第53話 まだ続くオフの日と試し打ち

 ふぅぅぅ......


 よし、気を取り直してもう一度ステータスを見てみようか。

 魔力の数値が見えないとか無いだろう。きっと鑑定の反抗期、もしくはエラーなはずだ。

 スキルもちょっとスッキリしていた気がする......もう一度、深呼吸してからステータスを再確認。正常に表示してね。



 ▼シアン

 人魔ㅤ21歳

 職業:召喚者


 レベル681ㅤ魔力---/---


 スキル:【鑑定】【闇御津羽】【魔】【神体】【金剛精神】【悪食】【家族愛】【侍】【多重思考】【指先の魔術師】▼



 ▼あんこ

 幻魔獣ㅤ0歳


 レベル702ㅤ魔力---/---


 スキル:【氷魔法】【水魔法】【縮地】【威圧】【水氷牢獄】【闇魔法】【穴掘り】


 備考:妹分ができて精神的に成長した

 新しい事をすると褒めてもらえるので、色んな事を試したいと思っている

 主人とピノを心から大事に思っている▼



 ▼ピノ

 煌魔蛇ㅤ1歳


 レベル744ㅤ魔力---/---


 スキル:【炎魔法】【幻影煌石】【隠密】【魔威圧】【輪廻】【天運】【闇魔法】【温度操作】


 備考:主人とあんこに心を許していて、大事に思っている

 主人と姉の愛情を嬉しく思っているが、どう対応すればいいかわからない

 現在は色々な経験をして心身ともに成長している▼


 あんことピノの気持ちが嬉しいなぁ......これからもずっと一緒だからね。


 お嬢様が最近やけにドヤると思ったけどそういう事かぁ。可愛いなぁ。

 ピノちゃんにはもっと困惑してもらおう。これが普通だと思ってもらえるまで。


 ......さてと。

 ホントなんなんだろうねコレ。

 いくら考えても意味が無い、もう思考を不法投棄して確認しよっかね。


 現実さんと向き合わなきゃいけない時間が来てしまった......

 えーっと......どれどれ......



 ▼闇御津羽くらみつは

 闇と水を司る神の如き力

 闇、水、幻を自在に扱えるようになり、統合された唯一無二のスキル▼


 ......なんか日本の神に居そうな名前だね。

 すごいスキルだって事はわかった......これについては深く考えるのはやめて、次行こう。


 ▼魔

 魔そのものと言っていい

 底無しの魔力を保有していて、全ての魔力を自在に扱える▼


 魔力を表記するのが馬鹿らしくなるくらいの量になったんですかね。

 無限に近いのかぁ......タナトスを倒すまでは有限だった気がするんだけど。


 仮にも神の名を冠するモノを倒したから急成長したのか?細かくステータス確認していなかった俺にも非があると思うけど、アナウンスしてくれたり、ログを見れるようにしてくれてもいいと思うの。


 お?



 これ、もうあの劇物を食わなくてよくなったんじゃね?よっしゃ!次を見よう。



 ▼神体

 神の如き強さの肉体を得た者

 肉体強度が神クラスの頑丈さになる

 この状態でも敵無しだが魔力を使えば、より強く強化する事ができる

 イメージした通りに体を動かし、扱えるようになる▼


 意識して強化しなくても、防御面はほぼ無敵になったんだなぁ。常時スター状態に進化したのか。


 たぶん界〇拳状態でもスーパー〇イヤ人になれるようなもんと思えばいいのかね。

 スーパーとかは見てないから知らないし、わからないから雑な感想だけど。

 俺の知識はZまでだ。GTは少ししかわからない。さぁ次。



 ▼家族愛

 家族と認めた者と魂で繋がる

 自身の魔力を家族と共有し、相手の一番得意な能力を共有できるようになる▼



 あー......コレは俺にとって一番嬉しいスキルだわ。名前も効果も。


 あの子たちまで魔力表記が消えてたの俺の所為だったんだね。



 ▼指先の魔術師

 指の器用さが限界突破した者

 その指の動きは全てを魅了する▼



 一見ネタスキルに見えるけど、コレはかなり使い道ありそうだな。

 一番の使い道はモフり&撫でだろうけど。


 やばそうな俺のスキル確認が終わり、後は癒されるだけ。

 お嬢様のを見てみよう。名前からして既にホッコリしている俺がいる。


 ▼穴掘り

 穴を掘るのがとても上手になる

 人の手では不可能な箇所でもしっかり掘り進められ、崩落の心配もない▼


 昨日あんこが穴を掘ってたのは、このスキルを手に入れるよって前フリだったんですかね?

 ウルトラ上手に掘れましたー!とドヤっているあんこが幻視できる。


 なんかこのランダムスキルガチャ、法則性かなんかがありそうな気がする。


 ▼温度操作

 自身及び、周囲の温度を自在に調整できる

 強力なスキルだが効果範囲はとても狭い▼



 ピノちゃんもまたピンズドなスキルを手に入れちゃって......

 さすが幸運の白蛇!ヒキが強い。


 俺たちと戦った時にコレがあれば、どうしようもなくなっていた気がする。


 一通り目を通してみた......結論として、きっとこのスキル構成が俺らの最終形態なんだろうなって感じ。

 あとは日常系のスキルが生えてくることを祈る。料理とか料理とか料理とか......


 そして、この闇御津羽ってスキル...家族愛スキルの力の結晶っぽくてすっごく気に入った。説明見た時は困惑しかなかったけど。


 ピノちゃんが炎より幻の方が得意だったのに少々驚いたけど。


 ......ただ効果がイマイチわからん。

 闇魔法の幅がかなり広まったのかな?まだよくわからんから検証してみなきゃ。


 そしてこのスキルのおかげで水と幻まで扱える様になったから、あの子たちに色々教えてあげたり、一緒に遊んだりできるな!これからの楽しみが出来た。


 レベルに関してはこんなもんか......という感想。ダンジョン内であれだけ殲滅行動してたからもうちょい上がってると思ってた。

 何レベルでカンストするんだろうかね。


 確認が終わり、あの子たちに目を向ける。なにやらテンションが上がっている模様。



 あんこは早速穴を掘り掘りして楽しそうにしている。自分の思った通りに掘れてんだろうね......あ、姿が見えなくなった。


 ピノちゃんは俺に擦り寄ってきて、すっごく嬉しそうに獲得したスキルの事を報告してきた。


 その様子がとても可愛かったので、思わず指先の魔術師を発動させて撫で撫でしていた。




 不意打ちで魔術師の攻撃を受けたピノちゃんは、体を一瞬ビクンッとさせた後に蕩けた。


 指先の魔術師すげぇぇぇぇぇ!!!

 撫でたりするのに特攻が付くのかなぁとは薄々思っていた、しかしこれは想定していた以上の効果だったわ。


 どうだった?と聞いてみたところピノちゃんは、『何かよくわからないけど撫でられたらやばかった』と報告してくれた。


 夜にあんこへ試すまでは内緒にしておいてくださいと、ピノちゃんに口止めをするのは忘れずにキッチリと。


 フハハハハハッ!イイねイイね最っ高だねェ!!

 この力でもっとあんことピノちゃんを俺から離れられなくしてやるぜぇ!!



 寝る前にやってあげるとしよう。アヘアヘのとろっとろにしてやんよ!



 もう魔力とかどうでもよくなっちゃったわ。多分この力が俺の求めてやまなかった力だったんだ。

 家族の力を合わせた最高のスキルと、俺の欲望が具現化したスキルを手に入れられた俺は最高に幸運だ。


 穴掘りが上手になってウキウキなお嬢様が戻ってきた。

 どーよこの穴!みたいな感じでドヤっているので顔をむぎゅーっ。


 それやだ!やめてー!と肉球でプレスされるも、それは俺にとってご褒美でしかないので問題なし!


 でもやりすぎて拗ねられてしまったら嫌なのですぐに止める。

 なんなのまったく!とプリプリ怒っているあんこと、その光景を見て軽く呆れているピノちゃん、そして上機嫌な俺。



 .........あれ?これだと俺が家族で一番ダメなやつポジションじゃないか。

 ......うん。きっと俺はこれでいいんだと思う。ダメダメなパパンをしっかり支えてくれ娘たちよ!!


 ちょっと悲しい現実から目を背け、俺のスキルの報告。指先の魔術師はもちろん内緒にしてある。


 闇御津羽と家族愛のスキルを伝えたら、あんことピノちゃん両方がとても喜んだ。


 自分の得意分野を使われるようになるの嫌じゃないのかな?なんて考えていたらすぐ答え合わせの時間になった。


『私たちの力が使えるようになるだけで、私たちの事を必要ないってならないでしょ?』とあんこ。


『同じ力を使ってもらえるのは嬉しい。でも得意なのはこっちだもん』とピノちゃん。


 いい子すぎるよなぁ。そして得意気に言い切った姿がとてもキュート。


 きっと人間同士だったら、マインドコントロールでもしてない限りパーティが空中分解するレベルだろこんなもん。

 もし俺がそいつの仲間だったらパーティを抜けるね。独裁されるのが確定している。


 というか、あんこの言が真理をついているな。周りに誰かいないと意味の無いスキルだよね。

 しかし、悲しいことに人はそんな事も忘れて、すぐに調子に乗ってしまう生き物だから俺も気をつけなくちゃな。



 気を取り直して、そうなんだねー偉いねーと、なでなでしながら水や幻の使い方を聞いてみる。コツとかもちゃんと教えてくれるかな?


 お嬢様曰く『出ろー!と思えば出る。動けー!と思えば動く』だそうだ。

 ......あんこは感覚派なんだね。天才型の。


 ピノちゃん曰く『いつの間にかできてた。逃げる為にとか、戦闘を避けたりするにはどうすればいいか考えてた』らしい。


 辛かった時を思い出させてしまったけど、全然気にしてなさそうでホッとした。

 しっかりと克服出来たんだね。


 あんこはモノを教えるのが絶望的に下手でかわいい、ピノちゃんは精神的にすごく成長しててかわいいというのがわかった。



 なんとなくイメージさえしっかりすれば出来そうとわかったのでお試しタイム。


 どんな事をしてみようかな......と、水系の事を考えていたら、なぜか水族館が思い浮かぶ。その中で、とある光景が強く頭に浮かんできたので再現する事に決める。


 失敗したら水浸しになるだけなので、あまり気負う必要はない。洞穴の入り口から外に手を向けて魔法を放つ。

 巨大水槽の中の鰯の大群を思い出しながらイメージして。


 水で出来た魚と、幻影の鰯の群れが雨の中を泳いでいる。


 なんか妙に幻想的な光景が完成した。


 うわーすごーい......としか言えない。すごい量の小魚と鰯が、一糸乱れぬ動きで右へ左へ......



 うん。水族館で見たあの光景そのものだわ。




 この光景がピノちゃんに刺さったらしく、同じ様に魚を出そうと頑張っている。

 お嬢様もノリノリで水のお魚を作っている。

 ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ

 上手く出来たし俺は満足。

 あんことピノちゃんを膝の上に乗せて、魔法で遊ぶの景色を眺めていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る