第3話

さて、どうしようか? 自殺をすると決めたのはいいが死に場所や方法を考えないといけないな、全く面倒なことだ。


よし、まずは場所だな! 屋外にしようか? それとも室内にしようか? とりあえず電車に飛び込むのだけは無しだな、賠償金がすごいらしいし他所様に迷惑をかけてしまうからな。 

海や崖に飛び込んで死ぬ人もいるが、勇気があるよな。発見されないと仮定して、もし死後に意思があったとしたら、光も何も無い空間で毎日を過ごすんだぞ、考えるだけでゾッとするよ。 


あとは屋外といえば何だろう? 焼死とか溺死とかかな? うーん、何だかどちらも苦しそうだな。それに変なこだわりかもしれないが、キレイな状態で死にたい。死後に第三者が発見する場面で恥ずかしくない体、僕がアキラとわかるような死体となるのが理想だ。だから顔がボロボロになったり白骨化は避けたいな。そうなると、虫に食われたり蛆が湧きそうな屋外は止めよう。


となると屋内だな。死に方は後で考えようか。だが、さすがに他人の敷地や建造物で死ぬ訳にはいかないか、自分の身勝手な理由で他人を悲しませたくないし。といっても自分の死後に誰かが泣いたりしても関係の無いことだけど。


他の候補は手近な場所だと自宅かな。正確にはアパートという名の賃貸物件だが。(借り主は僕ことアキラで登記変更されたが、家主は大家さんになるんだよな。)

まあ、この際だ。一度も会ったことも無いし、なけなしの全財産が150万程度ある。これをクリーニング代と迷惑料として納める遺言書でも残そう。そのお金で、なんとか許してもらおう。 あれ? もしかすると金額が足りないか? ま、いっか。僕は9年間このアパートに住んで家賃を払い続けた(正確には父の金だが) いわばお得意様だぞ! 最後のワガママぐらい聞いてもらおうじゃないか。 よし、死に場所は自宅に決定だ。


こうして場所はアパートに、良く言えば思い出が詰まった自宅に決まったのだった。

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