泥酔作戦

「どうも、浦島太郎です」

「わたくしは講師の亀でございます。酒とギャンブルが恋人のわたくしですが、ここで1つ、皆様にお願いしたいことがございます」

「ああ、なんだ?」

「肉体目的で相手を泥酔させるのは絶対にやめましょう」

「まあ、当たり前だよな」

「最初からそのつもりは論外ですが、男性側にそんな意図がなくても、結果的に女性が酔い潰れてしまうケースもございます。たとえば、アルコールの血中濃度は、飲酒後30分から1時間でピークを迎えると言われております。今日は酔わないな~と思ってたくさん飲んでいたら、30分くらいして急に気分が悪くなった経験、浦島殿はありませんか?」

「大学時代によくあったよ……」

「普段お酒を飲まれない方は、その感覚を持っていないので、その30分の間に飲み過ぎてしまうのですよ。ですので、相手のペースが早いと感じた場合は、躊躇せずに必ずとめてあげてください」

「とめたら、失礼じゃないか?」

「そんな時こそ、ノンアルコールカクテルの出番ですよ。前に3つ紹介しましたが、ちゃんと覚えてますか?」

「も、もちろんっ! えーと……」

「覚えてませんね……。おすすめは『シンデレラ』でございます。名前が名前ですので、女性受けもきっといいはず」

「よし、今度こそ覚えたぜ」

「筆者の私見ですが、酒のペースを気遣ってくれる男性は、大人の余裕を感じて魅力的に見えるそうです」

「筆者はガチ飲み勢だろ? 気遣いなんているのか?」

「要か不要かはさておき、そういう気遣いをすること自体が格好いいのです。バーでデートするのは楽しいですよね。美味しいお酒、お洒落な雰囲気、ウィットに富んだ大人の会話。ですがそれは、お互いが楽しんでこそ価値があるもの。一方的な泥酔作戦はやめましょうな」

「当然だけど改めて、だな」

「以上、亀と浦島の恋愛講座でした」

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