シンデレラ症候群

「どうも、浦島太郎です」

「わたくしは講師の亀でございます。今回のテーマはシンデレラ症候群です」

「その言葉たまに聞くけど、どういう意味なんだ?」

「簡単に言うと、白馬の王子様を待ち望む女性心理を表した言葉ですね。やや非難めいたニュアンスで使われるケースが多いです。浦島殿は、ディ〇ニーのアニメをご覧になった経験はありますか?」

「シンデレラの内容は知ってるけど、そのアニメは見たことがないよ」

「それでは、是非とも1度ご覧になってください。とても素敵な作品ですから」

「おすすめのシーンは?」

「意地悪な継母と2人の姉が、高笑いしながらシンデレラのドレスをビリビリに破くシーンが大好きです」

「チョイスおかしくね?」

「誤解しないでください。そもそもシンデレラは、最初からドレスがなかったわけではなく、ちゃんと継母から素敵なドレスをプレゼントされるのですよ。それを着て舞踏会へ行く予定だったのに、贈った本人の継母がそのドレスを出発直前に破いてしまうので、観客の心には『継母を許せない気持ち』と『シンデレラを応援する気持ち』が同時に強く芽生えます。非常に上手い誘導ですよね」

「なるほど。ド変態なわけではなく、そのシーンの創作上の演出が好きなのか」

「はい。あと、着たまま破かれるところもポイント高いです」

「やはりド変態では……」

「シンデレラ自体は名作ですし、夢と希望を与える作品ですが、かといってシンデレラ症候群になってしまうのは困りものですよね。白馬の王子様を待ち望むのは、必ずしも悪いことではありませんが、創作は創作ですし現実は現実です。幸福は、ある日誰かに与えられるものではなく、自分自身で掴み取るものだという認識を忘れないでください」

「確かに、他力本願じゃいい恋愛はできないよな!」

「ええ、その通り。以上、亀と浦島の恋愛講座でした」

「(結局、ドレスを破く話は関係なかったんじゃ……)」

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