第61話 一段落と一緒にお風呂
では、絶望を味わってもらいましょうか。
穴があったら
ㅤ俺は収納からとあるブツを取り出して構える。
▼儀式の錫杖
とある悪魔が開催する怪しい儀式の時に使われる錫杖
魔力を注げば催淫効果のある香を発する
光属性に適正のある者がこの杖に魔力を注ぐと大変な事になるので注意しましょう▼
光属性の魔力使ったらどんな事が起きるんだろうか。
ちょっと気になるけど、俺にはコイツをペカらせる才能は無い。
無いものは無い。これからどう足掻こうが、絶対手に入らないだろうから考えるだけ無駄だな。
ヤツらの拘束を全て解いてから、山羊野郎の錫杖に魔力を注いでいく。
......ちょっと多く注いでしまったみたいで、なんかヤバい量の
錫杖を床に突き刺してその場から逃げだした。
ヤツらから見たら怪しい鳥っぽいなにかが、怪しい杖を使って逃げ出した......みたいに映っただろう。完全にやべーヤツだな俺。
......これで俺の役目は終了です。
後は好きに行動しちゃってください。
逃げるように壁を抜けて外に出てから、更に五重に闇の壁を作る。
あの大爆発の時は音が伝わってこなかったし、空気の振動も遮断してくれるはずだ。
音を遮断したのがウチのお姫様の水の壁だった場合は、闇の壁を一気に閉じればいいか。
この中で何が起ころうとも決してこちらへは伝わってこないと思う。そう......何も。
さーて!!あの女性達は、そろそろ葉っぱを食い終わって元気になった頃だろうか。
......うん、チラッと見たけどまだ苦しんでるみたいですね。もうちょい間を空けてからいこう。
んー......よし!今のうちに彼女たちへ渡すプレゼントを用意しておこうか。
......魔力は一つに千くらい使えばいいか。
それでも人間基準で考えれば破格のスペックになりそうだからね。
うーん。
どんなのがいいだろう。
こんな世界だからなぁ......やっぱり身を守れるように武器とかの方がいいのかね。
服とかあげても、好みじゃなかったらきっと使わないもんなぁ......
武器ならば多少気に食わなくても、スペックさえ良ければ使うだろう。俺ならそうするし。
うん。女性でも扱えるようなヤツで、それでいて頑丈そうな武器にしよう。
方向性は決まった。
それならばどんなヤツをあげたらいいんだろう。
素人でもどうにかなりそうな武器は......
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
うーん......鉈とか、メイスみたいな鈍器だろうか。
鉈......アレは相当万能な武器だし、肉厚だから頑丈さもある。
鉈ならば、アレ一本あればサバイバルな状況下でも生存率はかなり上がるもんな。
メイスだと、ナイフも携帯していないといけなくなる。それに腕力無いと辛そう。
よし、とりあえず第一候補は鉈に決定。
他に候補を出すとしたら......なんかあるかな。
扱い易さではナイフなんだろうけど......
リーチが短すぎて、近接戦闘の経験が無いと難しいよなぁ。
商家とか平民の娘たちって言ってたし、きっと無理だろうな。
あー良い案が全然思い付かないわ。
......もう鉈でいいか。
さぁ、もう深く考えずにサクッと召喚してしまいましょう。
召喚は問題なく終わった。
出てきた物は......ちょっと思ってたんと違う。尖った鉈?分類的には鉈なんだろうけど......
わかんないから鑑定で見てみるか。
▼魔剣鉈
魔力で強化され、魔剣と化した剣鉈
通常の物よりも軽く扱い易い
魔力で硬度や切れ味を自在に調整できる
この剣鉈が折れない限り、魔力を流していけば小さな破損や切れ味は修復される▼
おー、結構破格なスペックだと思う。
そう言えば剣鉈ってのもあったね。先端が尖っていて、ナイフのような扱いもできる鉈。
さすが万能能力な召喚さんだ。ナイフか鉈で迷ってたけど、両方の良いとこ取りをした武器を寄越してくださりやがった。
なかなかやってくれるじゃないか。
んー......この調子なら......
うん。今ならイケるんじゃね?俺自身のスペックもかなり上がった事だし。
俺の念願だった、出来たてアツアツの中華料理の召喚がイケる気がする!!
いやほんともうお願いします。出せるようになっていてください!!お願いします!!
レバニラ炒めとラーメン、それに白米とニンニクたっぷりの餃子で世界一贅沢なランチがしたいんです。
だからお願い、出てくれよォォォォ!!
中華包丁が出てきた。
クッッソがァァァァァァァァァ!!!
この前の中華鍋やらに続いて今度は包丁ですか!アハハッ......次に試した時はなにを出してくるのかなァ!!
はぁ......女性達の所へ戻ろう。
この剣鉈は魔力でメンテナンスができるみたいだし、ついでにあの実を一つ食わせてあげよう......
とぼとぼと重い足取りで女達の元へ戻ると、全員顔色や目付きは良くなっていた。
しかし全員が口を抑えて踞まっている。用意しておいた水は既に空っぽ。
口の中が大惨事みたいですねぇ。
おっと。今なら口の中に残る苦さで、実の不味さが中和されるから楽に食えるんじゃないか?
よし。完食したご褒美と称して、今あの実を与えてみよう。
「よく頑張ったね。体調はどうかな?さっきの葉っぱは本当に万能な薬なんだけど、苦さが異常なんだよ。口直しにこの果物を食べな」
見た目だけは美味しそうな果物だからだろうか。女性達はソレにすぐ食い付いてきた。
この件を教訓にして、この子達には是非とも他人からの悪意や嘘には敏感になってほしい。
いや、悪気はあったけど、決して君たちを苦しめる為だけにした事じゃないのは理解して欲しいんだよ。うん。
まぁそんな心の中の言い訳はどうでもいいか。一口食べて悶えていた女達から、物凄く恨みの籠った目で睨まれている。
ヤクがキマっている時より恐ろしい目付き。
そして皆さん一口齧っただけで、残りを食べようとしていない。
このまま残されても勿体ないんだよなぁ。
食えばちゃんと自分の力になるし、栄養価はバッチリ。体の栄養分足りてないだろうから食った方がいいんだよ。
ね?決して悪気だけじゃなかったでしょ?
しかし今はネタばらし出来る空気ではないけどしゃーないか......空気の悪さは俺の責任だ。
ここでしっかりネタばらしをして、ちゃんと食い切ってもらおう。
さっきの葉っぱは魔樹の葉、実は魔樹の実と明かして効果を説明した途端に、口を開けて呆けてしまった。
少し間をあけてから正気に戻った女達はその後、無理やり口に詰め込んで全員が完食した。
聞けば人間の世界でも伝説になっていて、権力者たちが血眼になって探していると言う。
ギルドでもランク付け不可の難易度の依頼として年中出しているが、達成者が出ない事で有名だそうだ。
.........あの実を出していれば即昇格できたっぽいな。
ちくしょうッッ!!俺のこの無駄な時間はなんだったんだろうか!!
はぁ......もっと詳しく調べておけばよかったわ。
後悔するのをやめて意識をこちら側へ戻す。
なんか知らないけどすごく感謝されていて落ち着かない。土下座している人もいる。
もうやめて!俺のライフはゼロよぉぉぉぉ!!
女達に土下座を止めさせ、マントと剣鉈、金貨を二枚ずつを餞別だと言って渡していく。
すごく遠慮されたが強引に渡し、自分の身はしっかり守れと付け足す。
そして剣鉈の使い方や能力の説明、それとクソ共の処理は俺がしっかりすると言って屋敷の外へ出してあげる。
感謝されすぎて居心地が悪かった。
あちらとしては生命を救われて自由にして貰えたんだろうけど、こっちとしてみればただの偶然でしかないし、気分的な問題だった。
もうちょっと図々しくなってもいいと思うよ。とりあえず今回のは素直に受け入れなさい。
今回は気まぐれで助けて援助しただけであり、今までの不幸の分の揺り戻しが来たと思ってこれからは幸せになってねーと伝えて別れた。
善意と悪意の判別はしっかりするんだよ。
はぁ......疲れた。
自己満足だけど、これであの受付嬢も少しは浮かばれただろうか。
いい感じに時間が経ったし、放置していた事を終わらせて帰ろう。
その前にタバコを一本吸って気持ちをリフレッシュ。
薔薇が咲き乱れているであろう場所をお片付けしに行くとしましょう......はぁ......
壁を解除していったら、野太い声が聞こえてきた。
うわぁ......楽しんでますねぇ......
死にたい......もうヤダ......帰りたい......
俺の行動の結果だけどキッツイ。どうせ見るなら百合が咲き乱れている光景がいい。
また不自然な光を全力で出し、顔以外はほとんど真っ白で全然見えない、視聴者憤慨のアニメのようにする。
これでかなりマシになった。
そして骨喰さんを使い斬撃を飛ばして首を落としていく。
首が地面に落ちる前に、首から下を速攻で消す。
そして残った首だけを、糸を使ってこちらへ持ってきて収納へとしまう。
これで、駆け足になったがクソ共の始末は済んだ。やっとこの地下空間から外へ出る。
そして最後の仕上げを施す。
このクソッタレな地下空間をブラックホールで全て消して終了。
地下にぽっかりと空間が空いたせいで屋敷の七割程が崩落したけど、それはあんな規模の地下空間なんかを作っていた貴族が悪い。
そして屋敷の入口へ生首を並べて置いていった。
ほぼ全壊と言っていい程に崩れた屋敷と並べられた生首。
壮観な景色だわー。
よし帰ろうか。こんなとこに居ちゃいけないようなお偉いさんの首もありそうだけど、あんなパーティーに参加している時点でクソだからどうでもいいか。
人が集まってくる前に、ペンギン姿のままその場を後にした。
2回目にあの女性達に会った時ペンギンのままだったけど、全然気にされていなくて忘れていた。
最後の方が雑になってしまったけど、仕方がないんだ。天使たち成分が足りなくなったのだから。
急いで宿まで帰り、窓から部屋に入って人に戻る。
やっと終わったぁぁぁ......
パパッと風呂へ入って体をキレイにしてから布団に入る。
俺の癒しの天使たちにぴったりくっ付いて寝た。
もうこの子達がいないと生きていけない体になってしまった.........
あぁ心が満たされていく......
◇◇◇
寝るのが遅くても、いつも起きている時間に目が覚める。
眠気はあるけど、これくらいなら余裕だ。
便利な体になったなぁ...
窓を開け、タバコを吸ってリフレッシュ。
人間のクソさばっかり見る王都生活だなぁ......
予定では今日を含めてあと二日の滞在だ。
早く人間社会と決別出来るように、今日一日調べ物を頑張ろう。
一服を終えて、朝風呂に浸かっているとお姫様が乱入してきた。
今日はいつもより早く起きたんだね。
飛びついてきた姫様を抱きしめ、一緒にお湯へ浸かる。
濡れてしっとり、スリムになったそのお姿もかわいい。
さすがにお高い宿だけあってお風呂が広い。
俺の腕から抜け出し、水流を作って流れて遊んでいるあんこ。
その隣へアヒルを浮かべてあげると、嬉しそうにアヒルと流れるお風呂を楽しんでいた。
平和でいいなぁ......
俺も一緒に流れたいけど、俺が流れるにはこの風呂ではサイズが足りない。
くそぅ......我が家を手に入れるまでは我慢だ......
浴槽内を流れるのに満足したお姫様。今度は俺の周囲をくるくると流れ出した。
水流がくすぐったいけど我慢だ。今の俺はお腹を上にしたグデっとしてるだらしない格好で流れているお姫様を観察するのに忙しい。
時折しっぽを使って向きを調整するという器用な事もしていた。
いつまでも眺めていられるので、この子が満足するか、俺が逆上せてぶっ倒れるまでは、収納にお湯を補充しながら待つ事にした。
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