第10話 ブロッカーズ(その3)
3週間前
SUCRE本部(某所)
丹下が椅子に座ったデスクの前にはノジマがいる
「ノジマ君 例の計画はうまくいってるか?」
「だいたいは予定通り順調に進んでいますが残り1組からはなかなか良い返事はもらえてない状況です(苦笑)」
「‥‥その1組を口説くのは私がやろう」
「長官自らですか?」
「私が邪魔か?(苦笑)」
「いえ とんでもない(笑)」
「SUCRE退任前の最後のご奉公だ」
「長官がいつまでも退任できなくなったら私の責任です」
「いや それはない きっとうまくいく 私はノジマ君を全面的に信頼しているのでね(笑)」
「長官 あまり私にプレッシャーをかけないでください(苦笑)」
「この任務が終われば私もやっとここから解放される 田舎へ引っ込んで家族とバーベキューパーティーもできる(笑)私が焼いた肉はうまいぞ いつか君を招待したい 私の家へ」←こう言うセリフがあるってことはあのパターンですよね(笑)
「いつでも喜んで長官のご自宅へお邪魔します」
「おっと 無駄話がすぎたようだな そろそろ本題に入ろうノジマ君 これを見てくれ」と丹下は壁掛けのモニターにリモコンを向ける
ノジマは後ろを振り返りモニターの方角に体を向ける
ビデオが再生され映し出された白黒の映像には鉄格子に囲まれた留置場の監視カメラの映像だった そこには若い男がブツブツと独り言をつぶやいている
「‥‥これは‥‥?」ノジマが丹下に尋ねる
「イハラ タクヤだ」丹下がノジマに答える
「イハラ?あのイハラ タクヤ ですか?」ノジマがなぜ?という表情をする
「そうだ イハラ タクヤだ 若手人気俳優だった‥‥アレに手を出すまでは‥‥」
監視カメラの映像はイハラ タクヤのいた留置場の鉄格子が音も立てずに静かに横へスライドすると彼は辺りをキョロキョロ警戒し注意深く留置場の外に出た
そしてまた独りでまたまるで誰かと会話してるかのようにブツブツと呟く
「自分で鉄格子を開けた?」
「いや あいつじゃない」丹下がノジマの言葉を否定する
「じゃあ 誰です?」
「あいつと会話してる奴だ」
「‥‥あいつは誰としゃべってるんですか?」
「‥‥その正体は正確にはまだわからん だが だいたいの見当はついてるノジマ君これを聴いてくれ」
丹下はそう言うとビデオ音声のボリュームを上げる
イハラ タクヤの呟きがはっきり部屋に鳴り響く
「わかった‥‥取り引き成立だ それでどこにいる?その消してほしい少年は」
続く
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