映画館のアンケート

「どうも、浦島太郎です」

「わたくしは講師の亀でございます。ようやく緊急事態宣言が解除されましたので、今日は久し振りに映画を観に行ってきました」

「長いこと休館だったからなぁ」

「はい。最近はネット配信も増えていますが、映画館ならではの大画面は、やはりいいものですよね。ところで映画の後、スマホでアンケートに答えたのですが、その中に困ってしまう質問がありまして……」

「どんな質問だ?」

「(問)あなたは普段、恋人とどんなジャンルの映画を観ますか?」

「恋人がいる前提……だと……?」

「しかも答えないと先へ進めません」

「悪意を感じるぜ……」

「仕方ないので、いると仮定して答えましたよ。ちなみに選択肢は『恋愛』『アクション』『ファンタジー』『ホラー・サスペンス』『アニメ』などでした。浦島殿なら、どれを選びますか?」

「そりゃ、デートで観るなら『恋愛』じゃないのか?」

「それも良いですが、わたくしなら逆に『恋愛』は避けますね。ほら、恋愛観って人それぞれでしょう? 相手と感想が一致するとは限りませんし……」

「解釈違いで論争、なんていう不毛な事態は、確かに避けたいな」

「ここはやはり爽快な『アクション』や、手に汗握る『ホラー・サスペンス』が良いのではないでしょうか? 内容が恋愛以外でも、2人で一緒にドキドキすれば、吊り橋効果が期待できますからね」

「ちなみに、アンケートの内容はそれだけだったのか?」

「いいえ。その後に(問)あなたは普段、ファミリーでどんなジャンルの映画を観ますか? という質問がありました。息子を失って夫に捨てられた筆者的には、ファミリーがいる前提なのやめて欲しいです以下略」

「難儀なアンケートだな」

「恋人と同じく、いると仮定して答えましたけどね。もはや一種のファンタジー」

「こんな時、独り身はつらいよな……」

「以上、特にオチはないですが、亀と浦島の恋愛講座でした」

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