第215話「目には目を歯には歯を悪事には罠を!!」
「ヒロ………アンタ相変わらず意味わかんない事で解決するね………だとさ元銀級魔導師のプラム・ウォーター!やり方間違っちゃったねぇ……」
「まぁ、やり方わかったんだし?魔物捕まえてこいよ今度からは血抜きに方法だったら冒険者ギルドですぐに習えるからね!まぁ、そもそもフォレストウルフ食おうって奴はコイツくらいだよ。気にすんな!」
「あ!ひろちなみにプラム魔導士は『魔道士』って位だから、冒険者登録済みなんだよ。今度一緒にフォレストウルフでも狩ってやりなよ。水魔法の話ができるだろ?」
「そ……そうするのだ!食い扶持の問題が解決……これからくる冬も毛皮で何とかなるかもだ………」
その2人のセリフとは裏腹に、男爵は釈然としない。
当然だ、自分の罪で自滅した講師だが、傷つけた理由が実はこれ以上は見かねて娘を思っての『破門』
しかし一連を知らずに残っていれば、娘は金の虫の『ムノウン家』の馬鹿息子にたかられ、嫌がらせを受けただろう。
そして憎むべきもう1人の加害者講師はと言えば、実は金を飯に変えスラムの子へ分け与えていた。
横流しはバレたが使い道は隠してたのだろう。
でなければもっと酷く利用されていたはずだ……スラムの子を使って。
今のこの話を聞いて、ヤクタ男爵の状況を聞けばムノウン家なら間違いなくやる。
ここの街は友人の街である。
この街の闇を自分は知らなかったし、探そうとも思わなかった。
目の前の肩を落とした老人だけが懸命に頑張っていた……自分の手を汚しながら。
しかし、娘を傷つけた事は許せない。気持ちの整理さえ難しかった。
悪いのは今目の前で、自分を睨みつけてるこのガキと父親だ。
親は買収の金稼ぎ、その息子は遊ぶ金を稼ぐ為に娘を傷つけるのだ。
今この場で首を刎ねてしまいたい衝動に駆られさえする。
しかし今はどうすることも出来ない……『秘薬問題』が片付いてない。
「ヒロ殿がそう言ってしまったら……私は娘のことでこれ以上怒れなくなるでは無いか!………ひどいでは無いか!」
「それなら……男爵別邸で家庭教師すればいいでは無いですか?迷惑料で……娘さんにはもっと水魔法覚えさせたいんですよね?怒る代わりに許す事で得られるものがあると思いますよ?」
「!!!!ヒロ殿は………ムゥ………そうか人材は使い方か………既に前輝きの旋風で学んだのになぁ……いやはや……目が曇っていたようだ……だがコイツらには親としてムカつくぞ?娘がいればヒロ殿にもわかるはずだ!結婚して子供を持ってみなさい」
「僕はまだ17歳で結婚する気もないですし、子供も持ちません。なので怒っても伝わりません!」
「それより、今は別の問題が大切ですよね?僕が割って入ったので脇道それましたけど………いいんですか?」
僕がそう言うと、納得できない顔で3人がぼそっと呟く……
何故か同じトーンでプラム魔導士にも僕は言われる……
「…………いくない……でもあたしゃ納得いかないなぁ〜そんな言い方されると……あたし今褒めたよ……なあ!?」
「じゃなぁ〜……」
「ウム……なんかエクシアの毎回言う愚痴が分かる気がするぞ!私も!」
まるで被害者の様な言い方のプラム魔導士には、そもそも貴方の問題が大き過ぎるんです!と言いたいけど、スラムの人たちの貧困層にやっている事は素晴らしいので言わずにおいた。
エクシアは気を取り直して脱線した話を元に戻して皆に説明する。
「ひとまず話を戻そうじゃ無いか!ヒロの言う通り横に逸れたからね!」」
「いいかい!プラム魔導士はヤクタ男爵と接触して『スクロール』を渡す。学長悪いがこれは譲ってくれじゃないと国王にアンタが消されかねない。」
「か!構いません!スクロール位なら幾らでも……」
「ありがとうよ、じゃあその後は疑われない様に『いつもと同じ感じで話していつもと同じ様に帰ってくるんだ。』じゃないと今度はプラムアンタが消されるヤクタ男爵にね。」
「念の為グローブは返して貰えるのか再確認するんだ。ユニークアイテム渡して心配なしじゃおかしいからね!約束を取り付ける感じで、もし難癖つけてきたらそこは引き下がれ!いいね?これは罠だから無理押しはしなくていい。」
「う…うむわかった!」
「いいかい、プラム魔導士が戻ったら学長もいつも通り行動するんだ。感づかれない様に毎日の日課をこなすようにね。」
「男爵は私と一緒に伯爵へ報告に行く。ただしこの報告ではなく『秘薬』運搬の『テロルの不始末の件』で話に行く。その時に関係者以外寄らせたく無いから『別室でテロルの斡旋した旋風の件』と言って入る。そうすれば万が一間者が居ても芳しく無い状態と報告が上がるだろう」
「そして現状のマジックアイテムが向こうに渡っている事をメインで報告をして、運搬時の強襲された時の対応策を練る」
僕はそもそも対応策があるので聞いてみることにした。
秘薬入りの箱が狙われているのがわかっているなら、何もあの黒い箱が1個でなくても良いのでは無いかと思った。
あの箱が複数あるなら中身にゴミを詰めて全部持って行けばいいのだ。
寧ろ中身が全部ゴミなら、向こうからすれば意外な落とし穴だろう。
「すいません……男爵様聞きたいことが……あの黒い箱って2個以上無いですか?」
「うん?あるが……なんでだ?」
「単純に2個あればそれを用意して、1個は伯爵様が、1個はエクシアさんが持ち、エクシアさん達が別途王都へ持ち込めばいいのでは?」
「エクシアさんが行く事は周りには内緒にして、箱をすり替えるんです。男爵様には内緒で……」
「伯爵様が知れば変な芝居をしちゃう可能性が出るので、奪い返そうとする必死感が出ないじゃ無いですか?なので伯爵様には内緒にして、わざと奪わせるんです『ニセモノ』を」
「男爵様が一緒に王都まで向かい、奪われた後事実を話すんです」
「んで偽物は中身は単なる『傷薬』入れといて、多分奪ったらさっき言った帝国だかに持っていくか、それか伯爵様と男爵様に一泡吹かせたくて王様に持っていくんだと思うんです」
「流石に手に入れたら『鑑定』して確かめますよね?んで、中身が『傷薬』ならば王様は大激怒ですよね?」
「そもそもなんですが箱の中身だって傷薬じゃなく、ハズレの中身を生ゴミでも動物の糞でも入れておけばいいんです。」
「お……お前………エゲツナイ事よく思いつくな?」
「それは見ものだ!万が一、帝都に持っていけば『王のスキル』で開かないから大恥をかくだろう……開けたら開けたで動物のフンならば、下手すると打首か捕虜兵扱いだろう。」
「王都まで持っていけば中が『傷薬』で大激怒は免れない!『動物のフン』ならば間違いなく家名断絶だろう!!こんな仕打ち………よく思いつくな!」
「あ!でもアレか……手に入れたらすぐに開封して中を確かめるんですよね大概………駄目かーこれは」
「いや……そうでも無いぞ?あの黒い箱は『王家の箱』と言ってな。今言ったが王様の特殊スキルなのだよ。だから開けられるのは王様だけで、付随している鍵は完全な偽物だ」
「それ以上は申し訳ないが言えんがな……」
「だから、どんな解除スキルも、魔法も全く受け付けないのだ。」
「って事は、ヤクタ男爵が脅迫紛いな事で手に入れる予定の『解錠のスクロール』だって無駄じゃ無いかねぇ?」
「ああ!そういう意味で必要なのか!完全に無駄だ。」
「スクロールを読んでも効果が無いし……と言うか、そもそも『箱じゃ無い』のでスクロールが『使えない』」
「マジかい!それは使う時の顔が見たいねぇ!『開かないぞぉ!どうなっているんだぁ!』って慌てそうだね!」
「ちょっとヒロもギルドまで来なよ!話そうぜ!」
楽しくなってきたエクシアは僕をギルドまで誘うが、そもそもこの依頼だって『エクシアさんの為』のものなんだが……
よし!コレはここぞとばかりに強調して言って感謝を引き出そう!
「そもそも僕はこれから座学があるので行くんです………銅級上がったばかりで、誰かさんのギルド昇格お願いの為に『護衛任務』請け負ったんです!」
「ありがとうよぉぉぉ!でもそう言うのって言っちゃったら〜感謝が減るんだよ〜」
「いーや減りません!感謝の気持ちを増やしてください!寧ろ!」
僕とエクシアは笑うが、約1名はクゥーズを睨んでいた……伯爵の息子ザベルだった。
好きな子ちゃんを侮辱された彼の怒りは、まだ解決していない………
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