第165話 バイクのアルバイト

若いから、なんだろうけど

「人より」が多かった時期だったりする。



・・・・まあ、発情期がない、ヘンな動物だからなぁ。と

俺は、その頃生物社会学とか、そういう・・・理系の根拠がある

社会、みたいな。


発情が無ければ、争わなくてもいいのだ。無駄なエネルギーであるし

危険である。



そういうものに興味を持っていたが、そのキッカケは

あの、セブンイレブンでバイト仲間だった30歳、鈴木さんの読んでいた本である。


アーサー・ヤノフと言うお医者さんの書いた本で「原初からの叫び」

The Primal Scream と言う原題の、心理学・精神分析学の本である。


簡単に言うと、人間の記憶が積み重ねで起きていると言う

今で言うAIのような概念を書いた本である。



ジョン・レノンが少し精神的に不安定になり、このお医者さんに掛かった事でも有名で

後に、ロックバンドが「primal scream」と言う名を使った事でも有名だったり。




この本を貸してくれたおかげで、その後、俺は研究の仕事をすることになったりする。

なのに、鈴木さん自身は

恋、なんていう単純な事が原因で死んでしまう。


不思議なものだ、運は。




[バイクの仕事]


俺が、若い頃デタラメをしていたけれど研究者になれたのも、運である。

でもまあ、フリーの研究者と言うのは安定しない立場で・・・

アルバイトを時折挟んだりする。


それは・・・まあ、どこでもそうで、定住の連中に妬まれて排除されるからだ。

それは、子供の頃から変わっていない。


で・・時折、運転の仕事をしたいと思ったりする。

2000年頃だったか、たまたま仕事が切れた時に

郵便局に入ったことがあった。


以前も何回か居た事がある。やっぱり、バイクの運転は楽しいからで

郵政省時代は、そのまま正規になれる道もあった。

正規、と言うか・・・パートタイムである短時間職員と言うものである。



正規ほどきつくなく、バイトよりは儲かる。



このあたりは民営化して非常に悪くなった。

お金は良くなった代わりに、民間会社みたいなパワハラが出たりした。



郵政省時代は誰でも入れて、ただ、社会保険が無かったりと言う感じ。

フリーの人には丁度いい。掛け持ち自由だから。


それで、俺も2000年頃は(公社だったと思う)掛け持ち。


時給は820円~1000円だった。


頑張ると上げてくれるシステム、である。


最初に入ったのは4輪で、集荷、と言って

1BOXで郵便を集めて歩く仕事。


ここは・・・仕事柄、暇そうな人が集まっていて

楽しい職場だった。



国営時代なので、人の良い感じがいっぱい。

楽しい職場。


和気あいあい、と言う感じで

いつまでも働きたいと思ったりもした。



後々、集配課、と言うバイクで配達する職場にも居たことがあり

これは、結構過酷な仕事、でも

ライディングの技も試せて楽しかったりもした。


バイクは郵便カブ、当時は70だか90だかで

俺は勿論乗れるから、これ。


ヤマハに当たる事も多かった。



ホンダが安定していて良かった。低速もあるので

2速に入れておけばいつまでも走れる。



左手に郵便を持って、ポストに配って歩く。

その時、舗道に面したポストだと

バイクから降りずにトライアル・テクニックを使って(^^)

ポストに入れる。そのまま、ターン。道に戻る。

こういう事をすると、タイムが削れる。



足を付かずに回ると、トライアルならクリーン。減点0である(^^)。


ブレーキターン・アクセルターンを使ったり。

ふつうの配達員は、道に止めて駆け足で回っていたが

それよりも当然速かったりした。



やっぱり2stは速く、ただ回転が伸びない。

好き好きだったが。



都会の方だと陰険ババアが居て「郵便が舗道を走る」などと警察に通報されたりするけど(^^)


田舎はそんなことも無かった。


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