3号分割

「どうも、浦島太郎です」

「わたくしは講師の亀でございます。久し振りに離婚の話をしていいですか?」

「久し振りじゃないだろ」

「いえ、最近ギャンブルの話ばかりだったので離婚の話は久し振りです」

「それもどうなんだ……」

「話を進めますよ。今回ご紹介するのは3号分割という制度です」

「何だそれ?」

「夫が会社員で妻が主婦の場合、老後に受け取れるのは『①夫と妻名義の国民年金』『②夫名義の厚生年金』です。仮に離婚した場合、妻は国民年金しか受け取ることができません。そこで登場するのが3号分割という制度です」

「ああ」

「3号分割しますと、婚姻中の夫の厚生年金記録を半分に分け、妻の年金記録に反映させることができます」

「つまりそれ、夫が全額払ったのに、妻が半分持っていく……ってことか?」

「夫側から見るとそうですね。まあしかし、法律で認められた正当な権利ですので、離婚なさった女性は遠慮せず請求なさるのがよろしいかと」

「うーん……」

「もし同意できない場合は、強制ではありませんので、しなくても何も問題はありません。夫婦でよく話し合って決めてください」

「手続はどうしたらいいんだ?」

「必要書類を揃えて年金事務所へ提出します。妻が一人で行けば大丈夫ですが、書類には夫の署名と押印が必要です。それと、離婚証明書がいりますので、離婚届を出した市役所であらかじめ取得しておきましょう」

「詳しいな」

「経験者ですからね……(遠い目)」

「お疲れさん」

「ちなみに3号分割できるのは、2008年4月1日以降の厚生年金記録です。あと請求期限は離婚から2年以内。他にも色々ややこしいので、ご自分が該当する場合は、年金事務所で相談なさるのが良いでしょう」

「わかったよ」

「離婚は楽しいことではありませんが、気持ちも年金もしっかり清算して、新たな一歩を踏み出したいところです。以上、亀と浦島の恋愛講座でした」

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