小柄な美少女が働く薬屋は何でも屋になりつつあって、身が持たない!
闇野ゆかい
第1話プロローグ薬屋に舞い込むのは
大都市、フシューノには、幼い子供からお年寄りまで知らない人はいないという薬屋がある。
その薬屋は、フシューノの都心に構えている大きな薬屋だと思うかもしれない。
だが、それは違う。都心から遠く離れた木々が生い茂る場所にぽつんと建っているこぢんまりとした木造の薬屋こそが、誰もが一度は訪れたことのある薬屋である。
その薬屋を、小柄な美少女であるシャルノ・バンハードック、ただ一人が切り盛りしている。
薬屋に置いてある薬は、シャルノが一から作り上げる物で、薬を一口含むだけで傷や病も瞬時に治るほどの代物だ。
そのせいで、患者が病院にくることがなくなり、医療関係者等から苦情がくるほどである。
◆◆◆
薬屋の店主、シャルノ・バンハードックは、レジカウンターで頬杖をつきながら、客がいない店内を見つめていた。
彼女の目線の先には、小さな窓があり、淡い光が店内に差し込んでいた。
「この時間は、暇で退屈だなぁ。閉めちゃおっかなぁ、此処」
彼女は、低い声で呟いた。
彼女は、毎日繰り返している憂鬱な気分を取り払おうと、椅子から立ち上がり大きく伸びをして、歩き出す。
彼女が歩く度に、床はギィギィと軋む。
扉の前で立ち止まった刹那、勢い良く扉が開き、知らない少年が息を切らしながら、一言だけ、
「助けてくださいっ!」
と、彼女に助けを求めた。
「どのようなものですか、お客様」
彼女──シャルノ・バンハードックは、落ち着いた声で、少年に訊ねた。
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