美人講師

「どうも、浦島太郎です」

「わたくしは講師の亀でございます。この講座、浦島殿と2人で細々と続けておりますが、モチベーション的に正直もう少し受講生の数を増やしたいです」

「この内容じゃ無理だな」

「ひどいですね! ごく稀に役に立つ情報もあるでしょう! まぐれで!」

「まぐれ抜きで毎回役に立つ情報を提供してくれ。まあ正直、講師がピュアな男子に恋愛を教えるっていう、講座のコンセプトそのものは悪くないと思うんだ。ただ問題は、その講師が美人女性ではなく、何故か浦島太郎の冒頭に出てくる亀ってところだ」

「ぐすん、わたくしの存在全否定ですか……」

「だってさ、考えてもみろよ? メガネの美人講師に『今日は先生と壁ドンの練習する? それとも床ドン?』なんて言われたら!」

「壁ドン、床ドン、プテラノドン」

「真面目に聞け」

「ふん! そんなもの、ただのセクハラではありませんか! その女は講師の風上にも置けませんな!」

「でも正直、亀の恋愛講座より、そっちの方が需要はあるだろ」

「悔しいですが、まあ確かに」

「でさ、ある日先生が、不機嫌な感じでこう言うんだ。『こんなに恋愛のコツを伝授してるのに、どうして先生にアプローチしてこないの? 浦島くんの意気地なし!』そして、怒った先生は俺に……」

「玉手箱をプレゼント、ですな」

「違うそうじゃない」

「大きい玉手箱と小さい玉手箱、どちらを受け取りますか?」

「どっちも玉手箱じゃねーか!」

「ええ、わかりました。そういう展開がお好みなら、わたくし乙姫に頼みまして、来週までにとっておきの玉手箱を用意しておきます。どうかお楽しみに」

「ちくしょう、結局こういうオチになるのか……!」

「以上、亀と浦島の恋愛講座でした」

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