第6話
僕は玄関のドアを開け、買い物に出かけた。
ホームセンターの道程を歩いていくと休日の昼下りだからか、色々な人とすれ違った。
最初に横を通った眼鏡をかけた中年の細見の男性は、この季節に薄手の長いTシャツと短パンでランニングをしていて。
次に歩いてきた大学生らしいカップルは片手にはスーパーの袋を、もう片方の手にはお互いの手が握られていた、恋人繋ぎだった。
道中の公園では4~5才ぐらいの男の子と20代ぐらいの母親らしき人が雪をかけ合って戯れていた。
ふと疑問に思った。
何で皆は幸せそうなんだろう? 何であんなに笑顔なんだろう? 何で幸せになれたんだろう? そして、どうして僕はこんなに苦しいんだろう? どうして幸せになれないんだろう? 何が悪かったんだろう? どうしてこうなったんだろう? どうして僕だけなんだろう? お前らがいるせいで苦しい、お前らを見てるだけで悔しい、妬ましい、死ね。 いや、僕が死ぬんだった。
そんな事を考えながらすれ違う人達を凝視していた。傍から見れば挙動不審の通報案件だったか。まあ、そんな事は気にせず僕は無事にホームセンターに辿り着き4000円程の出刃包丁とやらを買い、帰途した。
途中、先程の公園ではもう一組の家族が合流したらしく同年代の子供達が笑いながら追いかけっこをしていた。
(あんなに小さい子でも友達がいるのに僕ときたら…。)道中少し落ち込みながらアパートに帰宅した。
まあ、こんな世界はもう関係無い! もうどうでもいいや! 買い物に行った事で最後の踏ん切りもついた、結果オーライだ。うん、終わり良ければ全て良しだ!
よし、死ぬか!
もうこんな人生に未練なんて無い。
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