避難訓練

「どうも、浦島太郎です」

「わたくしは講師の亀でございます。本日は、講義中の非常事態に備えて、避難訓練を開催いたします。昔から地震・雷・火事・親父と申しますが、今回は、親父の襲来を想定した訓練を実施しますぞ」

「いや、なんでそれ選んだの? 他のにしない?」

「それはまあ、4つの中で一番身近な存在ですからな。それでは僭越ながら、わたくしが浦島殿の親父役を演じます。3・2・1、アクション!」

「ゴクリ」

「『太郎、その講師と結婚するなんて父さんは認めないぞ! そいつとは今すぐ縁を切りなさい!』」

「俺も切りたいよ(切実)」

「浦島殿、講義中に想定外の親父が襲来しました! さあ、一緒に逃げますぞ!」

「え、なんで?」

「そこはほら、避難訓練ですから逃げませんと」

「いや待て、授業中に親父乱入とか、そもそも設定おかしくね?」

「授業参観なら不自然ではございませんな」

「だとしても、いきなり結婚の話に言及するか!?」

「まったく、これだから最近の若者は……。そうやって、そんなこと絶対に起きないと油断していると、いざ災害が起こった時パニックに陥ってしまいますぞ」

「わかった、はいはい逃げますよ……(あきらめ)」

「災害時は停電の可能性がありますから、エレベーターは使わずに、落ち着いて階段で下りましょうな。それから、自治体の定めた一時避難場所・広域避難場所は事前に確認しておきましょう。地域にもよりますが、通常は公園や学校が指定されているケースが多いですぞ。ちなみに浦島殿は、自宅の最寄りの避難場所がどこかご存知ですかな?」

「う、知りません」

「自治体のホームページに載っているはずですから、家に帰ったら必ずチェックしておくようお願いしますぞ」

「ちぇ、わかったよ。しかし今回、恋愛要素なかったな」

「たまにはそういう日もありますよ。以上、亀と浦島の恋愛講座でした」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る