第4話 2021年3月12日(金)「直感」か「直観」か?

「ちょっと待てよ」

 スーパーカップ超やみつきペッパーのやみつきの粉は半分ほどかけて、スープをすすっていた、なみかわ みさき(45)は、その単語を電子辞書(私物)でひいた。


『直観』

 たしかに最初にイメージした『直感』と漢字が違うし、意味も違う。平行と並行みたいにどっちを書いてもええやつだっけ?


 直感ならかなり楽なはずだか、直観だとちょっとしんどいかも。





 それから数時間後。



 ぼくは電子辞書からメモした言葉を読み直す。



「直観」は広辞苑だと哲学のカテゴリで、intuition とふられている。

 それを英英や例文検索で串刺しにすると、だいたい「直感」に近いものはでてくる。なので「直感」として書いても良さそうな気はする。イヤーじつは「直観」として書いてないから、ごめんね皆勤賞とかなると泣く。そもそも、イヤーごめんね君プロ枠じゃないねとか言われると、最初からKAC20211とかつけてないのでもっと泣く。事情があってか、著書のことを一切プロフィールや近況に書いてないけどプロのタグつけてるみたいな、保険はかけておくべきだったのだろうか。



 大阪環状線の電車の窓に、斜めに雨粒がつきはじめる。金曜の夜、おそらくほとんどの人は平日の仕事が終わりなだらかに土日に向かうために疲れた顔をしているのだろうが、Kindleをぽちぽちでる僕は、締め切りまでに「直観」をどうするかと悩んでいるばかりだった。



(え、わしの出番ないんですか?)

「心配するな、よ」

 僕は心の中につぶやく。

「次の週波(週刊波河海咲という謎の手書きメディア)はB面がある」

(おっと……)


 第3回締め切りまではまだ多少時間はある。きっといいアイデアが、うかんでくるだろう。


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