第7話 服の性能と王女サイド
ぺたんっ......ぺたんっ......
なんかほっぺが押されている......?
目を少し開けて見てみると、肉球スタンプがほっぺたに押されていてとても気持ちがいい......何これ幸せ。
だけど俺は今、すっごい眠いのよ......一緒に寝ようとあんこちゃんをぎゅー。
ん?できましたー?
あと一日待って......眠たいっす。
......うるさいなぁ
あれ?なんで起こされてるんだろ......誰だ?
......あー、アラクネ達がいる。
ん?あ、そっか。思い出してきた......
はい起きます。
「起こしてくれようとしてたんだね。ありがとう。
あんこのおかげで凄く気持ちよく寝れたよ♪またいつかお願いするね。
あ、アラクネさん達には、今羊羹とお茶用意しますねーお土産の分も」
あんこにお礼のなでなで。あ、もう元の大きさに戻っても大丈夫だよ!ありがとねー。
「じゃ、お茶しながら出来たもの見せてもらうね」
「おはようございます。完成しましたのでご確認をお願いします。
ローブは防刃、耐衝撃、自浄、温度調整、遮光、劣化防止が。魔力を込めると魔法反射が作動します。
劣化防止がついておりますので、全く同じものを二着ではなく、黒のローブと群青のローブを作成しました。ワンポイントとして胸元にあんこ様の横顔のシルエットを入れさせてもらいました」
当初想定してたものよりも、破格な性能のローブが完成していた。やっぱ物にも普通に能力付くもんなんだね。
闇魔法で付与を試さなくてよくなったのは嬉しい。ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
ぶっつけ本番で試すのは、実は結構怖かったからね......よかったよかった。
それにしても付与された能力すごいな!そして胸元のあんこがらぶりーです。
「他の衣類は、自浄、温度調整、劣化防止がついております。
魔樹の実により魔力が増えたおかげで今まで作れなかった性能の物が作れました。このような機会を与えて頂き、感謝しております」
「想定の何倍も凄いね、ローブも気を使ってくれてありがとう。またお願いしたい事があったら頼んでもいい?」
「こちらもいい体験になりましたし、ありえないほどの報酬も頂きましたので。また何かありましたらお呼びくださいませ。
あ、姫様......一言あるのではないのですか?」
羊羹に夢中になっていた王女さんが、恥ずかしがりながら話し出した。
そういえばまだメイドさんの声しか聞いてなかった。
「あ、あの......このお菓子とっても美味しいです。ありがとうございます。
貴重な実を貰えて強化して貰えたことも...あと、その......」
引っ込み思案なのかな?オドオドしている。そしてちょっと声がかわいい。
「あの!......あんこ様をわたしも撫でてよろしいでしょうか!!」
あ、この子警戒しなくてもいいかも。
もふもふ好きなんだね。うちのお姫様の可愛さにヤられちゃったかー。
金剛精神をも突き抜けてくるチャームはレジスト不可能なのだよ。
あんこも満更でもなさそうだし。行っておいで!
「ふわぁぁぁ」
ぴょんとあんこに飛びつかれてトリップしだした。放っておいてもよさそう。
メイドさんと会話しておくか......あれ?メイドさんもソワソワしてる。
「私達も後ほどよろしいでしょうか?
あとあんこ様のぬいぐるみを作っても......」
うん、アラクネ達は同士だったみたいだ。グッズ欲しくなる気持ちはよくわかるよ。
「いいよ!あの子はまだ俺しか知らないし仲良くしてあげて。ぬいぐるみもおーけー!
あの子を可愛くできる装飾品とかも考えておいてくれたら嬉しいかな」
「任せてください!!全力でデザインしますので!!」
今まで喋っていなかった方のメイドが元気に返事をしてきた。
とてもいい返事だったので思わず笑ってしまう。
あーうん。俺はアラクネ達を結構気に入った。
人間なんかよりも断然付き合いやすいわ。
その後はもふもふしてない子と色々話をして色々と聞いた。
一定の信頼関係が出来たみたいで、パスが出来ており、次呼ぶ時もこの3人なら呼びたい子を思い出しながら呼べばいいらしい。
しかし王女さん単体を喚ぶのと、急に王女さんを喚ぶのはやめてほしいとの事。
まぁ王女を急に拉致るのはダメなのはわかるよさすがに。
アラクネ達は結構上位のモンスターらしく、亜人カテゴリーじゃないとの事。
人から独自の進化で変わっていったのが亜人、モンスターから人っぽく変わったのはモンスターのままだそうだ。
という事はアラクネは第一異世界人ではないな。
これから先、知性のあるモンスターとは仲良く出来そうかもと思わせてくれた。
それで、知恵のあるモンスター達は種族同士集まって国を作ったり、集落を作ったりしてるんだって。
もし来る機会があれば歓迎するので来てくださいと言われた。ローブの内ポケットに姫様の印があるのでそれを見せれば問題ないとのこと。
......俺はまだ名乗ってないのでこのまま名乗り忘れた事にしとこう。名前を決めた後で呼んだ時に機会があれば教えよう。そうしよう。
アラクネ達はもふもふに満足してないっぽいが、そろそろ帰らないとマズいらしいのでそろそろ解散することに。
かなり名残惜しそうだった。
「すごく助かったよ、ありがとう。それじゃ送還っ!」
あ、消えた。送還する時は一瞬なのね。ちゃんと元の場所に戻れたよね?
ちょっと心配になってきた......今後に関わるし、気になるからメイドさんかもーんぬ!
あ、びっくりしてる。
元の場所に戻れた?あぁよかった。
問題になってなかった?頑張って誤魔化す?ごめんね。
あ、それが心配だったから。助かったよ、じゃ送るね!ありがとう。
ふぅ......
なんか久しぶりに会話して、精神的に疲れたから今日はもうゆっくりしよう。
魔力糸トラップを仕掛けて、あんこにジャーキーをあげて......
他はいいや。とりあえず今はもう眠いから寝ましょう。
~sideアラクネ王女~
昼食を食べ終えて侍女達とお茶をしていたら急に魔法陣が現れ、わたし達を中心に光り輝く。
これは......召喚魔法陣?物凄い力で引っ張られる
レジスト出来ません......三人がかりでもダメでした。
これでもアラクネ種の中で魔力は多いほうなのに、あっさり召喚されてしまう......召喚者はどれだけ魔力あるんだろう......人柄も目的もわからないので凄く怖いです。
侍女達がわたしを庇うような配置になる。うぅ......貴女達も怖いと思うのにごめんね......
ここは?どこかの森の中?
えっ?
人型のドス黒い魔力と、ソレに抱かれてる?深い青色の魔力を垂れ流してる塊がそこに存在していた。
不用意に動いたり、敵意を見せた瞬間殺される......
そう直感し、己の無力さを痛いほど感じた。
侍女達も青褪め、震えている......気丈に振る舞うこともできずに怯えるだけの弱い王女でごめんなさい......
無力さを噛み締めていると魔力の塊が話しかけてきた。
どうやらローブが欲しいらしく、ローブを召喚しようとしたらわたし達が召喚されたらしいです。
ローブ自体を召喚出来るものなの?召喚士って極めたらそんな事が出来るのかしら?
侍女が話をし、魔力を抑えて貰えることになりましたが、やり方がわからないらしく考えこんでいるみたい......
少し待っていたら魔力が引っ込みました。今度は魔力が全く感じられない......凄い技量だわ......
え!?青色の塊が子犬に変わった!?かわいい!
コホン、黒い塊は気怠そうな雰囲気だけどかっこいいお兄さんに変わった。
そこからは驚きの連続だった。
幻の実を食べたり、黒い不思議な食感のお菓子と緑色のお茶を頂き、依頼の品を作ってたらこの世の終わりを思わせる程の魔力を使い何かをされていたり、犬の名前があんこ様と判明したり、あの方の寝顔が意外にもかわいかったり......と大忙しでした。
あの実はもう二度と食べたくはありませんが!
異常な魔力でヘタり込んでしまったけど、女の子としての尊厳は守りましたよ。本当です!
その後はあんこ様と触れ合い、あのお菓子......ヨウカンというのを食べ、お土産を頂き解散となりました。
呼ばれる前と同じ所に戻ってきて、緊張が解けて少しだけボーッとしていたら侍女の一人がまた呼ばれたらしく目の前から消えましたが、すぐ戻ってきました。ちゃんと帰れたかの確認だったみたいです。
とても濃密で不思議な時間でしたけど、良い縁が結べたと思います。
あの方のお名前を聞きそびれてしまいましたが、また会えると思います。侍女達も聞いていませんでした。
侍女達と話し合い、魔樹の実は父である王に譲渡し、ヨウカンは全てわたし達の物と決まりました。
ぬいぐるみ作成の許可を得て、それに合わせてあんこ様のお召し物を任せて頂けた。
圧倒的な力を有しながら優しかったあの方の分と併せて、侍女達と全力を尽くす所存です。
次に会える時を楽しみにしておりますね!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます