コーチ屋

「どうも、浦島太郎です」

「わたくしは講師の亀でございます。次は絶対に3番が勝ちます。さあ、3番に全財産を賭けなされ!」

「ふっ、俺の全財産は1,000円だぜ?」

「ナイス逆マウントです」

「いいや、事実だ」

「強く生きろ。それはまあ置いておいて、ギャンブルの場には必ずと言っていいほど、コーチ屋が存在します。カジノも例外ではありません。最近は取り締まりが厳しいですが、以前は競馬場にもよく出没したらしいですね」

「コーチ屋って?」

「冒頭のわたくしのように、特に頼んでもいないのに、一方的に賭け方のアドバイスをする人々です。コーチ屋の言う通りにして勝った場合、儲けの何割かをコーチ料として請求してきます」

「負けた場合は?」

「基本的に知らん顔です。失った賭け金は、もちろん弁償してもらえません」

「勝ったらコーチ料を取られて、負けたら何もなし。それ、従うだけ損なんじゃ?」

「その通りです。運悪くコーチ屋に声をかけられてしまったら、従う意思がないことをはっきりと示しましょう」

「お前も、遭遇したことがあるのか?」

「ありますよ。中にはルールを教えてくれる人もいますし、コーチ屋の全員が絶対に悪人というわけでもないのですが、やはり金銭のやり取りは避けた方が賢明ではないかと思います。そもそもカジノは、自分で賭けるのが楽しいのであって、コーチ屋の言いなりで勝っても面白くありませんから」

「確かに、競馬もそうだよなぁ。ただ勝ち負けだけじゃなく、馬の状態を見て調子を想像するのも楽しいし」

「浦島殿、競馬をなさるので?」

「いやまあ、ゲームから入ったライト勢だけどな」

「それも立派な理由ですよ。なお、この講座で紹介した恋愛テクニックを使って恋人ができてもコーチ料は取りませんぞ。良心的でしょう?」

「そもそもこの半年間、使える恋愛テクニックが1つもなかった説」

「良いオチですな。以上、亀と浦島の恋愛講座でした」

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