第166話「宝箱の種類と深まる疑問」
以前見つけた『異世界からの祝福』では無いがこのタイプはどうなのだろうか……そもそも毒ガスなので判断を失敗して開けたらヤバいのだが……調べた結果何かあったらすぐに話せる様に身構えておこう。
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宝箱 (祝福された宝箱) (罠:毒ガス)
入手方法
ダンジョンの魔物を倒した場合。
特殊な状況下で魔物を倒した場合。
そのいずれかで稀に入手。
箱にはランクがある。
ランクが上がる程、良品が詰まっている。
箱には罠がかかっている場合がある。
ランクが上がると箱内部は複合罠になる。
解錠方及び罠の解除方は箱ごとに異なる。
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「マジか!『祝福された宝箱』じゃねぇか!運がいいぜコレはマジで!でも罠が毒ガスだな……まぁ問題ないがな……祝福系が出たのは初めてみたぜ……この箱は中身がすげぇって噂の箱だぜ!」
「ちょっと毒ガスって!問題ないはずがないじゃない!」
モアがものすごく焦っている。
それもそうだ、本来毒ガスって言われればヤバい以外の何物でも無い、しかし僕はそれと同じくらい驚いていた……『祝福系の箱』についてチャックは存在を知っている。
ならばこの系統種の箱情報を聞くには打って付けの存在だ……今聞くと勘繰られそうだから後で聞いてみよう。
「俺なんども毒ガスとか神経ガス系の箱開けてるんだよ…例の闇ギルドでな。大概シーフ系の俺たちの所に持ち込まれる箱はヤバいのだから、何度も開けてて失敗する気もしないぜ?」
「ってかもう解除したしな!」
物凄い早い技だった。確かに鑑定すると罠解除済みになっている……チャックは鍵穴から見ただけなのだが、瞬間に何をしたのだろう………。
「お前らいいこと教えとくな?宝箱のガス系はな……鍵穴から見た時点で発動するんだ。この手の罠は開ける前にガスだから鍵穴から噴射するんだよ。」
「だから素人はガス系罠を勘定にいれずに調べて痛い目を見るか……『死ぬ』んだ。それに比べて俺は何があってもガス系罠を外す作業をしてからしか確認はしないんだ。」
凄いな……伊達じゃない闇ギルドでの経験は。それだけ大変な思いをして来たことだ。
「それにしたって……こちは怖いわよ。」
「いや……モアちゃん……彼は例の闇ギルドでもっと大変な思いをして来たって証拠で、こんなのはモノの数に入らないって証明したんだよ。だから何事も無く普通に済ませられるんだ。それだけの試練を今まで乗り越えて来たんだ僕達と違って。」
「それと、確かにモアちゃんの言いたいことも当たっている。万が一もあり得るからチャックはもっと注意するべきだな……仲間を思う例の憧れの冒険者の様になりたいんならね。」
「つっ!!そ……そうか……また私は自分のことばかり考えてたわ……チャックは皆のこと考えて皆が被害受けない様にしてるのに……また失敗した……私……」
「ヒロは手厳しいな!モアちゃんも自己嫌悪になるなよ!俺だって死にたくないからやってるだけさ。ゆっくりお互いのことがわかればいいんだよ……お互い色々山は超えて来たんだから!だろう?モアちゃん?なんて言っても俺たち……『今日出会ったばかりだぜ?』」
気持ちよく笑うチャックに笑い返すモア……お互いの心の壁が崩れるまではそう遠くはないだろう……冒険者は信頼が命だ。
苦労しているだけあって、チャックは人一倍優しいのだと思う……それを隠すための『あの言葉遣い』なんだろうと思った……。
いよいよ箱を開けるが皆何故か僕を見て開けさせようとする。
さっきはチャックが開けたのになんで僕なんだろう?
「リーダー!こういうのはリーダーが開けるべきだ!俺たちは今この6人でパーティーだろう?既に俺たちの昇格試験の必須条件は揃えたんだ。だから此処からは『俺達の冒険』だと思うんだ俺は!」
「此処からが『本当の冒険』ね?……いいわね!さすがチャックは苦労してるだけあっていい言葉思いつくわね!ロズさんに教わったの?」
「なんだよモアちゃん!変に褒めるなよ〜。俺褒められると……調子に乗るタイプだぜ?」
「それで怪我するタイプだ!仕方ないな怪我したら私が回復して……あげなーい!」
「ユイちゃん!してくれねーのかーい!!」
そんなやりとりがあったが、僕は皆にせっつかれる様に宝箱を開ける。
ちなみに箱の大きさは先程の大きな箱よりもさらにデカイ箱だった……俗にトロールトランクLや長櫃と呼ばれるタイプの箱だ。
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金貨袋(120枚入り)1
フェムトのショートソード1
フレアダガー1
新緑のローブ1
純白のローブ1
疾風のスリング1
強弓1
矢筒(30本入り)1
傷薬2
軟膏(大)3
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凄い大当たりだった……見た感じ呪いはないが皆が鑑定が出来ない分僕が手を出すわけにもいかないので、一応ユイに頼んで『祝福』をかけて貰う。
当然だが異常が見られなかったので皆がわちゃわちゃ分配を始める。
「マジか!金貨袋だ!リ……リーダーこのショートソード凄いんじゃないか?リーダーだったら絶対似合うと思う!」
「だね!私もそう思うよ!バンバン斬り倒すから、今のよりは良い武器持ってた方が絶対いと思う!」
そんな言葉で始まった結果フェムトのショートソードを僕が貰い、フレアダガーと新緑のローブはモアが貰う、そして純白のローブはユイに、そして疾風のスリングをチャイが貰い強弓と矢筒(30本入り)は安定のチャックが貰った。
その他には討伐部位とドロップをチャックが回収する。
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魔石(小)5
ゴブリンの耳4
ゴブリンの目玉1
銀貨1枚
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皆わいわいと手に入れた装備を見せ合いながら自分の得たばかりの装備を身につけていく。
僕はそんな中、分配された剣を鑑定してみる
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・フェムトのショートソード
刃厚1.5cm ブレード65cm 全長90cm
攻撃力100 (耐久100/100)(鍛造度190)
刀匠フェムトが死地に赴く友人の為に
鍛えた剣。
友人は辺境のダンジョンで散ったが、
その時にこの剣も共に失われた。
剣の作りはシンプルだが、とても取り
回しが良く、扱い易い。
『特殊技』風切り 効果:防具破壊
素早く剣を振ることで風を切り裂く様
に相手を切断することができる。
(対象の装備耐久値を0にする。)
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祝福された宝箱だけあって、とんでもない内容だった。
他の仲間の装備も鑑定するべきかも知れない……経験値と言う面では鑑定するべきなのは間違いが無い。
しかし、良い物だと手に入れられなかったことが、残念だと思ってしまうだろう自分がなんか嫌だ。
僕の今まで拾った装備は今までクローク以外基本鑑定していない。
理由は簡単で装備出来るものは基本装備して来たのと、必要以上に装備を増やしていないだけだ。
駆け出し冒険者が豪華そうな装備をアレコレ持っていたら絶対怪しまれるからだ。
このハイドクロークは外見がほぼ初心者のクロークだからこそ装備しているが、豪華な仕様だったら間違いなく外していた。
しかしこのフェムトのショートソードを鑑定した結果、素晴らしい内容だった。
今後は銅級になるのだから、ちゃんと鑑定して自分の戦力の底上げをしないとならない……いつでも不慮の事故は起こるのだからそれに備えなければ自分の世界に帰ることなどできないだろう。
周りが装備を終えた様なので、先に進むことにしたが、強弓を手に入れたチャックは凄いご機嫌だったが筋力が不足して弦が弾けない様だった。
今は邪魔にならない肩を通して持っている……どうやら戦闘の時はそれらを邪魔にならない様に置いて攻撃する様だ……全長の長い弓が二つでなんとも歩きづらそうだ。
先の部屋に進むが部屋の中には魔物は居ないし形跡もない。
僕は歩きながら先程の、迷宮深化条件85/200と固有個体発生討伐率13%の数字が違う事を考えていた。
何故か数字が違うがスライムを倒した時は〜討伐率は同じ13%だった筈だ……此処は何故かゴブリンを倒した時、増えても減ってもいない。
万が一ゴブリン単独のものであれば、5匹倒したので同じ数字が増えれば倒した5匹のゴブリン分の65%になっているはずだ。
しかし、増え方が一定じゃない場合もある……今度は倒す前に一度鑑定するべきかもしれない。
なんにせよこの二つの数字の増え方は注意してみたほうがいいかもだ。
何を示すか分からないが……
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