独身証明書
「どうも、浦島太郎です」
「わたくしは講師の亀でございます。本日は独身証明書についてご説明します」
「独身証明書? なんか暗い響きだな……」
「ですが、結婚は人生の墓場、という言葉があるでしょう? 裏を返せば、独身こそ天国なのでは? つまり我々は人生の勝ち組なのでは?」
「俺が……俺たちが
「話を続けますぞ。独身証明書とは、その名の通り、独身であることを証明する書類です。これが必要になるのは、もっぱら結婚紹介所に入会する際などですね」
「遊び目的の既婚者が紛れ込んでたら、その会社の信用に関わるからな」
「はい。戸籍の情報量がもっとも多い資料は戸籍謄本ですが、親兄弟の情報まで詳しく表示されてしまうので、本人が未婚であることだけを証明する書類が必要でした。そこで登場したのが独身証明書です」
「なるほど」
「申請先は市区町村役場ですが、本籍地以外では取得できませんので、遠方にお住まいの方は郵送で申請されるのが良いでしょう」
「どこでも取れるわけじゃないんだな」
「ええ。これだけ電子化が進んだ世の中ですが、本籍地でないと取得できない書類は今も意外と多いので、自分と縁のない場所になっている場合は変更しておくと良いかもしれませんね。ですが、相続の際には出生から死亡までの全履歴が必要なので、引越のたびに気軽に本籍地を変えるのはやめましょう。のこされた遺族が苦労しますから。まあわたくしは独身なので、遺族は一人もいませんけれど」
「そういう場合って、その人の財産はどうなるんだ?」
「国庫に帰属します」
「国が持っていくわけか。やっぱり独身って寂しいな」
「いや、思い出せ! 俺が……俺たちが
「謎の圧力」
「そうならないよう、独身証明書を取得して婚活に励んでください。以上、亀と浦島の恋愛講座でした」
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