第58話「帰る手段……現世への手掛かりは?」
違うパターンでこっちに来る以上は、来る手段が複数ある可能性が増えたという事だ。
僕的にはそれだけでも大発見だ!
何故なら、何種類かの方法でここへ来るなら帰れる可能性もゼロでは無い。
だからその絶対数が増えるならその情報だけでめっけもんだし、下手すれば方法が他にもあるかもしれない。
しかし一緒に聴いてたエクシアは、10年と言う年月が大きすぎて可能性を排除してしまったようで…
「10年で何も無かったって事は…すぐには帰れないって事じゃ無いか?仮にもS級冒険者だろう?私達がいけない場所も行ける機会があっただろう?…キッカケになりそうな話とか奇妙な情報かなんかはギルド書庫にも無かったってことかい?」
エクシアがついウッカリと聴いたままに感想を言葉に出してしまい、彼女もそれに気がつき質問にしなおして返す。
「御免なさい…全く力になれなくて…あなた達より早く10年も彷徨って…帰る手段何も手に入れてないんです。どうしようも無いくらい馬鹿ですよね私って…」
「いや…エクシアさん、そしてヒナミさんコレは僕らにとっていい情報ですよ!」
「僕らとは来た方法が違うので帰れる手段が増えました!確かに10年彷徨ってしまった事実は変えられないかもしれませんが。その穴の様なもので来る方法と、僕らみたいに誰かにこっちに連れて来られたと言う、2種類の方法があるんです。」
「それも連れて来られた後に…その…魔女?みたいな人にこっちに送るって言われて、4人共一緒に森の中にワープさせられたんですよ。送るのが仕事みたいな事も言ってましたし。」
「ヒロさんはこの世界に誰かに連れて来られたんですか!誰ですか!心当たりあるんですか?」
「ちょっと、ちょっとヒナミ…待ちなさい!落ち着きなさい!!その事はアタシも前にヒロに聞かれた話でな、そもそも心当たりが無いからこの世界に先に来た同じ世界出身のヒナミに聴いてたんだろう?」
「この世界には私達が知らないことなんか山程あるんだ。アンタが使ってた精霊魔法がいい例で、私達には既に詳しい事は失伝している魔法系態さ。わかるかい?」
「だからアンタ達が知りたい方法をゆっくり皆で探して行こうじゃないか!今の私たちみたいにな!」
「それに今分っているのは、問題はその魔女みたいな奴がこっちに送り込んだと言う話だが、送ったって事はこの世界の何処かでは無く別の世界じゃないか?って…前に聴かれてから私は思ってたのさ。今言った『ワープ』が何かは分からないけどねアタシは。」
僕はこの村に来る前にエクシアに聴いた事があった…この世界には魔法使いみたいな女性が人間を纏めて何処かに飛ばす様な事をしている事を聞いた事がないか?と…
あからさまに変な質問だが、あの廃墟の女性の事などそれ以外に説明ができない。
『狭間、誰から飛ぶか、希望がなければ送る』この言葉だけが、こちらに送られるときの印象がある説明だった。あの時はかなり混乱していて、言われた事をほぼ覚えてないのだ。
そして質問した時にはあのサラリーマンに邪魔されてあの女性を怒らせてしまったので、さらに質問できなくなった事くらいしか記憶にない。
エクシアは信頼がおけるので覚えている限りのその時の様は話していた、この世界の住む人間で唯一信じられる存在だし何かと相談できる人は居たほうがいい。
それにあの森の中見捨てる事も出来たはずだし、僕らの身の上をマッコリー二にも伝える事も出来たはずだ…なのに全てに目を瞑り、今現在もこうして親身に相談に乗ってくれている。
下心があると言われれば…そうかも知れないが、今の僕らにはそれを咎める理由など何一つないし、それどころかそんな下心ならウエルカムだ。
「その女は「ここは狭間」って言ったんだろう?なら、そいつが今アタシらが今居る世界を狭間って呼んで送るかい?私だったら適当に放り出すけどね、その狭間から魔法で…魔女だったんだろう?」
「そして、そいつは少なくとも自分の所とこっちの違いを知っているって事だろう?誰かを行かせたりする力もある訳だし。」
「あ!でも結局考えれば全く知らない此処へ放り出したんだったわな!悪い悪い!」
エクシアはシレッと心の傷をえぐることを言う。
彼女の言う事は確かにそう思える内容だった…僕は最初この世界の何処かに狭間と呼ばれるがあり、そこから特定の場所に送れるものと考えていた。しかしこの間知った精霊界の様にまた別の場所があるのであればその狭間も別にあってもおかしくない。
一先ずは帰る方法については色々な方向から考えてみて、その上で確実な情報源として一度その『狭間』に戻って詳しく質問する必要がある。
そう考えてヒナミにも励ます様に僕は考えを伝えてみる。
「穴に落ちた時にこの世界に来た方法と、誰かが僕たちを連れてきた方法が万が一同じ方法だったにせよ、来る為の手段があった訳ですからその方法を探っていく事で、その先の新しい手段に行き着く筈です。」
「そして、そもそも僕らをここに呼んだ理由も確かめないとなりませんし…」
そう話していると、ロズからそろそろ出発するようだと知らせが出た…マッコリー二達の方も休憩を終わらせて先に進む準備をし始めた様だ。
◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇
マッコリー二達も十分休憩したらしく、移動の準備を始めたので僕らも荷物を片付けて出発した。
暫く進むと、鬱蒼と木が茂り多くの倒木がある曲がり道を道なりに進むと、ベロニカが2代目の馬車の荷台に駆け上がり、森に向かって矢を射る。
「来るよ!フォレスト・ウルフ…数は約4で巨躯1居るからデカいヤツをロズ頼む!」
僕らは移動中にチャームを出していてもよかったのだが、魔物が寄って来ないので緊張感が薄れてしまい、盗賊などに出くわしたら逆に危険ともあり…陽が明るいうちはチャームに頼らず進むことにしていたのだ。
しかし、今居る場所の様な倒木が有る場所などは、フォレスト・ウルフが奇襲をし易く…更に鬱蒼と樹々がしている場所は日陰も多く潜み易いのだ。
勿論ベロニカのようなレンジャーやハンター職はその様な場所に潜む獣や魔物を見つけるのが得意だった。だから全く奇襲の意味を為さないが…
勿論僕の空間感知にも魔物が出ていたので、もう少し進んだ所で鑑定を掛けてからウォーター・バレットかウォーター・スピアを撃ち込もうと思っていた。
皆が倒し終わると、鑑定内容が肉や毛皮、牙などの様にアイテム扱いになってしまうのでフォレスト・ウルフを急いで鑑定をする必要がある。
◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇
フォレスト・ウルフ(中型種)
『使役可能個体』第一次系統進化個体
・ステータスには個体差、系統差あり
LV.5
HP.75/80 MP.0/0
STR.6 ATK.16 VIT.7 DEF.17
INT.9 REG.30 DEX.10 AGI.10 (+10)
LUK.69
一般個体のみ使役可能
群れで活動し、人を恐れる事はなく馬
さえも襲って食べる肉食魔物。
強靭な後脚のバネを使い高く飛び上が
り噛みつく他、鋭い爪で引き裂き攻撃を
する。
動きが非常に素早く、外敵から硬めの
毛皮で攻撃から身を守る。
鋭い牙、毛皮、フォレスト・ウルフの肉
小魔石、中魔石…etc
上記部位は武器、防具、etcの素材に
使用可能。
系統変化先 LV、経験値不足で鑑定不可。
一般個体は稀に宝箱を落とす。
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魔物に対する鑑定レベルも上がった様だった…ステータス情報の他に標示項目が増えていた。魔物の説明も為になるので読んだ方が此れからの魔物との戦いには役立ちそうだ。
群の中で見える1番大きいのを鑑定したが、中型種だった。
==登場人物・用語集==
人物紹介1
野口 洋 学生♂高校3年生
石川 美香 学生♀高校2年生 金貨94
黒鉄 そうま 消防士♂27歳 金貨94
伊澤 結菜 看護師♀ 24歳 金貨94
遠野 雛美 学生♀高校2年生 金貨494枚 銀貨
『精霊』
モンブラン(性別不明) (聖樹の精霊)
水っ娘ノーネーム(水の精霊)
『ギルド』
ギルド・ファイアフォックス ギルド等級 銀3級
紅蓮のエクシア R「ギルドマスター」♀ (銀級2位)
ロズ(戦士・タンク)♂銅級3
ベン(戦士)♂銅級3
ベロニカ(弓使い)♀銀級3
ゲオル(魔法使い)♂銀級3
ザッハ「サブマスター」♂
リープ(事務員)♀
フィーナ(販売員)♀
ゴップ(解体担当)♂
マッコリーニ商団
パーム(妻)♀(店長)
レイカ♀(娘)
ハンス(執事)
御付き1♀
御付き2♀
売り子A♀
売り子B♀
売り子C♂
売り子D♂
水精霊の洞窟村
レン爺 (村長)♂
バフゥ (武器屋の親父)♂
飯屋の女将 ムイムイ♀
飯屋の料理人 ドムドン♂
飯屋の娘 メイメイ♀
水鏡村
オババ様
ミミの母親
ミミの父親
ミミの妹
冒険者パーティー
スノウ・ベアー
銅級4人組冒険者、R戦士(ショウ3位)、タンク(ペタ3位)、シーフ(ピック3位)、レンジャー(ゼム3位)
男4人標準パーティー
レッド・アイズ
銅級5人組冒険者、R戦士(ルーム3位)、タンク(バウ3位)、魔法使い(ゼムド3位)、回復師(ルーナ3位)、薬師(ミミ4位)
男3人、女性2人の回復特化パーティー
アイアン・タンク
銅級4人組冒険者、Rタンク(ダウ3位)、タンク(ガウ3位)、回復師(マウニー2位)、シーフ(ルーナ3位)
男2、女性2の重装型パーティー
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