第47話 不法滞在と自分へのご褒美
某ゲームの序盤で手に入れられればかなり心強いだろう武器を装備し、屋敷攻略に向かう。
謎解きやギミック等もないっぽいので期待はずれだ。隠れてるのはひっそり殺り、目の前に来るのは殴殺しながら屋敷の主の元へ向かう。
すげー楽で短いので嬉しいなぁ......今までが長すぎたんだよ。特に91階層からが!
やっと終わりが見えてきたぜェこのダンジョン!
30分ほどで一際ゴージャスな扉の前に到着した。順調に進みすぎて逆に違和感が凄いが、特に変な事はなかった。
さぁ進みましょう!
扉の開けた中には変な格好をした虫人間......モチーフは蠅か?
なんとなーくわかったけど、とりあえず鑑定してみよう。
▼ベルゼブブ
99階層の主人▼
たしか病原菌を撒き散らしたりするんだよなコイツは。
イメージ的にも、見た目的にも汚いのでもういいや。
先手必勝!!!
バールのようなもので殴打!殴打!殴打!刺突!殴打!殴打!殴打!殴打!
死に際にイタチの最後っ屁的な事をされると嫌なので、最後はブラックホールで跡形もなく吸引して終了。
喋るタイプに見えたけど、コイツは喋らなかったなぁ。99階層のボスのクセに淡々と殴り殺せたし弱かったのかな?
ヤツのドロップ品のオカモチくらいの箱とデカい宝箱を回収し、この階層はこれで終了じゃい!
さてと......久しぶりの屋内なので今日はキレイそうな部屋を探して泊まろうと思っていた。
次の階層行ったら戻れないだろうし。
ちゃんと消毒滅菌、ゴミ掃除してからだけど。
十分ほど歩き回りながら各部屋をチェック、そして比較的キレイでちょうどいい大きさの部屋を発見。
あとは泊まれるようにリフォームを開始する。
まずは敵が入ってこれないように糸を張り巡らせていく。ここに来るまでもそうだし、探知しても敵の反応は引っかからないが油断はしない。
ボスを倒した後にモンスターが消えたので油断していたら、翌朝リポップしていてワラワラと群がってきてました。
と、ならないようにしっかりした対策をしておく。
壁の内側、壁の中と壁の外にそれぞれ糸の罠を仕掛ける。床や天井にも同じ処置を。
内側から触ればクッション性を持っていて、外側から触れば切れるように調整。
こんな事もいつの間にか出来るようになっていた。
部屋の中にあるモノは信用出来ないので消し飛ばす。ゾンビやら何やらが待機してたかもしれない部屋の物をそのまま使うなんて無理ですわ。
かなり殺風景な部屋になったが、モノは少ない方が落ち着くから問題はない。
次は部屋の中の殺菌と滅菌か......
消毒用アルコールを染み込ませた布をたくさん用意して、それを糸で操作しながら拭きまくった。完璧な殺菌。
これで平気かな?あとはファブ〇ーズを散布しとけばいいだろ。
よっしゃ!これで久々のプライベートルームだ!!
あっちにいた頃はフローリングだろうが、カーペットやら絨毯、畳だろうがこだわりは無く、どうでもよかったのに今は和の風味がとても恋しい。
失くすまでは大事なものに気付けないとはよく言ったものだわ。帰りたいとは思わないけどホームシックみたいな症状だろう。
懐かしのジャパニーズ感を味わいたいので、畳と敷布団、そして座布団を召喚した。
ずっと大人しかったあの子たち。どうしたんかな?と思ってたらやっぱり寝ていた。
結構動き回ったので揺れたと思うけど、それでもしっかり寝れるなんて凄いなぁ。
よくこんなに寝れるなぁと思いながら、召喚した畳の上にブランケットを敷き、その上に寝かせてあげる。
ちょっと部屋の中がアルコールとファ〇リーズ臭いけど、畳の匂いがほんのり香ってきて落ち着く。
安心して住める土地を見つけたら、絶対に和風の建築物に住もう。そう心に誓った。
気を取り直して畳の上に座布団を枕に寝転がりながら、恒例のドロップ品と宝箱鑑定タイム。
まずはオカモチサイズの箱から見ていこう。
▼願望の器
この箱サイズの物なら望んだ物を手に入れられる
どのような物を望んだとしても、願った通りの物が出現する
1度使うと消失する▼
使い切りのチートきました!
............ダメだ。
オカモチサイズの願望器なんて出てくるのが悪い。
こんなドチートのものに、出来たてアツアツの中華料理なんて望んではならない。
必死に誘惑を振り切り、コレはまだ厳重に仕舞っておこうと誓った。
お次はデカい宝箱を開けてみた。
宝箱のデカさに釣り合わない小降りな袋が出てきた。
無駄な演出は止めてほしいっす。
▼
お伽噺の世界の寝具とも言われる夢幻シリーズの寝具が一式入った収納袋
絶対に魘される事の無い快適な睡眠をあなたに......▼
何このキャッチコピーは......
昔にこの寝具を手に入れた人がいて、あまりの寝心地の良さに伝説にでもなっているのかね......
しかしこのダンジョンのドロップ品はやべー性能のモノが多いな......
クソみたいな精神攻撃や難易度のせいで、俺みたいな人外じゃないと攻略するのは無理な気がするから、コレはご褒美枠のドロップ品と思っておこう。
ピノちゃんの【幸運】も作用してくれている気もするし。
なんやかんやあったけどこのダンジョンでの収支は完全にプラスだな。マイナス要素は心の摩耗だけだし......うん、そこは大丈夫。
久しぶりの畳の上をゴロゴロしながら満喫しつつ、今後の欲しいものリストを心のメモ帳に書いてみよう。
1、静かで自然の豊かな土地の和風建築のお家。
これは絶対。今回の事があってより一層気持ちが強くなった。
2、掘りごたつと囲炉裏、露天風呂と縁側。
これも絶対に欲しい。
ウチの子たち用に大きめのプールや庭。これも確定。
3、可能ならデカい枝垂れ桜の木が一本、梅や桃、普通の桜の木も複数本欲しい。
これは心のケア的な要因が強い。種とか苗木とかが召喚で何とかなればいいなぁ......
他には......なんかあるか?
変に文明的で快適な生活など必要性を全く感じない。戦国時代くらいの快適さがいい。
家の大きさにもそこまでこだわりはないので、そこそこ快適に過ごせればいい。
生活スペースは六畳くらいのを一部屋、リビング、キッチン、バストイレ...これくらいか。広くても持て余すし、一人と二匹では充分であろう。
あの寝具の大きさで少し展望が変わるくらいか。
ふふふふ......楽しみだなぁ。もうすぐだ......このダンジョン生活や冒険者生活とおさらばするんだ。
やばい......楽しみでテンションが上がってきた。興奮してきたぞ。
よし!テンションを落ち着ける為にダンジョン攻略の前祝いに甘いものパーティーをしよう。
自分自身へのご褒美と慰労を兼ねて盛大にヤろう。
そうと決まれば善は急げだ。甘いものを用意するのだ!
チーズタルト、チョコケーキ、ティラミスを二ピースずつ、生どら焼き、プリンどら焼きを二つずつ召喚。和洋折衷、今食いたい物を召喚。
フルーツの乗ったスイーツなんて要らないし食いたくない。食ったらあの果実が食えなくなる。
もうあの劇物は食わなくてもいいかもしれないんだろうけど、もし何かあってうちの天使たちに被害が出るようなのに遭遇したら......
って考えるとやっぱり備えとかないと。
うん。この子たちが大事。
もともとあっちにいた時からフルーツあんま好きじゃなかったし。
変なこと考えてないで、今はスイーツに集中しないと失礼に値する。
まずはチョコケーキを頬張る。
濃厚なチョコクリームとカカオの風味がしっかり感じられるスポンジ、上に乗ったパリパリ食感のチョコがたまらない。ホール余裕で食えるわ。
食べおわったらコーヒーで口直しして、次はチーズタルト。
濃厚なチーズの味と甘さがガツンとくる。その濃厚なチーズをタルト生地が中和し、サクサクとした食感で最後まで飽きずに楽しめる。これもホール余裕で食える。
素晴らしい......スイーツはいいね。スイーツはリ〇ンの生みだした文化の極みだよ。
また口の中をリセットしてティラミスに移行。
コーヒーの香りと苦味、マスカルポーネの風味と洋酒のクリームが染みたビスケットが物凄い戦闘力で襲いかかってくる。バケツ一杯分余裕で食えるわ。
次は生ドラとプリンどら。緑茶を用意して......いざ。
ほんのり甘いもっちもちの皮と餡子の組み合わせ......これだけで神なのに、生クリームが追加される贅沢。
生クリームの脂分が罪悪感のある満足度をプレゼントしてくれる。腹がはち切れるまで食えますね。
そしてプリンどら......
どら焼きの皮にプリンをぶち込むという神をも恐れぬ所業......挟んだプリンが溢れないように生クリームで土手を作ってあるので汚さずに食える心遣いが憎い。これ考え、生み出した人尊敬するわ。
これで一周したね。
さぁもう一周行きましょう。違う味のを召喚すればよかったと思わなくもないが一つずつだと少し物足りないのだよ......
あぁ幸せだ。
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