第17話 剣
冒険者になって1か月。私は週に1、2回、冒険者ギルド イキュ支部を利用している。
ギルドが空いている昼過ぎに依頼票を見に行き、在庫がある中級Dランクの魔鹿や魔狐、下級Eランクの薬草等の納品依頼を受ける。
魔猪はCランクなので依頼を受ける事ができない。肉以外は売り払っている。
その他のCランク以上の魔物は、とりあえずアイテムボックスに入れたままだ。
イキュ支部には討伐依頼はあまり無い。定期的にイキュ町~領都ニカ間の街道沿いの魔物を駆除するくらい。
魔の山を縄張りにしている魔物の多くは、人間の住む町には近付かないからだ。ただ、稀に魔の山から魔物が大挙して押し寄せることはあるらしい。
依頼は支部毎に傾向がある。
ニカ支部は、領都周辺の魔物討伐、護衛、各種納品、警備、力仕事、雑用等、依頼の種類が多い。
サント支部は、農作物や家畜の被害を防ぐための害獣駆除依頼と、王都や領都への護衛依頼が多い。
シホロ支部は、ダンジョン産素材を運ぶ馬車の護衛依頼が多く、シホロ東ダンジョン出張所は、ダンジョン産素材の納品依頼がほとんどだ。
護衛もダンジョン産素材納品も中級ランク以上の依頼ばかりなので、Dランクに上がるまではのんびり魔の森で活動しようと思っている。
魔の山を越えてやって来る冒険者はいないし、魔の森は私専用の狩り場だ。
納品の後は、冒険者ギルドの訓練場でゴリラ3号から剣の指導を受ける。
ゴリラ3号は寡黙なイケオジだ。少年マンガの登場人物にいそう。
私の主な攻撃手段は、物理では石槍の投擲、魔法では氷の矢、雷、対象を石壁で囲んでの火攻め、水攻め。
基本ソロで活動するつもりなので、念のため近接武器も扱えた方がいいだろう。あまり使う場面は思い浮かばないが。
勇者なんだから潜在能力は高いはずだけど、想像力がしょぼいせいで能力を生かしきれてない自覚はある。
練習用の武器は西洋剣みたいな真っ直ぐな剣だ。本当は日本刀が使いたかった。理由はかっこいいから。
しかしゴリラ3号に尋ねたところ、刃が反った刀はこの国では一般的でないとのこと。
日本刀を使うなら、独学で修練するしかない。それに、この国の鍛冶職人に日本刀の手入れができるだろうか? 私は勇者タイプで鍛冶の才能は無いから、自分でするのは無理だろう。
ということで、無難に一般的な剣で稽古をしている。ゴリラ3号には筋がいいと褒められた。
だいぶ剣の扱いに慣れたので、稽古後、ゴリラ3号に教えてもらった武器屋に剣を買いに行く。
剣以外にも槍、斧、弓など、いろんな武器が並んでいた。イキュ町は中級以上の冒険者が多いので、いいお値段の物が揃っている。
ナイフや鉈は日本製を使おう。
店主に見繕ってもらって手頃な剣をいくつか試し、その中で一番しっくりきた刃渡り60cm程の剣を購入した。
懐が寒くなった。明日は商業ギルドに行こう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます