第48話:ローガンとハリーの裏切り

 次に現れた刺客の反応はなかなかのモノだった。

 それも一人や二人ではなく、他の四十七人にも強者がいた。

 最強の刺客は探索魔術の反応では貴級の強さだ。

 次は少し落ちて特級が一人。

 上級が二人、中級が十三人、初級が三十人だ。

 ローガンとハリーが集めた屑どもとは段違いの強さだ。


「また刺客が現れたようだ。

 だが今度の敵は貴級を筆頭に特級から初球までの四十七人だ。

 俺も鍛錬を兼ねて迎え討つからその心算でいてくれ」


 探索魔術で早めに発見したから奇襲されずにすんだ。

 こんな風にわずかな時間差で二度も襲撃だと、俺の探索魔術がなければスキを突かれたかもしれない。

 もし襲撃者がその事を計算の上でやっていたのなら、頭も悪くない。

 そんな敵を相手にするのなら、最初に頭を確実に潰しておくべきだ。

 問題は一番強い敵が一番頭がいいとも指揮官だとも限らない事だ。


「急げ、急いで再配置に付け」


 サイモンがキビキビと指揮を執っている。

 強敵と戦えるのがうれしいのか、表情が生き生きしている。

 だが問題はまだ怒りが収まっていないエラなんだよな。


「新たな敵が来たのでしたら、この者たちは殺してはいいのはありませんか。

 なにもこんな下劣な連中を生かしておく必要などないのではありませんか」


 エラが眉一つ動かさずにローガンとハリーを殺すように言ってくる。

 

「「ヒィヒイヒヒ」」

「お許しくださいエラ様」

「どうか、お許しくださいエラ様」

「何でもやりますのでお許しください」

「そうです、何でもします、王女を殺せ言われるのなら殺します」

「はい、殺しますとも。

 エラ様のために王女を殺しますから、どうかお許しください」


 ローガンとハリーは本当に屑だな。

 今まで散々利益を与えてくれた王女を売ろうとしている。

 普通ならエラの言う通りこんな連中は直ぐに殺すべきなのだろう。

 だがそもそもの原因は極悪尻軽悪臭王女だ。

 殺すのなら王女なのだが、同時にこいつらにも死んでもらう。


「そうか、そう言うのならお前達に王女を殺してもらおうか」


「ノアお兄様、こんな連中の言うことを信じられるのですか。

 今は助かりたい一心で調子のいい事を言っていますが、この場だけです。

 解放したら必ず裏切りますわ」


「そんな事はありませんエラ様」

「そうですエラ様、必ず王女を殺して見せます」

「元々身勝手な王女が大嫌いだったのです」

「そうなのです、エラ様。

 家のために仕方なく言う通りにしていただけで、本当は嫌だったのです」


「まあ、なんで節操のないモノ達でしょう。

 このような直ぐに寝返るモノを信じてはいけませんわ、ノアお兄様」


「大丈夫だよ、エラ。

 この連中が信じられない事は分かっているよ。

 だから何もせずに自由に開放したりはしないよ。

 魅了と従属と支配の魔術を使って絶対に裏切れないようにするよ。

 もしその魔術に逆らったら豚に変化してしまう呪いもかけておくから大丈夫だよ」

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