第170話 貯金課のかわいい子


郵便配達そのものは、楽しかった。

田舎だと、砂利道とかも多いので

ドリフトごっこ(笑)。 D-1グランプリである。


カウンター切りながら砂利道曲がって。昔のバイクはそうやって乗るものだった。

レーサー・レプリカみたいな、後輪のグリップがいいバイクは

ああいう事がやりにくい。速いだろうけど、面白いのはどっち?と言うかんじ。




でもま、民営化以降の〒はブラックだし・・・・。


どうブラックなのかと言うと・・・・。

公社時代は、集配課でバイクで配達するとき

アルバイトは普通郵便だけだった。


それが、民営化後は書きとめとかも配達するようになって

オマケに、あの不在票をプリントする機械は職員しか持っていないから

朝、全部印刷していかないとならない。


それに、昼間書留を配達・・・と言ってもいない家が殆ど。

でも、不在票を置いていかないとならない。

タワーマンションの12階とかでも(笑)。

こんなんで、配達が終わるわけもない。


し。


道順組み立てと言って、配達順に郵便を並べる仕事を

バイトにさせるようになった。


から。


8時に出勤したら、それだけで11時くらいまで掛かる。

それで、配達できるはずもないので・・・みんな、早出でサービスしてるワケ。







その、民営化のあとに入った集配課長はパワハラやり放題なので・・・

俺は、法律的に然るべき措置を取った。


犯罪は見逃してはいけない。国民の義務である。


そしたら、この課長はすぐに左遷された。

その辺りは、民営化したとはいえ政府所管の日本郵便である。

たいしたものだと思う。



普通の民間企業なら、パワハラ、なんて事にマジメに取り組まない。

金儲けの為なら、そのくらいは・・・と言う。




それはさておき。

公社時代の郵便局は、長閑で楽しくて、いい所だった。

貯金課の女の子とか、春になると初々しい子が沢山入ってきて。


郵便課の俺のところに、貯金とか、簡保のセールスをしにきたりする(笑)。

外に行くのは怖いので、まずは局内で・・・と言うところで。



千尋ちゃん、だったかな。海辺の田舎から出てきて、研修が済んだら

田舎の郵便局に戻る・・・と言う。18歳だったか。

前髪ぱっつんで。中学生みたい。


とってもかわいいので、かわいい、かわいい、って

可愛がってると、千尋ちゃん、なかなか帰らない(笑)。


よーしよし。おじさんは、可愛がっちゃうぞ(笑)。

おじさんにまかせない。

いたくしないから(笑)なーんてコトはしない。




それ見てて、例の千原ジュニアとか、クラークとかがブチ切れる(笑)。

課長代理さんは、まあ、峠族なので。けっこうモテたんだろう。何も言わない。

にこにこ。



まあ・・・若い女の子も、そういう子は・・・優しくない若い男はニガテだよね。

声がだいたい上ずってて。おちんちんぎんぎん、見たいな感じ(笑)。


あれじゃーなぁ。



その課長代理さんは、マーチ・スーパーターボとかで箱根を飛ばしてたと言うから

通だ。


この頃はマツダRX-8だった。なんでも、息子がマツダに入ったとかで。

風見慎吾ちゃんふう。飄々。なので結構モテたらしい。



郵便課の男って、大抵はバイクがヘタで、集配課では使えないから

4輪に、と言う理由があったり。

貯金か保険は、ノルマがあるから嫌だとか・・・そういう、否定的感情があるタイプが

多いみたい。


そうじゃない奴もいて・・・・はみ出し野郎だったけど、なぜか郵便課に配属された

橘、と言う奴が居て。


バイクも相当巧く、自分ではNS-1を持っていて

いつも全開で走っていた。


のだけど、なぜか郵便課外勤に回されてきて。


俺がRZVで来たり、改造マフラーのチャンプで来たりするので


「いい音ですね」と、にこにこ。




この橘は、後で解ったのだけど

同じ郵便課の30歳出戻り、美里に気があったらしい。



で、そのことを知らない俺は・・・ある日、バンドマン崩れの伊藤に


「美里、どう思う?」と。仕事中のキャラバンの中でそう聞かれた。

普通は1人乗務だけど、引きつぎの時はふたり、だったり。




俺は「どうってことないよ」と言うと、伊藤は笑って「面白いなぁ。実はさ、美里が

付き合いたいらしいんだ」と、ストレートに言う辺りは、ロックである。



俺は「ダレと?」



伊藤は笑って「ホントに面白いなぁ。」冗談で言ってると思ったらしい。



美里は、どこにでもいる30才で、格別興味は無かった。

その時の俺には、友里恵ちゃんたちが居たし。

それで「女子高生のガールフレンドが居てさー。かわいいんだ。そっちのほうがいいよ」

と、そのまま伊藤に言ったら


彼はロックの人だから「そうか。まあ・・・それはしょうがない」と言って


美里にそれを伝えたらしい。



美里はその後、仕事の途中で事故を起こしたりして辞めて行った。



その半年くらい後、橘に真意を尋ねられたので

そのまま言った。



橘にも頼んだのかな、くらいにしか思わなかったが

彼も離婚歴があるので・・・・・少し後、美里と結婚したとか。



以降、橘は別の郵便局の集配課に転属願いを出して、30km遠い局へ

通っていた。


何故かと思ったが、美里が「家の近くで郵便配達なんて恥ずかしい」と・・・・。

結構な見栄っ張りである(笑)。


まあ、そんなの貰うから。



それで・・・・俺が、まあ、研究、なんて仕事だからと

見栄を張りたくて(笑)近寄ってきたらしい。



・・・・でもまあ、出戻りでさーぁ。美人でもなし、可愛くもなし。



その性格が、可愛くなくしている、と言う事にホンニンは気づいていない(笑)。



ヘンに闘争的になって、「ひとより上」なんて、可愛いわけがない。

そういうのが顔にも出る。




それは、例のH奈々子ちゃんもそうで・・・・

なーんとなく、ヘンに優越意識があったりする。

ダンナが東電だ、とか(笑)。



そんなのカンケー無いじゃん(笑)。


それで、ダンナが死んだら研究屋の俺を手に入れて・・・とか。

90年代以降の、心のないオンナ(笑)。

見かけは美しくてもね。




友里恵ちゃんたちは、その頃生まれたから

そういう女どもに反発があるのだろうと思う。

70年代的な、女の子らしさを持っている感じだった。

見かけは、どうでもいい。可愛いけどね。




バイクでもそうだなー、と思う。

欠点だらけだけどそれを隠そうとせずに、ひたすら2st。

RZVってそういうバイクだと思う。

当時のヤマハらしい。「2stが好きなんだよ」と言う気持が入ってる、そういう感じがする。


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