第31話 タイヤ交換

日記 1986/


[タイアの噺 2]


ミシュラン・ハイ・スポートが来たのは2週間後だった。

思いの外早く来たのは、雑誌「ライダースクラブ」で、このタイアの高性能さが

紹介されたからだと思う。


「パーシャルでフルバンクしてもなにも起こらない」と言う言葉と

公道でフルバンクさせている写真がとても刺激的で、格好良かったから..

(写真はRZVだった。)



だから、たくさんオーダーが入り、在庫があったのだろうと思う。



そこで、俺はタイアを組む事にした。

俺はタイアマンの経験もあるので、バイク屋の親父さんに設備を借りて

タイアを自分で組む事にしたのだった。



古いタイアのビードを落として、タイアを外す。

そこで、ハイ・スポートを入れようとした、が.......



固くて入らん(笑)。


当たり前だが、細いリムに太いタイアを入れようとすると、タイアのヴォリュームが大きいから

リムに納めるのが困難なのだ。



(だから、セットで綺麗に耳を出すのも技術を要する。

ビード上げには 3.0 kpf以上の圧力を掛けてはいけない事になっているので

巧くタイアを逃がさなくてはまっすぐに耳が出ないのだ。..

以前「160なんて組んで、タイアが外れても知らないよ」なんてを言う変な奴が

居たが(笑)

別に知ってくれと頼んだ覚えはない、大きなお世話である(笑)。まあ、

少なくともコイツは自分でタイアを組んだ事はないだろう、と言う事は分かる。

オーバーサイズのタイアを組んでも、タイアが外れる訳がない。

このハナシをバイク屋さんでした所、皆で「外れてるのはソイツのヘッド・ガスケットだろう(笑)」と

大笑いしてしまったが...)



おっと、脱線。(笑)



タイア潤滑剤を巧く使用し、マル秘テクニック、SSTを使用してビードをまっすぐに揃えた。

エアも入れてみて、ホイルバランサーに掛けると、芯がきちんと出ていて、流石ミシュランだと思う。

今まで付いていたバランスウェイトを外してバランサーを回すと、ウェイト不要でバランスする。


RZVのホイールも、ハイスポートもすこぶる高精度だ。


俺はにんまりと、思わず微笑みがこぼれた。


Good!


残るは、フロントタイアだが......


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