現代ドラマ

幸多き人生を

□作品名:幸多き人生を

□作者:藤見正弥 さん

□掲載場所:カクヨム

□文字数:約8万字(2021年3月7日時点)

□連載状況:連載中

□タグ:親代わり、姪っ子、会社の先輩

□あらすじ(原作より引用)

橘公平は大卒二年目の会社員だ。六月の中頃、そんな公平の下に一本の電話が掛かってくる。

 それは姉夫婦が事故に遭い、亡くなったというものだった。

 呆然としたまま教えられた警察の安置所に向かった公平は、そこで姉夫婦の亡骸と対面した。

 そして病院で、母親である姉に庇われ無傷だった姪っ子の幸と再会する。

 まだ両親が亡くなった事を理解できていない幸を抱きしめ、二人の忘れ形見を守る事を決意する公平だった。



 姉の家に引越して幸との同居生活を開始するも、まだ四歳児である幸の子育てに悪戦苦闘する公平。

 慣れぬ生活、溜まってゆくストレスに追い込まれてゆく公平に手を差し伸べたのは、会社の先輩である水本ほのかだった。


「橘くんはもっと周囲に頼りなさい。そういうのは先輩として見過ごせません」


 橘の家に押しかけ手際よく家事を行うほのか。

 見知らぬ人間の登場に警戒する幸だったが


「……お姉ちゃん、誰?」

「はじめまして、私は水本ほのかです。公平くんのお友達ですよ」

「……こうちゃんのお友達?」

「はい。貴女が幸ちゃんですね?公平くんから聞いてますよ。……ねえ、幸ちゃん。私とお友達になってくれませんか?」


 優しい眼差しのほのかの言葉に戸惑いながらも頷く幸。

 そしてほのかの作った肉じゃがを食べた幸は


「……ママの肉じゃがだ。ママが作ったのと同じ味がする」


 そう言って号泣したのだった。


 泣き疲れて眠った幸をベッドに運び、ほのかを見送る公平は


「図々しいお願いだって分かってます。でも、もう一度うちに来て料理を作ってくれませんか?」


 断られる覚悟でお願いした公平の言葉に


「……そんなの嫌だって言っても押しかけますよ。だって私はさっちゃんのお友達なんですから」


 優しく微笑み、そう答えるほのかだった。


 この話は姉の忘れ形見である姪の幸を、親代わりとなって育てる公平とそんな公平を支えるほのかのとの三人の物語です。

□レビュー:

 大卒二年目の会社員橘公平と姉の忘れ形見である姪の幸、会社の先輩水本ほのかの三人が食卓を囲むようになった暖かくちょっぴり切ない物語です。

 物語は三人の楽しい食卓風景から始まる。そのあと、公平の姉夫婦が事故に遭い、その娘である幸を引き取ることや、会社の同僚であるほのかが公平を助けるのかが語られていく。

 徐々に二人は互いのことを意識し始めるが、とある理由で想いを遂げられなかった。果たして二人の想いは通じるのか、三人での生活はいつまで続けられるのか。

 姪っ子を育てる独身男性の苦悩とそんな父子を支えたいと思う先輩の恋愛模様と、三人の穏やかな日常が魅力の作品です。

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