評価シート

「どうも、浦島太郎です」

「わたくしは講師の亀でございます。新人賞に小説を投稿すると、賞によっては評価シートが貰えたりします。受け取った側は悲喜こもごもですが、ここで文句を言うのは筋違いなので、今回は楽しかった例をご紹介しましょう」

「ちなみにお前は、評価シートを何枚くらい持ってるんだ?」

「30枚くらいですかね? 高次通過しても貰えなかったり、逆に1次落ちでも貰えたりするので、一概に枚数でどうこうとは言えませんが」

「なるほど」

「忘れられないのは、タイトルや名前が間違っているケースです」

「そんなことあるのか?」

「タイトルは一度だけありました。集○社の選評で『貞潔サディスト』が『貞淑サディスト』になっていたケースです。これは漢字も意味も似ているので仕方ないと思います」

「すごいタイトルだな。どんな内容なんだ?」

「神父見習いの高校生(ドS)とA級サキュバス(ドS)が一騎打ちするラブコメです。先に堕とされるのはどっちだ、みたいな。今じゃマイナー街道まっしぐらのわたくしも、昔はちゃんとラノベを書いていたんやで……」

「いつ頃の話だ?」

「7年くらい前ですかね。『面白くできそうな設定なのに、肝心のストーリーがつまらなかった。センスないね』というコメントをいただきました。実際はもっと丁寧な口調ですが」

「ドンマイ」

「同じく集○社ですが、キャラ名が間違っていたケースもありました。梅代というキャラを出したのですが、評価シートに梅子が好印象だったと書いてあって、『梅子って誰よ!』みたいな」

「笑っちゃ悪いが、ちょっと面白いな」

「こちらは貞潔と違って、なんで間違えられたのかわかりません。おそらく予測変換ですかねぇ」

「確かに、予測変換で事故ることはよくある」

「誤字脱字はできれば避けたいですが、こんな風にフフッとなる、面白いミスはある意味歓迎ですよね。以上、亀と浦島の恋愛講座でした」

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