第154話 海老名、午前0時

Yのお父さんは、そんな俺たちを「立派だ。自分で稼いでバイクに乗っている」と。

まあ・・・Yが、ヘンな女に引っかかって人生、回り道(笑)してるのが・・・。


なのだろう。


まあ、Yの兄は普通に医大に入り(何回か浪人したらしいが)。医者になったが

あんまり・・・人間は?と言う人だから。


どうして ? なのかと言うと・・・


弟を挑発するように、自分たちの母親が「死んでよかった」などと言う人だったり。

医局で、嫌いな人を集団で仲間はずれにしたり(まあ、「白い巨塔」ごっこね)。


Yのお母さんもとてもいい人だったから。

のーんびり、ゆったり。どこかのお嬢さんだったんだろう。

いつもにこにこしていて。


そのお母さんを、まさか「死んでよかった」とは本心では思っていないと

俺は思う。


だから弟を挑発するために言ったんだろうけど・・・。


Yは、怒りっぽい。


いつものバイク屋の店頭で、殴り合い。


その時Yが着ていたのが、赤いダウンジャケットで。


ケニー・ロバーツのサイン入り(^^)。


菅生だったか、あの辺りで貰ったらしい。けど。Yは

赤いそれを着てると怒りっぽいらしい。


(丑年かいな^^;)



それで、俺にそれをくれた。


今も、それは俺が着ている。






さて、海老名SAから東名に戻る。



センター・スタンドを下ろして跨る。

やっぱり前期のXJ750Eの方がいいなぁと、俺は思う。


デザインも、ライディングポジションも。


そのXJのハンドルはスワロー気味で、握り易いので

XVにも付けたし、後でSRにも付けた。


ちょっと、手首が斜めに下がっていい感じ。




XJ750E2も、感じは似ている。



ギアを入れるのに、クラッチを握ってから一瞬遅らせてあげると

シャフトドライブなので、ショックが少なくていい。


ちょっとXJのこのクラッチは、ワイアーが摩擦の多い感じで

取り回しがヘンなのかもしれないな、なんて思う。



低速は結構ある。



びゅーぅ・・・と、1200rpmくらいでクラッチをつないで

のんびり走り出す。



午前0時の海老名SA。


夜の闇、この辺りの東名高速は切り通しなのか

見上げると住宅地で。



3車線の一番左に合流して。100+くらい。



五十鈴スチールセンター、なんてネオンが見えたり。

都会ムードが少し、漂っている。



レーンチェンジをしても、安定していてふらつく感じはない。

その代わりに切り返しが思い感じでXVとは随分違う。



XVは、そのくらいの速度でもすぱっ、とリーン出来る。軽快で

これはSRよりも軽い。



このXJ750E-2は、GTカーのようで

試しに最高速、なんてやってみても

ぜーんぜん、緊張感なくメーターを振り切る。

4サイクル4気筒らしい。


そのまま走り続けられる感じ。



ジェネレータをミッションの上に載せる方法は今のバイクに似ているけど

この頃はバイアス・タイアだったからエンジンを低く置いて、タイヤのグリップを

あてにしない設計だった。



それなので、タイヤは長寿命の硬いゴムのもので

このXJ750E-2も、そういう、1万kmくらい持ちそうな感じのものが付いていて。




滑っても怖くないための前19インチなの。


昔のライダーは、例えば道路表示のペンキとか、マンホールのふたとかで

滑るのは平気だったのは、そんな理由もある。




漫画の「バリバリ伝説」では、CB750FB(前19インチ)でスライドさせて走っているけれど

公道くらいでは割とふつー。である。






このXJも、そういう感じで気楽。


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