第152話 NIGHT RIDER

そのXJ750E-2は、Yのお父さんが「VFは乗りにくい」と言って

俺のXVや、マンボーのXJを見て「ヤマハにしてみるか」と・・・。

買ったものだった。


VF乗りにくい、は・・・・正しい(^^)。V4って、慣性が大きい感じで

応答が掴み難い。


アクセル開けても、どのくらい回り込んでくれるかが。


まあ、ホンダでこのV型を推進していた人は・・・・その後ホンダから出ていったから

あんまり向いていなかったのだろう。



まあ、それはいいか。



なぜ俺が、長距離をお父さんのXJで移動したかと言うと



[お引越し]



だった。




Yのお父さんは医学博士で、従軍医師で日露戦争に行ったような人。

それなので、俺様系(笑)が多い病院長とかと合わなかったらしい。



まあ、大学病院も同じだったから(前書いた、東大医学部の主導権争い・・・とか)。

それが、やっぱり。


マジメに医療をしたいお父さんには合わなかったのだろう。



し。



Yを、もしかして麻薬組織が追っているかも(笑)。そういうところもあって。

Yとお父さんは、地方を転々としていた。


お父さんは、タマタマ箱根の麓に引っ越して

俺たちに出会った、と言う訳。



その後、伊豆や下田の病院まで

CB750FBで通っていた。


まあ、シロッコで行く事も多かったが。



それで、今度は練馬に引っ越すことになり・・・・。


俺たち、バイク仲間が引越し荷物を運ぶ事になった。


82年頃だったろうか。


マンボーやら、Nし山やら、Γやら。

マンボーの友達の岡崎くんとか。


その他、大勢。


まあ、暇な奴らが多かったのだろう。



80年頃は、割とそういう生き方をしている奴もいた。

俺もそうで、バイクと音楽をしていて・・・・そのまま。

楽しいことをしている。


それで生きていけた時代だった。



で・・・・・YはMVで行く事になった。

ルマンは・・・Nし山だったかな?

問題はVFで、シートが高いので・・・足が届かないという。

マンボーも、岡崎くんも。170cmあるかないかくらいの背丈だった。



で・・・・俺はVFよっか、新しいXJに乗りたくて。「2往復する」と。





当時、俺はスーパーのバイトをしてた頃だから、22時に仕事を終えてから

深夜の東名高速を走る事になった。


XJのキーは預かっておいて。


新型のバイクで、夜の高速を走るのは楽しいから

バイトしている間にも・・・・手話ちゃん(姉)が「楽しそうですね」(^^)と。


クレープ屋さんの女の子が「デートですか?あの彼女(朋のこと)と」


とか言うので「オートバイとデート」と言ったら



「バイク、楽しいですね、夜走るの・・・」とか言って(^^)。






その日のバイトは、なんとなく落ち着かなくて。

気持はもう、ハイウェイ・ラン。


バイトが22時で終わり・・・さっさとチャッピィで帰って。


Yの家に直行。



みんなは、先に出発していて。かえって、それが楽しいソロツーリング。




チャッピィの黄色いライトで、河原の道を照らしながら走って。



ぶー~・・・ぺんぺんぺん・・・・。




誰も居ないYの家に着いて。軒下にチャッピィを停めて。



XJに掛かっているバイクカバーを外して。チャッピィに掛けた。




XJ750E-2は、何度か乗せてもらっていたけど


XJ750Eより、ちょっと大柄。シートも少し高くなって。

GTカーっぽい。


ハンドルにカウリングがついてて。RZ250Rみたいな感じ。

メーター・パネルがカウリングに付いてて。



エンジンはXJとほとんど一緒みたい。

チョークを引かなくてもセルを回すと、エンジンが掛かる。

ので、スロットルを呷る。


ひゅう、

ひゅう、

ひゅう・・・・。


夜遅くだから、静かに静かに。


センター・スタンドを外すと、結構沈む。


レガゾーニのヘルメットをかぶって、出発。


空冷は、直ぐ走れていい。



ぎゅう~・・・・。と、ギアの音を響かせてXJは走る。

4気筒だからスムーズ。


ヘッドライトは四角い。ハロゲン球。明るい。

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