ネット広告

「どうも、浦島太郎です」

「わたくしは講師の亀でございます。この4か月間、恋愛関連の情報収集に励んでいたところ、思わぬ弊害に直面したので助けてください浦島殿」

「どうして俺が……」

「どうしても何も、亀を助けるのはあなたの義務であり存在意義。逆に言うと、亀を助けなかった場合、あなたは浦島太郎ではなくなります」

「やれやれ、わかったよ。で、情報収集の弊害って、具体的には何なんだ?」

「ネット広告が婚約指輪と結婚紹介所で埋め尽くされ、目に入るたびに精神ダメージを負うという弊害です」

「どうでもいい悩みだな」

「よくないですよ!?」

「目をそらせばいいだけでは?」

「以前はそうしていたのですが、最近のネット広告は攻撃力が高いのです。ポップアップ型、スクロール追随型、透過フェイドイン型、或いはその数種類の組み合わせも存在します」

「それはわかる……タップする気ないのに間違って押しちまうよな……」

「はい、何度舌打ちしたことか」

「けどまあ、アダルトサイトに飛ばされるのは迷惑だけど、婚約指輪のサイトなら実害はないんじゃないか?」

「豪華な婚約指輪……結婚直前のカップル……2人の弾ける笑顔……結婚を祝う祝福のメッセージ……(ぶつぶつ)」

「待て、顔が怖い」

「というわけで、目をそらす以外の対処方法はないでしょうか?」

「ネットを一切見ないのは?」

「それでは、この講座が配信できません」

「確かに。あ、そうだ、どのみちネット広告が目に入るなら、恋愛関連のサイトが表示されないよう、他の分野について検索しまくったらどうだろう?」

「なるほど、上書き作戦ですか。とはいえ、何を検索すれば?」

「自分の好きなものでいいんじゃないか?」

「それでは今日から恋愛の検索をやめ、酒と競馬について検索します!」

「俺は今、ますます恋愛講座から離れていく流れを作ってしまった……?」

「アドバイスありがとうございました。以上、亀と浦島の恋愛講座でした」

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