第59話「背後から迫る……それに気がつかない僕等」
他の個体も念の為に鑑定するが、他の個体は中型種ではなく小型種だった…この群の大きいヤツよりもっと大きい大型種が居るのだろう。
ぶっちゃけファンタジー映画に出てくるくらい中型種はデカいのだ…大型種など出くわしたくは無い…コイツら大人しく森に帰って貰えないだろうか?
流石銀級ギルドメンバーだ、巨躯のフォレストウルフの爪による切り裂き攻撃をロズが盾で上手く受けつつもベンが斬撃を加える…そしてベロニカとゲオルは奥の二頭に的を決めて、眉間に矢を撃ち込むベロニカに、魔法弾で頭を吹き飛ばすゲオル。
倒木を飛び越えて商団の馬車に飛び掛かり手当たり次第に襲い掛かろうとするウルフだが、真横から見ている僕には狙い場所が多い非常に狙いやすいいい的だ。
僕はウォーター・ジャベリンを頭に目がけて撃ち込むと空中なので躱す事ができずに水槍が突き刺さり投擲の勢いでそのまま近くの木に突き刺さる。
直後水槍は消えて、ウルフの体躯がそのまま下に落ちる。
そうこうしていると、ロズとベンが苦もなく体躯の良いウルフを仕留めて無事戦闘が終わる…エクシアが出そびれてしまい手持ち無沙汰そうに僕を見て。
「いつの間に躊躇いもなく護衛に加われる様になったのさ…私の護衛の役を奪わんでよ…」
と言われてしまった。
因みにマッコリー二さんは、まさかの僕の護衛としての参加にビックリしていた。
あの洞窟の一件以来、フォレストウルフの攻撃もあまり凄いとは思えなくなっていた…ウルフ自体は動きが速いが観察すればどうにかなるかと思えてしまう。
それから僕はエクシアに厳しく戦闘参加禁止を通達された…理由は『冒険者の登録していない』かららしい。
確かに魔導師ギルドにも登録してないのに水魔法を使うなど誰かに見られたらまずいのは確かだ…うっかりぶっ放すところが師匠による訓練の賜物だった。
◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇
その日は、魔物の襲撃は全部で3回で、フォレストウルフ1回にゴブリン2回だった。
魔の森ではダンジョンと違い宝箱は出ない。
ゴブリンは鑑定をかける前に索敵範囲の広いベロニカが見つけると…すぐに眉間に矢を刺してしまうので鑑定ができないでいた。
矢をつがえて撃つまでの動作に無駄がないし、そもそも数が少ないはぐれゴブリン(斥候)の様だ…別にはぐれている訳では無いのだろうが。
そもそもゴブリンが沢山群れていたら、そこにはゴブリンジェネラル級や下手するとゴブリンキング級が居るらしいのでこのくらいが丁度?いいのだろう。
それに、マッコリー二に鑑定を悟られてはいけないので、チャンスが訪れたらゴブリンの鑑定しよう。
そんな魔物を倒しながら、昼食休憩でメイメイの竹容器弁当を皆で温め直して食べてから街に向かっていく、行程は順調で距離も稼げた。
日も暮れ始めたので僕等は少しでも安全そうな場所を探し歩き夜営の準備をする。
魔物避け用の罠を張りるためにファイアフォックスが手分けして罠をかける…そしてその間に僕らは火起こしに使えそうな枝を拾うこの流れはいい加減慣れたものだ。
今日の料理担当は、マッコリー二の料理番と結菜のコラボ飯だ。
街まで2日…と言う距離になり一緒に料理出来るほど仲良くなった様だった。
今日はウルフ肉と兎肉の香草炒めと、スライム芋のスープに、ゴブ茸とヌギョのサラダそして、残念乾燥パンだ。
僕は残念乾燥パンが意外と好きだったボソボソするが実はスライム芋のスープに崩して入れると割とうまい食感になるのだ。
皆はパンをスープに付けてそのまま齧るのだが、僕が充分浸して味を染み込ませ所々ふやかしてから〜ジュルジュルと…そうやって食べているのを見た人から真似を始める。
巨大なクルトンを崩して食べるイメージだと話しながら食べていたのだが…僕の食べ方は結菜もそうまも美香も割と理解できる様ですぐ様そうやって食べていたが、知らない異世界人はふやける迄時間がかかるので待ちきれない様だった。
しかし、割と僕らの真似をするレイカがそうやって食べたところ、すごく食べ易くなったので自分の父に教えたらマッコリー二は何枚か残念乾燥パンをお代わりしていた。
いつの間にか、ファイアフォックスのメンバーも真似していて、気がつくと本日分の残念乾燥パンは一枚も残っていなかった。
その大半は実はエクシアが食べていた…母親と父親が生前似たことやっていたのを思い出した様で懐かしさのあまり食いすぎた様だ。
そして、食事が終わって各々がゆっくりし始めた時ロックバード出発した1日目の夜にそれは起きた。
僕はリュックからハイチョー袋入りを取り出して封を開けてから配る…これは丸い形をしたミルクコーヒー味のソフトキャンディで僕も妹も大好きだ!似たお菓子がたくさんある中で、大きいのに19粒も入っていてお得なのだ…なのでバイト先からは必ず僕と妹の分で2個買って帰るのだ。
これは今まで配った飴の類いとは違って『占い付きビニール』に入って小分けされているので、ビニール包みを知らないマッコリー二達にはそのまま渡せない…だから一度全部ビニールを剥いて中身を取り出さないと渡せない。
何故此れにしたかと言うと、ヒナミが僕のリュックを覗き込んだ時「ハ!ハイチョー!一個くださいーー!」とレイカの前で言ってしまい急いで皆で隠す…と言う流れがあった。
ひたむきにビニールを破く事16/19個地味に面倒だ…総人数より1個多く剥いたのはヒナミを黙らせる為なのは言うまでも無い。
ゴミがそこそこの数で邪魔だ…開けたゴミはそこいらに捨てるわけにはいかない。そしてゴミ箱もある訳でも無い…あっても捨てる訳にはいかないだろうが…人の穢れが森を汚すのだだとしたら、異世界のゴミなどもっての外だろう。
僕はとりあえず皆に配る…
「食べた後はちゃんと歯を磨いて下さいね!夜寝る前に食べると虫歯になりやすいですから!」
と言うのを忘れない…ソフトキャンディだからチャーリーだって要注意だ。
ヒナミもレイカもモニュモニュと口をしている…ヒナミは意外と食い意地がはってない様で、似た者同士のレイカに多く貰ったハイチョーをナイフでうまく分けて半分コッソリとあげていた。
しかしこの時僕らは気がついていなかった…。
僕もマッコリー二もエクシアも『誰か出すだろう』と安心し切って誰もチャームを出していなかった……。
ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー
敵性反応がロックバード村の方面の道から近づいてくる、前から割と近寄っては離れてを繰り返していたのだが、夜になった今急速に近づいてきたのだ。
僕の空間感知はダンジョン内部であれば近場の空間を感知できるが、外となると仕様が変わるらしく把握できる表示範囲がある様だ。
敵の反応から見て、索敵範囲は僕からその距離100mといったところだろうか?目盛りがあるわけではないからわからないが…しかし、詳細にどの様な形か空間を察知出来る範囲はその100mより全くもって狭い…25m位だろうか…まぁ目視しなくても形が判るので非常に有り難いが。
そもそもこっちの距離単位は(歩)だから聴くにもその後の計算が面倒だ。
行ったことのある部分はその場に戻れば何度でも詳細に表示されるが、その場から離れすぎると暗転表示になってしまう…。
これはキャンプで使う火起こし用の枝集めで気が付いた点だ…更に、村とダンジョンとこの森の道では把握が異なるらしく、村では全域が把握可能だったので初めは表示の違いに戸惑った。
昼間まではそこそこ離れた距離だったため馬車を進ませると少し離れてしまい、フォレストウルフやホーンラビット、そしてゴブリンなどそれらの魔物が追いつけず諦めたとばかり思っていた。
索敵に優れているベロニカも索敵範囲に入るとたまに後ろを振り返り確認するも馬車が進むと離れてしまうので、脅威とはみなさない様で弓を引くのをやめていた。
どうやら、襲うのを辞めるとか逃げる訳では無かったらしい…単純に飛び跳ねたり転がったりして近づいていたのだ。
==登場人物・用語集==
人物紹介1
野口 洋 学生♂高校3年生
石川 美香 学生♀高校2年生 金貨94
黒鉄 そうま 消防士♂27歳 金貨94
伊澤 結菜 看護師♀ 24歳 金貨94
遠野 雛美 学生♀高校2年生 金貨494枚 銀貨
『精霊』
モンブラン(性別不明) (聖樹の精霊)
水っ娘ノーネーム(水の精霊)
『ギルド』
ギルド・ファイアフォックス ギルド等級 銀3級
紅蓮のエクシア R「ギルドマスター」♀ (銀級2位)
ロズ(戦士・タンク)♂銅級3
ベン(戦士)♂銅級3
ベロニカ(弓使い)♀銀級3
ゲオル(魔法使い)♂銀級3
ザッハ「サブマスター」♂
リープ(事務員)♀
フィーナ(販売員)♀
ゴップ(解体担当)♂
マッコリーニ商団
パーム(妻)♀(店長)
レイカ♀(娘)
ハンス(執事)
御付き1♀
御付き2♀
売り子A♀
売り子B♀
売り子C♂
売り子D♂
水精霊の洞窟村
レン爺 (村長)♂
バフゥ (武器屋の親父)♂
飯屋の女将 ムイムイ♀
飯屋の料理人 ドムドン♂
飯屋の娘 メイメイ♀
水鏡村
オババ様
ミミの母親
ミミの父親
ミミの妹
冒険者パーティー
スノウ・ベアー
銅級4人組冒険者、R戦士(ショウ3位)、タンク(ペタ3位)、シーフ(ピック3位)、レンジャー(ゼム3位)
男4人標準パーティー
レッド・アイズ
銅級5人組冒険者、R戦士(ルーム3位)、タンク(バウ3位)、魔法使い(ゼムド3位)、回復師(ルーナ3位)、薬師(ミミ4位)
男3人、女性2人の回復特化パーティー
アイアン・タンク
銅級4人組冒険者、Rタンク(ダウ3位)、タンク(ガウ3位)、回復師(マウニー2位)、シーフ(ルーナ3位)
男2、女性2の重装型パーティー
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。