マリトッツォ

「どうも、浦島太郎です」

「わたくしは講師の亀でございます。最近、マリトッツォなる洋菓子が巷で流行しているようですね? わたくし、何それ知らないと言ったら、知人に『遅れてる~』と笑われました……」

「え、マリトッツォ知らないのか?」

「はい。田舎住まいなので、うちの近所ではそういうハイカラな洋菓子は見かけません」

「いや、さすがにあるだろ。最近はコンビニでも売ってるぜ?」

「そもそも近所にコンビニがない」

「ごめん、悪かった……」

「今のは、都会人のコンビニ・ハラスメントですな。それはそうと、せっかくですので、街へ出た際に1つ食べてみました。まあ何ですか、ちょっと固いシュークリームのような食べ物ですね」

「確かに、形はシュークリームに似てるな」

「クリームがはみ出して、食べづらくないですか?」

「わかってないな亀。最近は食べやすさよりも、写真に撮った時インスタ映えするかどうかが重要なんだぜ」

「なるほど。ビックリマンチョコは、ウェハース本体ではなく、おまけのシールが大事ですもんね。それと同じことですか」

「違うと思うよ。それはそうと、マリトッツォはイタリア発祥で、昔は花婿が花嫁にプレゼントする習慣があったらしいぜ? 場合によっては、クリームの中に指輪を隠すこともあったとか」

「異物混入事件ですね」

「いや、プロポーズだろ?」

「知らずに食べてしまって歯が欠けそうです」

「いや、食べてる最中に気付くって」

「途中で気付いても、クリームまみれの指輪とか微妙だし、絶対に錆びますね」

「この亀、反抗期かな?」

「マリトッツォブームに乗れなくて何となく悔しいから、ロマンチックな話をしたくないという複雑な心境を察してください」

「こういう面倒な講師、たまにいるよな」

「以上、亀と浦島の恋愛講座でした」

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