の任務。失敗時は罰金が課される。支払えない場合『借金奴隷』となる。
・『ギルド報告』ギルドからの冒険者への報告。
・『職員募集』 ギルドの職員募集『常時』と『臨時』があり、銀級冒険者の場合は『戦闘訓練講師の募集』が主。
・ etc……上記三件以外の『依頼』が毎日何かと張り出される。(ペナルティ無し)人探しや棚卸し、基本的に力仕事。
主に重要なものをユイは教えてくれた。
正直言って、この情報を知っているのと知らないのではかなり差がある。
必要項目の心得を受けないと依頼が受けられないので、今は利用できる部分は制限されるが。
フロアの説明をした後、モアがユイに変わって説明してくれた。
変わったことに意味はないが、ユイがずっと話していたので彼女に気を使ったのかもしれない。
銅級心得はフロア説明にあったことに関連していたようだった。
『冒険者ー銅級心得』
ランク(階級)指定の『必要任務数』
銅級冒険者が受けられる『討伐依頼』と『収集・採集依頼』の種類
階級(段位)昇格について。
銀級昇格試験について。
ギルドで使用できる銅級権限。
魔物と魔獣の差について。
連合討伐参加について。
依頼終了時の『査定』の説明。
魔物討伐時の『討伐総数』期間褒賞。
施設で購入できるアイテムの階級別上限数
施設で購入できるアイテム目録の増加。
施設に依頼した場合の諸費用。
施設に委託販売をした場合の諸費用。
施設に希望装備を募集がけをした場合の費用と手数料について。
そうモアが話していると、先程見かけたエルフの男とは別のエルフ達が冒険者窓口に向かっていくのが見えた。
さっきの男の仲間が報復か?と思ったが、どうやらそうでは無いらしい……受付の女性が対応をする。
割と窓口に近い位置を陣取っていた為に、会話が聞こえてくる。
「………こちらは銅級冒険者窓口です。お仕事の依頼であれば向かい正面の『依頼窓口』にてお願い致します。」
「いや依頼の類では無いな……我々は人間の街での冒険者の登録をしたいのだが、エルフでも出来るだろうか?我々は『大地のエルフ』と言い………君達は『森のエルフ』と呼ぶかな?知らぬ者には全員が『エルフ』と捉える者もおるが……まぁ君達と同じくこの地を護ろうと頑張る隣人だ」
どうやら先程のエルフと同じ目的の様だが、話し方から服装まで何もかも全く違かった。
高身長と耳の長さを除けば『エルフ』とは気が付かないだろう……なぜかと言えばそう見えないからだ。
野伏と言われれば、そうか!と納得してしまう様な全体装備だ。
主にゲリラ戦を得意にしてそうな装備で、全員が全体的に緑色のロングボウを装備していて、腰には湾曲したナタの様な武器を携帯している。
切れ味がよさそうで、鬱蒼と繁った森の中では役立ちそうだ。
受付嬢は怪訝な顔をする……理由はついさっきエルフ1名を衛兵達がギルドから連れ出したからだ。
その際にはまた元気になっていた様で『無礼だぞ!離せ!』と言っていたのだ。
その時に、衛兵長も一緒に来ており『エルフの国王に恥をかかせたいなら暴れて騒ぐが良い!領主様より貴方の国に『賠償』がされるかも知れないがな!』と言ったところでエルフはやっと黙ったのだ。
受付嬢は怪訝な顔のまま質問をする。
「先程同じ様な方がいらっしゃいました。主に白い基調の装備に身を包んだ方でしたが、あなた方のお連れの方でしょうか?」
代表して話している大地のエルフと言った男はとてもビックリした顔で
「なんと!まさかあの『太陽のエルフ』の者がこの人里へ!?………そうであったか……だから貴女は怪訝な顔をさせているのですね!私共は共にエルフではありますが、仕える主が異なります」
「遠き兄弟が迷惑をおかけした!この通りだ許していただきたい。我が国の民であれば厳罰に処すのだが……他国の者ゆえ謝ることしか出来んのだ……本当にすまぬ迷惑をかけて」
「彼らは我々とは違い…『太陽のエルフ』と我々エルフ達は読んでいる。君達は光のエルフや最古の血族と呼ばれているといえばわかるかな?まぁ……君の顔を見れば今の気持ちもわかるよ、まぁ人としては同じエルフと捉えるだろうがな……鼻持ちならないのは我々も………ハハハハ」
勘違いをしていたと気がついた受付嬢は、笑顔で初心者窓口があるフロアを指さして誘導する。
偶然だろうか?初心者窓口に行く前に話していたリーダー各の様なエルフが、受付嬢との話の時には見せなかった鋭い視線をコッチに向けた気がする。
周りを見回すが、此処には僕とチャックそしてチャイがいて机を挟んでスゥとユイとモアが戯れ合っている。
モア買っていたと思われる串肉をスゥが欲しがり、『頂戴!、あげない!』の話で熾烈な舌戦をしている中、その隙にユイが素早く串から肉を引き抜き食べていた。
ユイに肉を食べられたモアはユイの鼻を摘むが、ユイは謝らずに2個目を狙っていた。
串肉をユイに食べられたくないモアは、上に串を持ち上げると今度は待ち構えていたスゥが肉を素早く抜き取り口に運ぶ……
前門の虎後門の狼ならぬ『真下のユイに真上のスゥ』だ。
しかしモアの串肉は意外な最後を迎える………
「モア!ご馳走様!……ヒロ行くぞ話が進まないんで困ってるんだ!はよ来い!おいチャック!ちょっとアンタも来な!」
僕が何時迄も執務室に来ないので迎えに来たエクシアが、串に残ったモアの最後の肉2個をすれ違いざまに両手で素早く引き抜き、口に入れてチャックのエールを奪い取り胃袋に流し込む……
モアは一口も食べれず完全に固まっていた………そしてスゥとユイは『ごめん』っと彼女をそっと慰めた……チャイはと言えば、そっと串肉を買いに売店に向かって行った……
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