公売

「どうも、浦島太郎です」

「わたくしは講師の亀でございます。国税徴収法の勉強をしている関係上、わたくし公売情報をたまにチェックするのですが、色々な物が載っていて面白いですよ」

「公売って?」

「税務署による競売です。要は差し押さえた財産を売るわけですが、今はインターネットで物件情報を確認できます。公売で検索すれば、おそらくトップに表示されるかと」

「会員登録とかいるのか?」

「いいえ、誰でも自由に閲覧できます。自由すぎる故に『やだ、この土地ウチの近所じゃない……?』なんてケースも発生します。最低限のモザイクは一応ありますけどね。浦島殿もチェックしてみては?」

「俺、競りはちょっとなぁ……」

「最近は、競りではなく入札の場合が多いですよ」

「それ、どう違うんだ?」

「競りは、いわゆるオークションです。どんどん値段が上がっていく方式ですね。これに対して入札は、参加者が購入希望金額を書いて提出し、開封の結果もっとも高い金額を書いた人が落札する方式です」

「なるほど、似てるけど違うんだな」

「ライバルと価格を競う点は一緒ですが、入札は自分が書いた金額以上で買うことにはならないので、つい熱くなってしまう心配がありません」

「そうか、ちょっと面白そうだな。俺でも買える品物はあるだろうか?」

「大半は不動産ですが、たまに日用品が出ることもありますよ。思わず『え、そんな物まで?』となる瞬間も……」

「たとえば?」

「最近は、2,500円のウィスキーが出ていました。市場価格の半額ぐらいで」

「そりゃお買い得だな。お前酒飲みだし、入札したらいいんじゃないか?」

「いえ、いくら未開封とはいえ、滞納で税務署に没収されたウィスキーとか心理的に飲みづらくないですか?」

「まあ確かに」

「とにかく、公売情報を見ていると、差押えは怖いなぁと感じるので、税金は滞納しないように注意したいですね。以上、亀と浦島の恋愛講座でした」

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