第45話 再び1986年日記 33

日記 1988/


[東京帰り]



この頃俺は悪徳A商会の店員だったが

バイク屋だったから、古い悪友がよく尋ねて来るのには閉口した。


オトボケU原はTZR250のキーを無くすし

クラッシュNか山は60回ローンのRZ250Rをまた全損にするし


そして、3馬鹿ら'Sのもうひとり。



キングNし山である。



キングは自称である。ご存じキング・ケニーのつもりらしい。



そしてこの頃、ヤツは「東京帰り」を鼻に欠けた田舎者だったから

まあ、田舎のプレスリー。


♪いぇいいぇいいぇ〜い...


と、まあ吉幾三のようなモノだ(本人はロッカーだ、と言っていたが)。




ある日、中古のプレリュード(黒)に乗って現れたNし山。

A商会の前に路上駐車。


颯爽とうちの店にレイバンの模造品を掛けて入ってくる。



「いよー、元気?」




そして、いろいろなハナシをして帰って行ったが....



「東京じゃあな..」

「...それが、東京だと..」

「...だから、東京....」

「東京は俺の街さ..」


と、「東京」を36回も言って、颯爽と中古のプレリュードで帰っていった。




店の女の子は東京帰りってあんなの?と思っていたようだったが....



俺は、真実を知っている。





Nし山が住んでいたのは、埼玉だったのだ。



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