紅葉デート

「どうも、浦島太郎です」

「わたくしは講師の亀でございます。関西では紅葉が見頃を迎えておりますぞ」

「京都で紅葉デートとかいいよなぁ」

「ええ。ですが、散策デートは歩き回るので、楽しい反面疲れてしまいますよね。女性の場合は、ヒールの高い靴で足が痛くなることもあるでしょう」

「そんなの、スニーカーで来ればいいだろ」

「それは三流……いえ、四流のセリフです。非モテまっしぐらですぞ」

「う」

「多少歩きにくくとも、デートではオシャレな靴を履きたいものです。そんな女心を汲んであげましょう」

「わかったよ」

「それでは練習しましょうか。デート中、彼女が歩き疲れた様子です。さあ、どう声をかけますか?」

「『疲れた? カフェで休もうか?』」

「悪くはありませんが、60点くらいですね」

「え、もっといい台詞があるのか?」

「はい」

「カフェがダメなのか? あ、わかったぞ。『ホテルで横になろう』」

「0点です」

「そんな!」

「それ単に自分の願望ですよね」

「違う、俺はただ彼女に休んで欲しくて……。ちなみに正解は?」

「カフェに誘うのは良いですが、その質問だと『彼女が疲れてるから俺が休憩に付き合う』形になりますよね。それよりも、俺そろそろ休みたいな~とか言って、『俺の休憩に付き合ってもらう』形を取るのが理想です」

「え、超面倒くさい……」

「と思うでしょう? ですが、騙されたと思ってやってみてください。間違いなくモテ度が上がりますから」

「本当かなぁ」

「彼女が疲れていたら休憩を取る。飲み過ぎていたら烏龍茶を頼む。寒そうだったらそっと上着を貸す。わざわざ質問せず先回りして解決するのがポイントですぞ。質問するのは二流だし、気付かないのは論外です」

「わかったよ」

「先回りといっても、記入済みの離婚届を一方的に送るのはやめてくださいね? 以上、亀と浦島の恋愛講座でした」

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